« ワンターンに賭ける夏 | トップページ | 人生の欠落 »

2014年7月22日 (火)

山形の冷たい麺

気象庁は今日午前、関東甲信地方が梅雨明けしたとみられると発表した。途端に全国各地で真夏日を記録。都心も33度の灼熱地獄である。

こうなると冷たいメニューが恋しくなるのは生き物の性(さが)。そう思って周りを見渡せば、街には「冷やし系」メニューが溢れかえっている。「冷やしおでん」「冷やし餃子」「冷やしカレー」「冷やしタイ焼き」、果ては「冷やしカツ丼」なるものまで。「冷やし」だから受け入れられるのだろうが、これを「冷めた」に変えたら誰も進んで食べようとは思うまい。

神保町をウロウロ歩いていたら「冷やしラーメン」の幟が目に入った。食べたことはないが、山形の名物として確立された感がある今なら、変わり種という程でもないか。意を決して『ととこ』と描かれた暖簾をくぐった。

Ramen 

大量の氷が浮いたスープは醤油ベースに昆布とカツオのダシ、そしてごま油がブレンドされているが、冷やすことでごま油の風味がより際立つ。麺は細麺。ギュッと締まったその食感と全粒粉の風味と相まって、ラーメンというより日本そばを想起させる。

猛暑に見舞われた昨夏は、「カップヌードル」に氷を加えて冷やす新しい食べ方が話題になったりしたが、氷をバラバラと投入すると、どうしても冷やしムラができてしまう。この冷やしラーメンも同じ。氷の周囲は冷たいが、氷から離れた場所の麺や具材は、まだ温かかったりする。それを楽しむのも、冷やしラーメンの味わい方のひとつかもしれない。

店を出て、明大通りを皇居方面へ。駿河台下交差点を過ぎ、神田警察通りを左折。神田警察署を過ぎてしばらく歩いた左手に『河北や』という看板を掲げる一軒がある。

この店の名物は、冷水でしめたそばと鶏肉を、冷たいつゆに浸した「冷たい肉そば」。ご当地グルメの祭典「B-1グランプリ」にも出展されたこともある、山形県河北町のご当地麺料理だ。それにしても、山形の人は冷たい麺がお好きですね。

Soba 

こちらもスープは醤油がベースだが、見た目通り実にアッサリしている。具は鶏肉とネギだけ。そのシンプルさが、そばの風味と鶏の旨味の妙を演出している。聞けば、真冬でも冷たいそばを食べるのが地元の流儀なのだそうだ。確かに寒いからという理由だけで、これを食べないというのは惜しい。

ところで、これほど鶏肉が存在感を出しているのに、なぜ「冷たい鶏そば」と呼ばずに「冷たい肉そば」と呼ぶのだろうか?

これにはちゃんと理由がある。戦前は鶏肉ではなく甘辛く煮た馬肉を使っていた。当時、彼の地で「肉」と言えば馬肉が普通だったのである。それで「肉そば」。だが戦争により馬肉が手に入らなくなった。それならと、豚や牛で代用したが、冷やすとどうしても脂が固まって浮いてしまう。そこで鶏肉を使ったところ客の評判も良く、このスタイルが確立されたとのこと。

なるほど、もし現代も馬肉のままだったら、私はこれを食べることができなかったわけだ。そう思いながら食べると、また違った味わいがするものである。

 

 

|

« ワンターンに賭ける夏 | トップページ | 人生の欠落 »

グルメ・クッキング」カテゴリの記事

競馬」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« ワンターンに賭ける夏 | トップページ | 人生の欠落 »