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2014年8月30日 (土)

数学と写真

二子玉川の『とうあん』に大学の同窓生8人が集まった。札幌在住の一人が仕事で東京に来ていたので、ふんじゃまあ、せっかくだから集まろうか、となった次第。豆腐がウリの店だが、今日のところは岩牡蠣が美味い。

Kaki 

私以外のメンバーの勤務先は、全日空、富士通、NEC、日本IBM、損保ジャパン、朝日新聞社、日経新聞社と錚々たる名が並ぶ。電機メーカーが多いのは、我々の専攻が数学だったからにほかならない。30人ほどいた同級生の大半は、電機、銀行、保険といった業界を選んだ。だが、珍しいのはそのうちの1割に相当する3人もが写真の世界へとその身を投じたことである。あとから担当教授に聞いたところでは「こんな年は記憶にない」とのこと。おそらくよほど変わり者が揃ったクラスだったのだろう。

この歳になると「課長」とか「次長」とか、みな何かしらの肩書を持つようになるので、そうではない身にはどことなく肩身が狭い。それにしても、肩書を得ると外見まで肩書相応に見えるのは、いったいどういうワケか。「タヤスツヨシ」とか「キングカメハメハ」の名を最初に聞いたときは、「こんな名前じゃ、出世せんだろう」と思った。それなのに、その馬が勝利を重ねるごとにその違和感は徐々に薄れ、ついに「ダービー馬」の肩書を得ると、素晴らしい馬名に聞こえるようになったことと原理は同じかもしれない。

私の前に座る次長には度々仕事の電話がかかってきているし、隣の課長は「部下が仕事にハマってるみたいだから」と言い残して店を出ていった。この歳になってせっせと競馬場に通い、黙々とウマの写真を撮っている自分の立場を思うと、多少複雑な気持ちになってくる。

「写真を撮るのに数学が役に立ったことはあるのか?」

不意にそんな質問を投げかけられた。

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カメラマンとは、単に見た目が美しい写真を撮ることができる人間を指すわけではないと考えている。誰もが同じように見えているはずの光景に、違った理論を付加することができる。そんな能力を持つ人間こそ、真のカメラマンと言えるのではないか。

「美」と「理論」に結びつきがあるとは一般には信じられていまい。むしろ対極にあるものと思われているフシだってある。だが、とことん突き詰めていけば、「美」と「理論」はしばしば一致する。良い理論は美しいのである。

ここまで話せば質問の相手も納得する。理論の美しさ。それをもっとも徹底的に追及する学問が数学であることを、数学を学んだ者に説明する必要はない。だが、実際問題として、競馬場の現場で「ああ、数学が役に立っているなあ」と実感するのは、フォーメーションやマルチの買い目数が一瞬で計算できた時くらいだろうか。私個人は数学を写真に生かせているとは言い難い。成績悪かったからなぁ…。

 

 

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