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2014年6月30日 (月)

夏だ、カレーだ、カレーうどんだ

カレーうどんというと、丼にカレーを溶いた熱いダシを張り、茹でたうどんを投入するスタイルが一般的なのだろうけれど、ここ東京競馬場には一風変わったカレーうどんを食べさせる食堂がある。

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それがこちら『カジュアル稲松』。食堂に「カジュアル」っていったい何だ?……などと考え込む前にまずは入ってみると良い。入口左手のレジで食券を買って、それを厨房カウンターに持って行って出来上がった料理を受け取り、席に着いて食べるというシステム。人気のカレーうどんは「汁なしカレーうどん」という名称でメニューに載っている。

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茹でたての麺にキーマカレーのようなカレーソースがかけられ、その上に温泉玉子がトッピングされている。カレーうどんにしては本格的なソースはスパイスの芳香が豊で、なかなかの辛さ。しかし、温泉玉子がそれをマイルドに包んでくれる。何より服を汚す心配が少ないから(ゼロではないけど)、サッと食べることができる。競馬場のカレーうどんとしては、大きなアドバンテージであろう。ご紹介いただいたギムレット様、ありがとうございます。

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競馬場を西門から出て徒歩10分。前にも紹介した『小平うどん』のカレーうどんは、いわゆるつけうどんのスタイルだ。

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褐色のうどんをカレー汁に沈め、うっすらと黄色い膜を纏ったところをズルズルとすすり上げると、地粉の香りとカレーの風味が先を競うように鼻から抜けてくる。カレーもしっかり辛い。そんな時、つゆにたっぷり入ったキャベツの甘さに助けられる。カレーうどんを注文すると、白飯がオマケについてくるから。当然最後はカレーライスになる。たっぷり汗をかき、何杯も水をおかわりしながら完食して、また午後の競馬に向かう。

東京開催は10月までお休みだが、『カジュアル稲松』は場外発売期間中も営業しているし、『小平うどん』だって競馬開催に関わらず暖簾を掲げている。とはいえ、しばらくは府中に足を運ぶことはないという向きも多かろう。実際私もその一人。ならば、こちらの“変わりカレーうどん”はいかがだろうか。

大井町『ハピネス』のカレースパゲッティ。

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うどんじゃねーだろ!というご指摘は甘受するが、この店のパスタは敢えて茹で置きの美味さを追求した太さと柔らかさを讃えている。その食感はどことなくうどんに通じなくもない。その盛りの美しさもさることながら、とにかく美味いのである。関東からJRA競馬がなくなる3か月間は、ぜひともこの店と大井競馬場に足をお運びいただきたい。

 

 

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2014年6月29日 (日)

東京競馬最終日

梅雨の晴れ間に恵まれた東京競馬場は、2か月半に及ぶロングラン開催の最終日。

Tokyo 

5Rの2歳新馬戦は、1番人気のスペチアーレが中団のイン追走から直線で差し切って快勝した。重馬場の勝ち時計は1分26秒0。力を要する馬場にも、泥をかぶる展開にもひるまず、直線で力強く抜け出したその脚には、牝馬らしからぬものを感じる。

5r 

母ターキーは3勝。シンダー (Sinndar) 産駒としては日本国内で最多獲得賞金を誇り、トウカイトリックが勝ったダイヤモンドSにも出走している。さらにその母の父はカーリアン。母系に積み重ねられた重厚な欧州血統からすれば、梅雨時の渋馬場ごときどうということもあるまい。

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ひとつ前の4Rに行われた3歳未勝利を勝ったミュゼミランダも、ダイワメジャーの産駒。しかも母の父はカーリアン。今日はこの配合に向いた馬場だったということなのかもしれない。

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長い長い東京開催が終わって、いよいよ来週から福島が始まる。今年は秋の中山開催がないから、次の関東でのJRA競馬は毎日王冠まで待たねばならない。「つぎ会うのは10月だな」。帰途にはそんな声も聞こえた。3か月は長い。自宅から30分の距離に東京競馬場があるというその幸福を、噛み締めながらの帰宅となった。

 

 

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2014年6月28日 (土)

嘘も方便

「この馬が2年後のダービーを勝つ姿が容易に想像できます!」

牧場ツアーでは、この手のセールストークがやたら多い。しかし、あまりにしつこく繰り返されると、聴衆からは苦笑いの声も漏れてくる。

「さっきから4頭目だぞ」

「再来年のダービーはいったいいくつあるんだ?」

だが、2年後のダービーを勝つことはおろか、出走さえ果たせなかったとしても、むろん詐欺にはあたらない。そんなことを言い出したら競馬業界は大混乱だ。なにせ「新聞」と名のつくメディアでさえ、「ハープスター2冠間違いなし!」とか「蛯名がダービーを勝つ!」などと堂々と書き連ねているのに、なぜか結果責任を問われることがない。

「嘘も方便」という言葉は日本ならではの文化であろうが、中でも競馬はその典型ではあるまいか。米国初代大統領のワシントンが幼少時に桜の木を切ったエピソードは、「正直は美徳」と教えてくれた。だが、このエピソード自体が嘘だという話がある。嘘で固められた世の中に住んでいるのだと思えば、もはや腹も立たない。

人は聞きたいことしか聞きたがらない。相手が嫌がる真実を言って恨まれるのと、相手が聞きたがっていることを聞かせて喜ばれるのと、どちらがいいか。大半は後者であろう。それなら嘘を付けばいい。正直者の周囲はそう思っているに違いない。ご丁寧なことに、日本語には「正直者は損をする」という言葉まで用意されている。

Bokujo 

牧場ツアーで1歳馬を引いているスタッフのコメントは、おしなべて「馬体が柔らかい」「飼い葉は良く食べる」「人の言うことはよく聞く」に集約される。

ツアー参加者はあらかじめ目当ての馬を決めてやってきている。ひょっとしたら、この先4年、5年の付き合いになるかもしれない相手だ。その初めての出会いで、たとえ本当のことであっても、ネガティブなことを言われたらどう感じるか。相手の心中を慮れば、硬い馬体だって自然と柔らかくなる。

だが、中には悪いことをズバズバ言うスタッフもいて、毎年会うのが楽しみでならない。ブラックタイプを気にせず、馬体だけで馬を選びたい向きには、非常にありがたい存在だ。しかしながら、彼が担当している馬が癖馬ばかりなのが若干気にならないでもない。正直者ゆえに損をしている。そんなことになっていなければ良いのだが……。

 

 

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2014年6月27日 (金)

ワールドカップイヤー

サッカーボーイ、ハットトリック、ペルーサ、そして先日急逝したコディーノ。サッカーにちなむ名を持つ活躍馬は少なくない。この時季特に思い出されるのは、ずばりその名もワールドカップ。父アンバーシャダイ、母トウコウキャロル、その父ホスピタリティという血統の牡馬で、1998年の南武特別など3勝を挙げた一頭だ。

Wcup 

この南武特別が行われる前日、オーナーの渡辺隆氏はスワンSに出走する愛馬サントスを応援するため京都競馬場を訪れていた。だが結果は勝ち馬から3秒以上も離されたシンガリ負け。落ち込んで帰京する新幹線の中で、偶然にも横浜マリノスの井原選手と乗り合わせたという。

井原選手といえば、この年の6月に行われたサッカーワールドカップ・フランス大会で日本代表の主将を務めたばかり。慶応大学サッカー部出身で、サッカーに精通するオーナーにしてみれば、これほどの吉兆はなかなかあるまい。井原選手に「明日は頑張ってください」と激励され、気を良くして臨んだ翌日の東京8R南武特別をワールドカップで勝っただけでなく、その日のメインレースをワールドカップの兄・オフサイドトラップが勝ってしまう栄誉にも恵まれた。そのメインレースとは、言うまでもなく第118回天皇賞である。

Trap 

サッカーワールドカップと言えば、気になるデータがひとつ。

実は、グレード制導入後のワールドカップ開催年は、例外なく4歳馬が宝塚記念を制しているのである。その連勝記録は現在「7」にまで伸びている。

 1986 パーシャンボーイ
 1990 オサイチジョージ
 1994 ビワハヤヒデ
 1998 サイレンススズカ
 2002 ダンツフレーム
 2006 ディープインパクト
 2010 ナカヤマフェスタ

もともと4歳馬が強いレースだから、騒ぎ立てるほどではないのかもしれない。だが、今年の出走予定馬を見れば、4歳馬はデニムアンドルビー、フェイムゲーム、そしてメイショウマンボの3頭。だれが勝っても波乱は間違いない。ワールドカップのジンクスに期待してみようか。

 

 

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2014年6月26日 (木)

あのアラブの女傑の息子が

「重賞なみの豪華メンバー」

南関東の古馬オープン特別では聞き飽きたフレーズが今日も繰り返されている。今日のメイン武蔵野オープンは出走15頭のうち過半数の8頭が重賞ウイナーだという。それがどうした。帝王賞を逃げた“豪華メンバー”たちに興味はないので、私にとって今日の大井メインは4Rである。

的場騎手が手綱を取るスターオブローマンは、あのスターオブジェンヌの娘。

Matoba 

「あのスターオブジェンヌ」をご存じですか?2008年のトゥインクルレディー賞を勝った“あの”馬です。でも残念ながら今日のスターオブローマンは9着に敗れた。

Star 

スターオブジェンヌと言えば真島大輔騎手のイメージだが、今日の彼は1番人気のモータルコンバットの手綱を取った。 お母さんのコンバットローズはあのトキノコジローのひとつ下の妹。

Mashima 

「あのトキノコジロー」をご存じですか? 2004年の羽田盃を13番人気で制した“あの”馬です。しかし、モータルコンバットは積極果敢にハナを奪うも4着に敗れた。

Kojiro 

結局この大井4Rを勝ったのは7番人気のバルドル。その母馬欄を見て驚いた。ラピッドリーランと言えば、72戦30勝の成績を残したあのアラブの女傑ではないか。2006年のタマツバキ記念アラブ大賞典を筆頭に重賞6勝。スターリングローズとの間に生まれた産駒クーヨンシンは、サラ系として11年の福山2歳優駿を制している。

Ueda 

そんな名牝の息子ならば、スターオブジェンヌの娘やトキノコジローの姪が敗れたのも仕方ないか。ラピッドリーランの今年の当歳は、カネヒキリの牝馬が誕生しているそうです。楽しみですね。

 

 

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2014年6月25日 (水)

歓声の続き

歓声と悲鳴、そしてため息が交錯した早朝のFIFAワールドカップ・コロンビア戦から13時間後の大井競馬場。この夜に行われた第37回帝王賞も、歓声と悲鳴とため息とがいっぺんに湧き起こる複雑な一戦となった。

歓声の主役は優勝したワンダーアキュート。大井2000mのGⅠ戦には、これまで6度挑戦して(0,2,2,2)とあと一歩及ばず。しかし今宵は、これまでに溜まった鬱憤を晴らすかのような素晴らしい末脚だった。

Wonder  

帝王賞で8歳馬の優勝は初めて。思えばお兄さんのワンダースピードも、8歳12月の名古屋グランプリを勝っている。今日の競馬を見る限り、ワンダーアキュートもまだまだタフに活躍できそうだ。

Kopa  

ため息の主は、圧倒的1番人気に推されながら2着に敗れたコパノリッキーを買ったファンたち。敗因は距離か、あるいはこの不良馬場か。いや、ひょっとしたら、今日はオーナーが鶏肉を食べるのを忘れたのかもしれない。気になって『東京ロティサリー』の周辺をウロウロしていたのだが、それらしき人物は見当たらなかった。

とはいえ、同じくゴールドアリュールを父に持つスマートファルコンも、初めて挑戦した帝王賞では6着に敗れている。しかし、そこからGⅠを6勝もしてみせたのだから、少なくともコパノリッキー陣営がこの結果にため息をつく必要はまったくない。今回はワンダーアキュートにとって、その豊富なキャリアを生かせるレース展開になったということだろう。

むしろため息をつくべきは、またしても大一番で起きてしまったシステム障害についてだ。地方競馬情報サイトおよび楽天競馬サイトにおけるオッズの数値が更新されない状況に陥ってしまったのである。実力伯仲のメンバーからすれば、オッズの動向を気にしながら購入したいという向きも多かったはず。JBC当日にSPATが障害を起こしたり、ダイオライト記念当日に映像配信が止まったりと、ここぞという場面でのシステム障害連発は興醒めも甚だしい。関係者でなくとも、ため息が出る。

Raijin  

そして最後に悲鳴。むろん直線で競走を中止したオオエライジンに向けられたものだ。左前球節部完全脱臼で予後不良とされた。色々なことがありながら、ようやくかつての輝きを取り戻しつつあったというのに……なんとも言葉がない。

 

 

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2014年6月24日 (火)

ファスリエフ期待の星

雨が上がった大井競馬場では第4回優駿スプリントが行われる。

Ooi 

5頭のサウスヴィグラス産駒が参戦し、結果サウスヴィグラス産駒のワンツーフィニッシュで決着した昨年は、このブログで「サウスヴィグラス祭り」として取り上げた記憶があるが、今年はさらに増えて6頭のサウスヴィグラス産駒が出馬表に名を連ねた。

となれば、今年はさしずめ「サウスヴィグラス大祭」か。だが、それに待ったをかけそうなのが、ファスリエフ産駒のアピア。デビュー以来7戦6勝。唯一の敗戦はマイル戦で、しかもスマイルピースの2着と思えば、むしろ凄味が増す。4馬身千切ったトライアルの内容からすれば単勝1.1倍も仕方あるまい。

結果はここでも4馬身差の圧勝。創設4年目にして初めて牡馬が優勝を果たした。

Apia 

父のファスリエフは、デビューから5連勝で欧州最優秀2歳牡馬に輝いた早熟のスプリンター。2000年にクールモアスタッドで種牡馬入りすると、初年度産駒が34頭勝ち上がり、エンドスウィープに並ぶ世界記録を達成している。

我が国では08年から供用されたが、残念ながら昨年7月に横隔膜ヘルニアで命を落としてしまった。JRA重賞やダートグレードレースを勝った産駒はまだいないから、アピアにかかる期待は当然ながら大きい。

陣営によれば、夏は休みに充てるとのこと。当然秋の飛躍が期待されるところだが、同時に賞金的な心配や、血統的な成長力への不安も募る。せっかく重賞を勝っても、ちょっと休んだだけでB級からコツコツとやり直しを強いられ、いつの間にか輝きを失ってしまう―――そんなケースを嫌というほど見てきただけに、そうはならぬことを願ってやまない。

 

 

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2014年6月23日 (月)

馬のことを言う前に

土曜日、追分ファームを歩いていると、背後から「太ったんでないかい?」と言われてしまった。

「いやあ、2年ぶりですから。はっはっは」

と笑ってごまかしたが、ここ数週間ダイエットに励む身ゆえ正直ビクッとした。だが、その馬主氏とお会いするのが2年ぶりなのは間違いない。この1か月間ではいくらか痩せたはずなのだが、2年前に比べればやはり太いということか。

すると今度は、誰かに突然下腹の贅肉をむんずと掴まれたではないか。わわっ! いったい誰だ!?

「おい、腹出過ぎだぞ」

見れば作家の吉川良氏。「いや、先生。最近は身の痩せる思いでダイエットを……」と言おうと思ったが、ハッと思いとどまった。いや、待てよ。吉川氏とはダービーでも安田記念でも顔を合わせたはず。あれ? おかしいな? 痩せたのは「身」ではなく、「思い」だけだったのかもしれない。

それでむかっ腹を立てて翌朝の朝食会場で食欲大爆発。いや、そもそも『ホテルウイング苫小牧』の朝食の充実ぶりが半端じゃないのがいけなかった。そのインパクトは「オリエンタルアートの13」にも匹敵する。白飯だけではく苫小牧名産の「ホッキご飯」が選べるのも旅行者には嬉しい。やむを得ず(?)1か月ぶりに大盛り解禁。いやあ、食った食った。

Hokki 

その後、ノーザンファームと早来ファームで1歳馬168頭をチェック。それで馬をジロジロ眺めて、「大きい」だの、「小さい」だの、「トモが寂しい」だの、「腹が出過ぎ」だのと文句をつけることが、なんだか恥ずかしくなってきた。馬にしてみれば、こんな腹の出た奴に言われる筋合いはあるまい。私の選ぶ馬がことごとく走らないのは、実はそんなところに理由がある気さえする。体型にケチをつけるようになるためには、まずオノレの体型を見直せ! 1歳馬たちのつぶらな瞳が、そう訴えかけているような気がしてきた。

Orientalart 

写真はオリエンタルアートの13。ステイゴールドとの配合を重ねて、初めて牝馬の誕生を見た。腰高なその姿は、遥かなる成長の余地があることをうかがわせる。

 

 

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2014年6月22日 (日)

オルフェーヴルの振り幅

種牡馬オルフェーヴルです。

Orfe2  

体つきを見る限りまだまだ競走馬だが、そこは「1年生」なのだから当然。父ステイゴールドや全兄ドリームジャーニーと違って雄大な馬格を誇る彼なら、種牡馬らしい身体つきになるまでにそれほどの時間はかかるまい。

レース後に騎手を振り落したり、レース中に走るのをやめようとしたことなどから、「気性が荒い」とか「性格が幼い」などと評された彼だが、スタリオンの関係者によれば「種牡馬としては普通」だという。

ちょっと意外な言葉だったが、そのあとに彼はこう続けた。「ただ、振り幅が極端に大きいですけどね」。

つまりこういうことだ。例えば、引かれて歩いている時、前方に何か気になるものを見つけたとする。するとたいていの馬は立ち止まる。中には2~3歩後ずさりする馬もいる。ところがオルフェーヴルは、ずーーーーーーーーーーっと後ずさりを続けるんだそうだ。どんどんどんどん後ろに進んで、引手が引っ張っても止まろうとしない。これはたいへんだ。

つまり「気が済むレベル」が他の馬とちょっと違うのである。それが「振り幅が大きい」の意味。オルフェーヴルが残した数々の逸話を思い返すに、なるほどそういえば!……と頷かされる部分もある。

規格外の強さを誇った彼なら、規格外の性格を備えていたとしても、もはや驚く必要もなかろう。日本国内で大事に育まれた血統が3冠を取り、2年続けて凱旋門賞を2着した。これは日本競馬のひとつの勝利である。だが、この血統が種牡馬として成功を納めることがなければ、完全勝利とは言えない。そういう意味でもオルフェーヴルには大きな期待がかかる。

Orfe1 

ディープインパクトとキングカメハメハの牙城は堅いが、種牡馬としても規格外の活躍を見せてほしい。

 

 

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2014年6月21日 (土)

イスラボニータのメッセージ

記録的な長雨が続いていた北海道だが、今日はようやく青空が広がった。この季節恒例の社台グループ牧場ツアー初日。最初の訪問地・社台ファームに到着すると、この3歳馬が我々一行を出迎えてくれたのである。

Isura  

皐月賞馬・イスラボニータですね。

秋は菊花賞には向かわず、毎日王冠から天皇賞・秋を目指すとのこと。距離適性とコース適性を考えれば、賢明な判断であろう。2年前のこの同じ放牧地で、1歳当時の彼を見ていたかと思うと、己の見る目の無さに情けなくなってくる。「ブラックタイプばかり見てないで、こういう馬を探しなさいよ」。イスラボニータを登場させた牧場側が、そう言っているように思えてならない。

例年ならディープインパクト産駒に熱い視線が向けられる周回展示だが、今年は若干雰囲気が異なる。会員さんが見つめる先にいるのは、オークス、ダービー、そして安田記念を勝ったハーツクライ産駒。しかも今年のクラブ募集は関西入厩の3頭のみ。その稀少さゆえに、さらに人気を押し上げているようだ。

中でも一番人気は母ファンジカの牡。現時点で応募が募集口数40口を既に上回り、抽選になることが決まっている。募集価格は4000万円。矢作芳人厩舎予定。父のライバルでもあったハイアーゲームを兄に持つこの血統からは、どうやっても府中の2400mしかイメージできない。

Hearts  

私の目を引いたのは、母ミルフィオリ、父キングカメハメハの牡。飛鳥Sなど4勝を挙げているミルドリームの半弟ということになる。

Mil  

シンボリクリスエス産駒のミルドリームとイメージが異なるのは当然。それでも、今日見た130頭余りの1歳馬の中でもっとも好印象だったことは間違いない。果たしてここからどう成長していくか。牧場ツアーは想像力が問われる試練の場。第一印象が大事なのは重々承知だが、それにこだわり過ぎてもいけない。それがイスラボニータを「小さい」と一蹴した2年前の反省点。目の前に立っている1歳馬の母・ミルフィオリは、そのイスラボニータの父フジキセキの妹でもある。北海道の爽やかな風に似合わぬ脂汗を流しつつ、1歳馬展示は明日も続く。

 

 

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2014年6月20日 (金)

ポーカーアリスの2013

羽田を朝イチの飛行機で飛び立って、はるばる新冠はビッグレッドファームまでやってきた。世間はサッカーワールドカップ一色だろうが、知ったことではない。私にしてみれば、駐車スペースに車を停めてまず目に入ってくるコスモバルクの方が、はるかにテンションを上げてくれる。

Cosmo 

しかしここまでやってきた目当てはコスモバルクではない。ビッグレッドファームで今年唯一の新入厩馬となったスウィフトカレント。岡田繁幸氏に馬体の良さを認められ、ブリーダーズスタリオンステーションから移動してきた。

Swift 

現3歳世代となる初年度産駒を、春のクラシックに送り込むことはできなかったが、野路菊Sをレコード勝ちしたサンダラスが無事だったらと思わずにいられない。地方ではユノエスケープやヨシノミカエルが重賞を勝っているし、南関東のスピンムーブやメイプルプリンセスも飛躍が期待できる。そもそもスウィフトカレントといえば、サマー2000シリーズの初代チャンピオンにして、その年の天皇賞・秋ではダイワメジャーに僅差2着した中距離のスペシャリスト。その産駒も距離が伸びて真価を発揮するタイプが多い。

Swift2 

ビッグレッドファームを後にして、雨の日高路を一路浦河へ。木戸口牧場さんにお願いしている繁殖牝馬ポーカーアリスに会いに行くのである。

こちらがポーカーアリスです。お父さんはスウェプトオーヴァーボード。気がつけばなんと10歳。大井の藤田調教師に初勝利をプレゼントしたことが、遠い昔のことのように思い出される。

Alice 

今年生まれたポーカーアリスの2014。牝の栗毛。お父さんはシニスターミニスター。実馬を見るのは初めてだけど、思ったより柔らかそうで良かった。

Alice2014 

そして、こちらはポーカーアリスの2013。牡の黒鹿毛。お父さんはあのスウィフトカレントなんですねぇ。

Alice2013 

順調に大きくなっているので何より。このあと愛知ステーブルさんに移して、8月のサマーセールに出します。フェアリーS(GⅢ)などJRA4勝のトーセンベニザクラは従姉弟の間柄。興味がおありの方は、ぜひとも牧場にお問い合わせください。

Alice2013_2

以上、宣伝でした(笑)

新天地で頑張るスウィフトカレントのためにも、ポーカーアリスの2013にかかる期待は大きい。ちなみに、同じスウィフトカレントの1歳牡馬では、社台ファームのディソーサドの2013が話題になっている。そう、昨年の2歳牝馬チャンピオンにして、牝馬ながらダービーにも挑戦したレッドリヴェールの弟。同じ社台ファームにルーツを持つ牝系として、負けてはいられない。「再来年のダービーで決着をつけるぞ!」と盛り上がりつつ、浦河の夜は更けていくのである。

 

 

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2014年6月19日 (木)

タイキビューティー

先週日曜の東京3Rは3歳馬による芝マイルの未勝利戦。私の注目は人気薄のビューティガッキに向けられていた。11番人気。前走福島戦での3秒5差大敗を思えば、それも仕方あるまい。

Beauty 

タイキビューティーは1992年の英国ダービー馬ドクターデヴィアスの2世代目産駒として、タイキレーシングクラブの96年度2歳馬(※当時表記)募集リストに名を連ねた。同期のドクターデヴィアス産駒にはファンタジーS勝ち馬のロンドンブリッジや小倉3歳Sのタケイチケントウがいる。だが、彼ら彼女らが3歳の早い時期から活躍を見せていたのとは対象的に、タイキビューティーは4歳春を過ぎてもデビューの目途すら立たず、ひたすら牧場で放牧の日々を過ごしていた。

出資額は僅かとはいえ、彼女を「タイキビューティー」と名付けたのは私である。4歳の6月になっても育成場に移れない状況に業を煮やして、はるばる大樹ファームまで様子を見に行った。デキの悪い娘に名付け親としてそれなりの責任を感じていたのかもしれない。だが、目の前に引かれてきた我が出資馬を一瞥して、デビューは無理だと悟った。550キロにもなろうかという巨大な馬体を支えきれず、四肢の腱は悲鳴を上げていたのである。

Taiki 

案の定、タイキビューティーはデビューを果たせなかった。おそらく繁殖に上がるのも無理であろう。あの日の姿がおそらく今生の別れ。そう決め込んでいたから、数年後にシアトルビューティという牝馬がJRAで勝ち上り、その母名欄に「タイキビューティー」という名前を見つけた時は、驚きのあまり思わず飛びあがった。

なんと、タイキビューティーは浦河のガーベラパークスタッドで繁殖入りを果たしていたのである。てっきり死んだものと思っていた私にしてみれば、まさに青天の霹靂。半弟のタイキヘラクレスがダービーグランプリを勝ったおかげもあろう。タイキビューティーの産駒は10頭が馬名登録され、うち3頭がJRAで8勝を挙げたのだから立派と言うほかない。前出のシアトルビューティも3勝を稼いだのち、同牧場で繁殖入りしている。

歴舟川の河川敷に広がる広大な放牧地で、両足に包帯を巻いたタイキビューティーを見たあの日から16年。よもやタイキビューティーの牝系ラインが継続することになろうとは、夢にも思わなかった。冒頭のビューティガッキはシアトルビューティの4番子である。たとえ自分ひとりの所有馬ではないとはいえ、自ら命名した馬の名が載る血統表というのは、若干の責任感を伴いつつも、見ていて気分の悪いものではない。

ビューティガッキは先団でレースを進めたが、最後は足が止まって勝ち馬から1秒5差の11着と敗れた。だが、前走に比べれば頑張っているし、今回は一息入れたあとの一戦だった。勝負はローカル開催。チャンスはきっとある。

 

 

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2014年6月18日 (水)

ケンタ丼の御利益

ケンタッキーフライドチキンの関東の一部店舗では、「ケンタ丼」が限定発売されている。

中尾謙太郎厩舎のワンツーフィニッシュのことではない。カーネルクリスピーチキンに、しいたけ、ししとう、サツマイモの天ぷらがごはんの上に載った丼のこと。「フライドチキンにご飯」と聞けばミスマッチにも思えるが、甘辛いと言うよりは若干しょっぱさが勝る江戸前の天つゆにも似たタレが浸みたチキンは、なるほどご飯に合う。

Kenta 

「一部店舗」の中には、東京競馬場内のケンタッキーも含まれているから、競馬には興味はないけどケンタ丼は食べてみたいという人は競馬場に行ってみるのも良い。今週、来週なら空いてるはず。ケンタッキーフライドチキンはドクターコパ氏も愛馬の出走前に食べるラッキーフード。馬券にもご利益があるかもしれない。

そんなわけで今日は大手町の読売新聞ビル店でケンタ丼を食べてから船橋競馬場入り。憂鬱だった雨がやんでくれたのも、チキンのご利益かもしれない。

ならばと調子に乗ってこんな馬券を購入。

Baken 

昨秋の重賞連勝から一転、今年に入ってからの2戦は思いがけぬ連敗。その後、ひと息入れて立て直しに専念してきたは好感が持てる。もとより単勝オッズ17倍の7番人気に甘んじるような馬ではない。私のチキンパワーをもってすれば、ぶっちぎりの圧勝まであるのではないか……なんて淡い期待はトーセンアドミラルの完璧なレースぶりの前に完全に吹き飛ばされた。嗚呼…。

Tosen 

ガッツポーズの川島正太郎騎手はグランドマイラーズ初勝利だが、その父・川島正行調教師は、サプライズパワー、ネームヴァリュー、ナイキアディライト、マグニフィカに次ぐ5勝目。このレースは2006年に限り「京成盃スカイライナースプリント」として行われており、川島正行師はそのレースもグロリーウイナーで制している。ということは、18回行われた「京成盃」で6勝しているわけだ。勝率.333は凄い。京成電鉄から特別賞でも貰えないだろうか。

ちなみに、私が期待したガンマーバーストは4着。やはり……と言うか、チキンの御利益は天気まででしたね。それでヨシとしよう。

 

 

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2014年6月17日 (火)

競馬場の蝉

明日の船橋には雨予報が出ている。

梅雨の時季なのだから、雨もある程度は仕方ない。だが、今年の梅雨はどうも律儀に過ぎやしないか。ここのところ毎回雨中の撮影を強いられているような気がする。「重の鬼」探しにも、いい加減飽きてきた。

特に川崎の重賞はいつも雨が降っているような気がする。「来週は関東オークスかぁ」「じゃあ、雨だな」なんて言葉が普通に交わされているから、皆そう思っているのだろう。実際、この一年間に南関東4場で行われた重賞レースを調べてみると、以下のようになった。場名、重賞レース数、雨・小雨で行われたレース、雨の割合の順に記載する。

 大井 24 1 4%
 川崎 13 3 23%
 船橋 11 2 18%
 浦和 9 1 11%

やはり印象は間違っていないようだ。しかも、雨で行われた川崎の3つの重賞というのが、全日本2歳優駿、エンプレス杯、関東オークスの「川崎重賞御三家」とくれば、雨のイメージはいや増す。だが、言うまでもないことだが、これは川崎競馬主催者の責任ではない。むしろ、パドックや検量室周辺など、あちこちに屋根を設置してくれる姿勢には感謝の念も抱いている。

Rain 

競馬に傘はタブーなので、必然的に雨合羽の世話になる。だが、関東オークスで着用した一着は、ちょいとサイズが小さかった。レース発走前はゴール前のラチ下に前屈みになって、カメラとレンズを雨から守る姿勢を取り続けるのだが、合羽が窮屈で、その姿勢がとても辛い。しかも、ジッと同じ姿勢を続けること自体が厳しいので、窮屈な姿勢のままモゾモゾと身体を動かすことになる。背後のお客さんの傘から落ちる雨水が、ボタボタという音を立てて背中を叩いている。

突然「ビビビーッ」という音がして、背後のお客さんが「あっ!」と声を立てた。

あれ? なんか急に身体がラクになったぞ。でも、背中が冷たい……ということは?……!!

そう、小さな合羽を着て前屈みの姿勢を取りつづけていたら、安物のビニール合羽が背骨あたりで縦に裂けてしまったのだ。うひゃー!

自分でその姿を見ることはできぬが、想像するにセミの幼虫が羽化を始めるその瞬間の光景に近いのではあるまいか。お客さんにしても、目の前の人間が突然羽化を始めたら、そりゃあ驚きのあまり声も出るだろう。その恥ずかしさといったら、背中が濡れる不快感の比ではない。レースがスタートし、しんがりのコパノバウンシが目の前を通過するのを見届けるや、背中に得たばかりの羽を使い一目散に飛んで逃げた。

窮屈な合羽の問題点はもうひとつ。ピチピチサイズで通気性ゼロの雨合羽は、サウナスーツとなんら変わるところがない。濡れないために羽織っているのに、終わってみれば汗でずぶ濡れになんてことも日常茶飯事。「それが嫌なら痩せろ!」ということになるのだろうけど、それができないから苦労しているんですよねぇ。

 

 

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2014年6月16日 (月)

ブログの流儀

ブログサイトに記事を載せるにあたり、いちおうの原則というか、方針というか、気を付けなければならないなと思うところはある。

①人の悪口を書かない
②自慢をしたり知識をひけらかしたりしない
③馬券の予想を書かない

これが私のブログ三原則。完全に守られているかどうかはさておき、これを意識していることは間違いない。例えば、飲食店の紹介に「不味い」と書いたことはないはず。むろん、私だってハズレのお店に入って、とてつもなく不味いものを食わされた経験は数知れないが、それをわざわざここで発表しようとは思わない。

しかし、この三原則をクリアして、毎日何かしらの文章を書こうとすれば、どうしてもそのテーマはかなり限定され、結果「どうでも良い話」に収斂する。

私自身、どうでも良い話というのは嫌いではないから、それはそれで構わないと思う。だけど、ごくたまに「あたなのブログには何のメッセージも、知識の集積も、創造性も感じられない」みたいな批判を頂戴してしまう。まあ、それはそれで正しい指摘なわけだけど、「競馬食堂」なんて屋号の店に入って「知識の集積」を注文されても、店主としては困りますよねぇ。

「悪口を書かない」と「知識をひけらかさない」の2つからは、「他人の間違いを指摘しない」も自然と導き出される。そうなると、こういうネット上の情報ソースとしては、どんどんつまらないものになるのかもしれないが、それも仕方ない。

かつては、他人の書いたものを「校閲をしたとは思えない」とか「ひどい誤訳だ」なんてことを平気で書き連ねてたけど、競馬本の校閲がとても大変な作業であることは身をもって体験しているし、誤訳のない翻訳というのも現実的にはありえない。仮に他人の間違いを見つけても、ひっそりと自戒するだけ。それが創造性の欠如だと言うのなら、その批判も甘受するしかない。だって私自身間違いだらけなわけですから。

間違いはなくても、読んでいて疲れるようなひどい文章というのもあって、これはもっとタチが悪い。何を注文しても不味い店というのと同じ。それを思えば、誤訳のひとつやふたつ、どうってことない。……なんて、競馬場ではいちいち文句を言ったりもしてますけど(笑)

ちなみに③について説明の必要はありませんよね。進んで自ら恥を晒す必要はないということですcoldsweats01

 

 

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2014年6月15日 (日)

競馬場でW杯

5週連続のGⅠを務め終えた東京競馬場は、久しぶりにのんびりした日曜日の朝を迎えている。

Tokyo 

「夏のローカル」と呼ぶにはまだ早い。だいたいが、ここ東京競馬場で競馬が開催されているのである。しかし番組的には既に夏休みモードに突入しているから、のんびりするのも悪くはなかろう。

しかし、今日の閑散ぶりは幾分のんびりし過ぎの感がある。まもなく1Rの出走馬が馬場入りするというのに、スタンドはまるでパークウインズ開催時の様相。安田記念が終わったことで、今週から福島開催が始まったと勘違いしているファンが多いのではあるまいか。函館は始まったけど、福島はまだです。

1Rは牝馬限定の3歳未勝利戦。北村宏司騎手のマレーナが4戦目にして、嬉しい初勝利を飾った。

1r 

レースを終えて引き揚げてくる騎手たちに、スタンドから野次が飛ぶ。

「でかしたぞ! 北村」

「戸崎! しっかり追えよ!」

「田辺、余計なことすんな!」

「よし本田! 行け本田! よっしゃー!」

ん? 本田?

本田なんて騎手乗ってたか? いや、そもそもJRAに本田なんて騎手いたっけ? 本田優が騎手を辞めて、もう10年近くになるし、船橋の本多正賢騎手が乗りに来ているという話も聞いていない。

ひとりで混乱していたら、とある馬主さんからのメールが答えを教えてくれた。

「本田がゴールを決めました」

ああ、いまワールドカップの試合をやってるんですね。納得。入場者が極端に少ないのは、ひょっとしたらそのせいか。

勝ったマレーナを管理する手塚調教師は、来週の日曜日にはアジアエクスプレスをユニコーンSに出走させる。夏休みのダートGⅢに朝日杯優勝馬の登場は珍しい。来週の日曜日はワールドカップの日本戦はありませんよね。

 

 

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2014年6月14日 (土)

11のポケット

「いつも手ぶらで良いですね」

そう言われることが多い。中には「鞄とか持ってないんですか?」と僅かばかりの軽蔑を含む言い方をされることもある。

たしかに手にモノを持って出歩くことは好きではない。傘ですら持つのを厭うタチだから、外出時に無謀な勝負に出てずぶ濡れになることもしばしば。それでも競馬場で傘を持ち歩くあの不愉快さに比べれば濡れる方がまだマシだと思っている。

ただ、読者諸氏(いるかどうか分からないけど特に女性)に誤解がないように付け加えておくと、決して持ち物が少ないわけでない。手ぶらで出歩いているように見えて、男の持ち物は案外多いのである。

私は競馬場にはたいてい正装で出向く。スーツ上下とシャツを合わせれば11個のポケットが存在するので、そこに必要なものが入れて歩いているわけだ。

まず上着の胸にある外ポケット。ここにはCROSSのボールペンが差してある。本来なら赤のサインペンが使いやすいのだが、ベタな赤ペンを差して競馬場内を歩くのはなんとなく気が引けるもの。だからと言って万年筆でマークカードを塗るのも興醒めだ。そこで、ボールペンにしては太めでマークもしやすい一本を愛用している。ただし、きわめて近い将来、老眼鏡がこのポジションを奪う可能性は否定できない。

上着の左右にある内ポケットには競馬新聞と優駿手帳。むろん出し入れの回数が圧倒的に多い競馬新聞が左側のポケットに収まり、拳銃のホルスターよろしく、必要時に右手にてサッと取り出す。

左の内ポケットの裾の方には、もうひとつ小さなポケットがある。ここには名刺を入れている。私だって名刺くらい持っている。私の名刺交換の場は、オフィスよりも競馬場であることが多い。

上着の外ポケットの左側に入るのはティッシュとウェットティッシュ。競馬場では靴が汚れることが多いので、いつも多めに持ち歩いている。右側は文庫本。だが、昨今は携帯の充電ケーブルに取って代わろうとしている。

ズボンのポケット4か所は、財布、パスケース、小銭入れ、ハンカチの不動のレギュラー陣。そして携帯電話がシャツの胸ポケットに収まる。携帯電話はこの位置でないければマナーモードの振動に気付かない。

Pocket 

帰宅してポケットの中身を机の上に携行品を並べてみると結構な分量だ。ポケットのありがたさをしみじみと感じる。明日のエプソムカップはジャングルポケット産駒のカルドブレッサを買ってみようか。

 

 

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2014年6月13日 (金)

話題のエアトゥーレ

ここのところエアトゥーレに関する報道がやたらと目につく。「エアトゥーレが出てくるらしい」とか「いや、出れないんじゃないか」とか。とにかく騒がしい。

Air 

ははあ。さては、明日にもエアトゥーレの2歳産駒がデビューするのか。となれば皐月賞馬の下である。世間が騒ぐのも無理はない。だが、そう思って東京・阪神・函館の出馬表を隅から隅まで調べてみても、母エアトゥーレの2歳馬の名はどこにも見当たらない。

あれ? おかしいな。2歳馬じゃなくて、サトノオーとかクランモンタナの話なのか?―― と改めて調べ直したら、騒がしいのは「ヤヤ・トゥーレ」というサッカー選手に関するニュースだったんですね。なーんだ、紛らわしい。いや、世間一般的にはそうでもないのか(笑)

「Yaya Toure」と「Air Thule」は音感的には似ているかもしれないが、実際には全然違う。サッカー事情に疎い私でもそれくらいは分かる。

2001年の阪神牝馬Sの勝ち馬エアトゥーレは、繁殖としても初子からセントウルSの勝ち馬アルティマトゥーレを出し、2番子のキャプテントゥーレは皐月賞や朝日CCを勝つ活躍を見せた。母スキーパラダイスは、仏GⅠムーラン・ド・ロンシャン賞など6勝。さらにその母スキーゴーグルも米G1エイコーンSの勝ち馬。つまりは名牝系なのである。母や祖母の名につく「スキー」は、スキーゴーグルの父ロイヤルスキーに由来するもので、スキーゴーグルから広がる一族には、他にも朝日杯2着のスキーキャプテンやスキーワールド、アスピリンスノーなど、スキーや雪にちなむ馬名が多い。

「トゥーレ(Thule)」も、スキーや雪からの連想だろうか。その意味は「極北の地」。転じて「遥かなる目標」とも。実際、エアトゥーレも晩年はフランス、英国を転戦し、「日本で生産・調教された馬として初の欧州GⅠ制覇」という“遥かなる目標”を目指して戦ったが、前述したようにあと一歩届かなかった。

一方で、アルティマトゥーレとキャプテントゥーレと、立て続けに重賞ウイナーを出してからは、サトノオー、クランモンタナ、リジェネレーション、ミラクルホースと周囲の期待ほどの産駒を送り出すことができていないのも事実。だが、現2歳のコンテッサトゥーレは期待できそうだ。何が違うって、久しぶりに「トゥーレ」が馬名に使われたのである。

Captain 

この一族、なぜか「スキー」や「トゥーレ」が馬名に使われると走る。理由などない。だが、合理的理由など考えない方が良い場合もある。「コンテッサトゥーレ」とは「極北の地の伯爵夫人」の意だそうだ。これもまた良くわからないが、深く考えるのはよそう。山元トレセンの坂路では既に12秒台も出ているらしいから、近いうちに競馬場で姿を見ることができるかもしれない。

 

 

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2014年6月12日 (木)

オペラハット再び

先週日曜の東京3Rはダート2100mの3歳未勝利戦。レースが終わると、遠くから「あの大井の馬か?」という声が聞こえてきた。

Opera1 

たった今行われたばかりのレースを勝ったオペラハットは、2011年生まれのメイショウサムソン産駒。曾祖母にシンコウラブリイが登場することに月日の流れを禁じ得ない。ともあれ12戦目にして嬉しい初勝利となった。

件の声の主が言わんとしたのは、1999年の東京王冠賞を勝ったオペラハットのことであろう。こちらは1996年生まれのオペラハウス産駒。甥に菊花賞馬スリーロールスがいる血統で、単なる東京王冠賞の勝ち馬としてではなく、その勝利がオリオンザサンクスの「4冠」を阻む大きな一勝であったことから大井のファンには知られた存在だ。むろん、18歳になってJRAの未勝利戦に出てくるはずはない。別馬である。

とはいえ、南関東を根城にする人間にしてみれば、そこはかとない違和感を感じるのも事実。やはり「オペラハット」と聞けば、大井のカクテル光線に浮かび上がる石崎隆之騎手の勝負服を真っ先に思い浮かべてしまう。

Opera2 

もっとも、こうしたネーミングは決してルール違反ではない。過去に同名の馬がいた場合でも、引退後5年以上経過していればOK。重賞勝ち馬でも10年で許可が出る。ただし、GⅠレースの勝ち馬は基本的に不可。これには南関東ローカル重賞であるはずの東京ダービーも特例的に含まれる。

1998年のJCを勝ち、翌年の凱旋門賞で2着したエルコンドルパサーは、実は2代目だ。初代エルコンドルパサーはスリルショー産駒の牡馬で未勝利に終わっている。

牝馬ながら2007年のダービーを勝つなどGⅠ7勝の活躍を遂げたウオッカにも、先代がいる。クリエイター産駒の牡馬で、後にセン馬となったが、やはり未勝利に終わっている。

今年のダービー馬・ワンアンドオンリーに至っては3代目。初代はエブロス産駒の牝馬で、2代目はティンバーカントリー産駒の牡馬だった。2代目が引退したのが2007年だから、比較的早い時点での名跡復活だったわけだ。

初代オペラハットは1999年のジャパンダートダービー(GⅠ)で、オリオンザサンクスの逃げを捉え切れずクビ差2着に敗れた。もしこれが届いていたら、2代目の登場は無かったことになる。そんなことにも思いを馳せつつ、2代目オペラハットの活躍を見守っていきたい。

 

 

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2014年6月11日 (水)

関東オークス半世紀

関東オークスは回を重ねて今年が節目の50回目。 

記念すべき第1回は1965年5月23日に行われたのだが、なんと同じ日の東京競馬場では「第26回優駿牝馬」、すなわちオークスが行われていたというから驚く。ちなみにこの年のオークスの1着賞金は650万円。東京競馬場に足を運んだ観衆は32575人。レースは田中角栄夫人の所有馬ベロナが逃げ切った。

その1時間後に行われた「第1回関東オークス」の1着賞金は180万円。25237人という入場者数は、中央のオークスにぶつけた日程にしては、思いのほか多い。レースは高橋三郎騎手のスターコキトールが、逃げ粘る佐々木竹見騎手のヒガシユリをかわすと、逆に1馬身の差をつけて優勝した。大井で走っている珍名馬・イラッシャイマセは、このスターコキトールの玄孫にあたる。

Kanto 

50年目を迎えた今年の関東オークスを勝ったのはエスメラルディーナ。雨を味方に7馬身差の逃げ切り。斎藤誠調教師はヌーヴォレコルトと合わせて同一年のオークス2勝の快挙を果たした。むろん過去に例はない。

ちなみに今年のオークス当日の東京競馬場の入場者数は73452人。一方、今日の川崎競馬場は4837人であった。雨を思えば同情すべき部分もあるが、これが半世紀を経た両者の姿でもある。

 

 

 

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2014年6月10日 (火)

アッミラーレの印象

せっかくコメントを頂いたので、今日はアッミラーレについて。ネタ枯れの時季にお題をいただけるのは助かりますね。ヘイケン様、ありがとうございます。

腰回りがパンとするまでに時間がかかったアッミラーレのデビューは遅く、3歳夏の札幌まで待たねばならなかった。それでも経験馬相手に2馬身半差の圧勝。素質の片鱗を見せつけている。しかし、続く美唄特別はソエが出て11着と大敗。そこですぐに放牧に出されたことが功を奏し、復帰戦の500万下で9馬身、1000万下伊良湖特別で5馬身、さらに準OPみちのくSで4馬身差、そしてついにはオープンの欅Sで2馬身と、いずれもワンサイドのレースで怒涛の4連勝を果たしたのである。

当然ながら重賞での活躍が期待されたが、この頃から喘鳴症の症状に悩まされるようになる。結局は、重賞タイトルとは無縁のまま引退、種牡馬入りを余儀なくされることに。それでもサウスヴィグラスを筆頭に、ハタノアドニス、レイズスズラン、オンワードセイント、スナークレイアース、マイターンといった、のちの重賞ウイナーをまるで相手にしなかったパフォーマンスは、当時としても目を見張るものがあった。もし順調に使えていたらGⅠタイトルを獲っていたに違いないと言われたところで、特に否定する理由を私は見つけることができない。

だがしかし、サンデーサイレンス直子でありながら、重賞タイトルを持たず、しかもダートにしか実績がないアッミラーレに、種付け依頼が殺到することはなかった。初年度産駒のチュニジアンブルーやセッカチセージ、トキノエクセレント、パフォーマンスらが一定の活躍を見せても、種付け数を増やすには至らない。現3歳世代となる2011年産まれで馬名登録があるのはわずかに19頭。しかし、そこからハッピースプリントという稀代の名馬が出現したのである。これぞまさしく競馬の醍醐味であろう。

Happy_2 

さて、そこでコメントに対する回答となるわけだが、私がアッミラーレに対して持つイメージをひと言で表せば、「二本柳壮騎手が乗って勝った最強馬」です。

いつだったか、野平祐二宅にふらりと壮君がやって来て、アッミラーレのバネのすごさについて熱く語っていたことがあった。私の中ではこの印象がものすごく強い。それが逆にアッミラーレの個人的評価を微妙なモノにさせていたことも否めませんけど(笑)

ちなみに、道営と南関東で4勝した繁殖牝馬ポーカーアリス(父スウェプトオーヴァーボード)の今年の配合相手もアッミラーレ。なんでも、昨年のアッミラーレの種付け頭数は35頭に過ぎなかったのに、今年はすでに100頭を超えているのだそうだ。凄い。考えることはみんな一緒ということですね。

 

 

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2014年6月 9日 (月)

肉汁と餃子

「肉汁」というと、ステーキとかハンバーグの美味しさを表現するために使われる言葉だとばかり思っていたけど、最近では(でもないのかな?)餃子でも使われているんですね。世の「肉汁信仰」は留まるところを知らない。

こないだ観たTV番組では、リポーターが餃子を箸でギューッと押し付けながら、「ちょっと見てくださいよ。この肉汁!」と叫んでいた。しかし言わせてもらうなら、そこまで絞って何かしら汁的なモノが出てこない方がおかしいのではないか。中には、餡に豚骨スープを加えることで「肉汁」を演出している店もあるが、それをもはや「肉汁」とは呼べまい。「消費者は肉汁と言えば食いつく」と思っているのであれば、それも問題だ。

そもそも餃子に肉汁は必要なんですかね?

ひき肉と野菜を練った餡を小麦粉の皮で包んだだけの料理がここまで我々の心をつかむのは、その単純さゆえであろう。パリッと焼けた皮の中に、ジューシーで旨味たっぷりの餡の妙。しかしそのジューシーさの正体は、ほとんどが野菜から出た水分。肉汁も含まれてはいるだろうが、その割合は存外少ない。

円盤餃子が有名な福島の餃子の餡は、肉3に対して野菜が7だそうだ。肉のしつこさを極力抑え、野菜の甘みを際立たせることで、あっさりとしていながら美味しい餃子を実現した。野菜の甘みこそが餃子の旨味。宇都宮や浜松が、白菜やキャベツの一大生産地であることは、決して偶然などではない。野菜中心だから、何個でも、毎日でも食べられるのである。

むろん、肉汁が悪いと言うわけではない。安田記念がはねた昨夜は、分倍河原の『肉汁餃子製作所・ダンダダン酒場』を訪れた。駅徒歩1分の立地だが、昨日は敢えて東京競馬場から歩いてみることに。西門を出て、府中街道を北上し、旧甲州街道を左に折れてトータル20分。ここまでくれば、競馬あがりの客などほとんどいないし、何よりこの距離が馬券の負けを反省するのにちょうど良い。

Gyoza 

厚めの皮にパンパンに詰め込まれた餡は、たしかに肉の割合が多め。でも、屋号にするほど肉汁が存在感を醸しているかと言えば、正直微妙だ(笑) でも、私はそれで良いと思っている。餃子はシンプルに味わいたい。

 

 

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2014年6月 8日 (日)

最強馬の執念

オークスでヌーヴォレコルト、日本ダービーがワンアンドオンリーと、ハーツクライ産駒がGⅠを連勝中。3週連続勝利の偉業を目指して、いよいよ真打が登場してきた。

オルフェーヴルの129を超え、内国産馬として史上初めて130ポンドのレーティングを取得したジャスタウェイをひと目見ようと、雨にもかかわらず朝から大勢のお客さんが登場を待ちわびている。ドバイを勝った後、調教師の元には色々な国からオファーが届いていたというが、それでも安田記念を選んでくれたことに、我々は感謝すべきであろう。世界最強馬の走りを見られる機会など、そうそうあるものではない。

ジャスタウェイに不安があるとすればふたつ。ひとつは木曜から降り続く雨のおかげで、馬場状態が極悪であること。そして、もうひとつは一週間前に決まった乗り替わり。パドックでは「善臣! 1.9倍だぞ。大丈夫か?」とか「乗ってるだけで勝てるから心配すんな」といった声が飛ぶ。

Yasuda 

しかしレースは冷や汗ものだった。馬場の悪い内目に閉じ込められ、先に抜け出したグランプリボスまではとても届きそうもない。だが、それでもジャスタウェイは懸命に差を詰め、ついに最後の1完歩で奇跡的に前に出たのである。

Yasuda1 

「普通の馬ならあきらめてもおかしくない。このあきらめない気持ちが、世界一の馬ですね」

柴田善臣騎手も、開口一番馬の精神力を讃えた。惜敗続きだった昨年の今頃のジャスタウェイとは、まるで別馬を見るようなレースぶり。世界最強馬とは、ここまで類稀なる勝利への執念を見せるものなのか。ゴールの瞬間、驚きのあまり思わず声が出た。

Yasuda2 

種牡馬ハーツクライは、これで産駒が3週連続でGⅠを制したことになるが、ハーツクライの父サンデーサイレンスは4週連続(1996年秋天、菊花賞、エ女王杯、マイルCS)の記録を持つ。さあ、ハーツクライも来週のGⅠを勝てば……って、来週はGⅠありませんね。残念。マジェスティハーツがエプソムCに出るようだから、いちおう注目しておこうか。

しかし、そんな国内のGⅠ記録など、もはやどうでもよかろう。もっともっと大きな記録達成の予感を抱かせるに十分な、春競馬のクライマックスだった。

 

 

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2014年6月 7日 (土)

タクシードライバー

自家用車を持たない代わりにタクシーをよく使う。「贅沢」の誹りを受けることもあるが、税金やら駐車場代やらを考えれば、ぜんぜん安上がり。飲酒運転の心配もないし、運転手さんから面白い話を聞くことができれば、むしろ儲けた気にもなる。

Kanazawa 

先日、金沢競馬場を訪れた時のこと。往路は金沢の街中からファンバスに揺られること30分ほどで到着。だが、1レースを見たらすぐに引き揚げなければならないのに、帰りの足がない。復路のバスは午後まで待たねばらないし、最寄のJRの駅までは4キロ以上ある。それでも競馬場の駐車場にはタクシーが数台停まっているのが見えたから、あれに乗って帰ればよさそうだ。

1レースが無事に終わり、後ろ髪を引かれる思いで正門から駐車場に出た。さっき見たタクシーはまだ停まっている。ずっと客待ちをしていたのなら、きっと私の姿を見てすぐにドアを開けるだろう。

―― そう思いながら車に近づいたのだが、後部座席のドアが開く気配は微塵もない。あれ? おかしいな……とフロントガラスを覗きこむと、運転手がいないではないか。隣のタクシーもまったく同じ。それで途方に暮れていると、駐車場の警備員がタクシー会社に電話を入れてタクシーを呼んでくれた。金沢競馬場の警備さんは優しい。到着した車に乗り込んで、運転手に顛末を話す。すると「あぁ、あのクルマは仕事もせんとサボってるんですわ。ははは」と言う。一般車と同じ駐車場にタクシーを停めてサボるってのは、なかなかすごいですね。金沢という土地は実に奥深い。

Kanazawa 

「タクシーの集まる店が、抜群に美味い店とは限りませんよ」

そう言ってきたのは、JDDの帰りに大井競馬場から乗ったタクシーの運転手。

「まず、駐車場があって停めやすい店。これが第一。あとは安くて、早く出てきて、それから深夜や早朝にもやっていることも大事ですね。だから自然とラーメン屋になるんですよ」

Osuzu1 

さきたま杯当日の浦和での昼食は「ザ・昭和の食堂」という風情の『おすず』でとったのだが、通りに面して広い駐車場があるこの店も、タクシーの運転手さんには人気なようで、この日も1台停まっていた。

Osuzu2 

ご覧のチキンカツ定食が450円。安い。安すぎる。

Osuzu3 

住宅街にポツンと佇む一軒食堂なので、サラリーマンでごった返すこともない。したがって出てくるのも早い。深夜早朝の営業こそないとはいえ、タクシーの運転手さんにとっては重宝される店の条件を満たしているのであろう。浦和競馬場から10分も歩かぬ距離。穴場は「穴場」の比較的近くにある。

 

 

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2014年6月 6日 (金)

雨の大井競馬場にて

昨日梅雨入りしたばかりの大井競馬場は今日も雨。

Rain 

雨の競馬は嫌いではない。観客の少ない競馬場で、傘を差しながら霞に煙る向正面の馬群を眺めるというのも、またそれなりに風情を感じるもの。だが、一方で私は「雨の撮影」はまるで好きではない。好きなカメラマンなどいないとは思うけど。

理由は言うまでもなく「濡れるから」。

とはいえ、単に身体や衣服が濡れることを厭うわけではない。撮影機材が濡れてしまうことが圧倒的に困るのである。

カメラは精密機械であるから、元々水や湿気には弱い。しかも、デジタルカメラの普及でカメラそのものがどんどん家電化・コンピュータ化している昨今では、ますますその傾向は強くなりつつある。突然電源が落ちて、ウンともスンとも言わなくなったなんて話はザラ。それで、一昔前より余計に雨に神経を使うようになった。

一方で、デジタル化のおかげで「雨の中でのフィルム交換」という地獄のようなシーンがなくなったことは、福音に違いなかろう。つまりは、雨に対する神経の使い方が変わっただけで、総量的なものはあまり変わっていないのかもしれない。いずれにせよ、カメラに雨は大敵なのである。

しかし、そこまで苦労して撮っても、目当ての馬が勝つとは限らない。しかも1番人気で負けが続くと、さすがに心が折れそうになる。

4r 

大井4レースの3歳戦を勝ったナイキアドヴァンスは、これで休み明け2連勝となった。

お母さんのナイキアクトレスは、東京ダービーなど重賞12勝を誇るあのナイキアディライトの妹。自身は2勝に留まったが、その産駒たちはナイキフェイラー、ナイキアステップ、ナイキスパークル、ナイキフェイム、そしてこのナイキアドヴァンスが大井で計27勝をマークしているから凄い。私の目当ての馬は人気を背負って負けてしまったが、そんな母の仔に負けたのなら仕方ないと思うことにしよう。

 

 

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2014年6月 5日 (木)

競馬太閤記

昨年9月7日の阪神2Rの2歳未勝利戦で、単勝オッズ260倍の最低人気馬がまさかの激走。2着に食い込んで馬連3万6千円の波乱を演出した。

話題となったのは、この馬が橋口弘次郎厩舎所属だったから。重賞常連の名伯楽ゆえ、管理馬が最低人気で出走する機会は決して多くはない。それが連対を確保したとなると初めての出来事ではないか? 現場は一風変わった話題で盛り上がった。

調べた結果、1993年にダイタクエスパーという管理馬が10頭立ての最低人気で2着したことが判明。なーんだ、とその場は収まったわけだが、その阪神2Rを単勝オッズ260倍ながら2着に激走したその馬こそ、今年の日本ダービーを勝つことになるワンアンドオンリーだったのである。複勝配当は4090円。のちにダービーを勝つ馬としては、最高配当ではないかと推測するのだが、そこまでは調べていない。

ただ、「のちにダービーを勝つ馬が最低人気を経験していた」というケースについては調べることができた。第16代ダービー馬のタチカゼは、ダービー直前の一般戦で6頭立ての6番人気を経験しているし、タニノハローモアの新馬戦は5頭立ての5番人気だった。とはいえ、いずれも少頭数での話。13頭立て13番人気のワンアンドオンリーとはインパクトがまるで違う。

なぜそこまで人気を落としたのか。答えは明白で、前走の新馬戦で12着に大敗していたからに過ぎない。そこで、さらに調べを進めると、過去のダービー馬80頭のうち、デビュー戦で二桁着順を経験していた馬など皆無だった。そりゃそうですよね。エイシンフラッシュがダービーを勝った時も「新馬戦で掲示板にも載れなかった馬が!(6着)」と話題になったほど。そういう意味では、ワンアンドオンリーのダービー制覇は豊臣秀吉の出世物語にも匹敵する大仕事と言えよう。

Only 

たとえ新馬で大敗を喫しても、たとえ最低人気での出走を余儀なくされても、それでダービーを諦める必要などまったくない。いよいよ今週から新馬が始まる。

 

 

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2014年6月 4日 (水)

3冠の予感

東京ダービーは、ハッピースプリントが圧倒的な強さで羽田盃に続く2冠を制した。全日本2歳優駿の勝ち馬がダービーを勝つのは、もはや伝説になったトーシンブリザード以来のこととなる。

Happy1 

「もう一戦あるので、しっかり準備したい」

ダービーを取った直後だというのに、調教師は早くもJRAとの決戦・ジャパンダートダービー(JDD)への意欲を口にした。1999年のレース創設以来、昨年まで15回行われたJDDは、JRA11勝に対し、南関東は4勝に留まる。ホームの利を考えれば不甲斐無いのか、あるいは意外と健闘していると捉えるべきか。意見は分かれそうだ。

だが、いずれにせよ今年はチャンスであろう。なにせ、今年に入ってJRAのダート3歳オープン戦は例年より多い6鞍が既に行われているのだが、その多くで伏兵馬が勝利しているのである。

 ヒヤシンスS エキマエ(12番人気)
 昇竜S コーンベリー(9番人気)
 伏流S ランウェイワルツ(8番人気)
 端午S メイショウバワーズ(7番人気)
 青竜S ノースショアビーチ(7番人気)
 鳳雛S カゼノコ(2番人気)

波乱の連続は強力なエースの不在を裏付けるものであろう。むろんユニコーンSが終わってみなければ、JRAの勢力図は描けないという意見もあろうが、そのユニコーンSも今年は昨年より一週遅い6月22日の実施。7月9日のJDDに出るには、中16日という強行日程を強いられる。今年はカレンダーまでもがハッピースプリントに味方しているように思えてならない。

Happy2 

さらに、東京ダービーのレース前には「二冠馬のジャパンダートダービー競走出走における騎手の取扱いについて」というリリースが発表された。

「羽田盃・東京ダービーの両競走に勝利した馬(以下「二冠馬」)が出走する場合、その両競走において二冠馬に騎乗していた他地区地方競馬所属騎手は、大井競馬番組「南関東4競馬場に他地区地方競馬所属騎手の交流騎乗について」の規定に拘らず、その二冠馬に限り騎乗できる。
ただし、当日は当該競走以外は騎乗できない。なお、原料騎手の負担重量軽減は行わない。」

要するにJRAが2003年にミルコ・デムーロに与えた菊花賞騎乗特例と同じこと。ネオユニヴァースは残念ながら3冠に手は届かなかったが、ハッピースプリントの3冠達成はあの時より現実味を帯びているように感じる。7月9日は大井に足を運んで、歴史的瞬間の目撃者となろう。

 

 

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2014年6月 3日 (火)

キンカメ時代到来の予感

東京6Rをクラリティシチーが勝つなど、一昨日は東京と京都でキングカメハメハ産駒が3勝をマーク。今年の勝ち星を84とするとともに、JRA通算勝利数を968勝にまで伸ばした。

City 

1000勝の大台まであと32勝。このペースだと7月中にも達成する公算が大きい。2008年7月の福島でスガノメダリストがあげた記念すべき初勝利からちょうど6年。そうなればサンデーサイレンスの記録(6年10か月)をも上回ることになる。それに次ぐ記録はノーザンテーストの12年だから、この記録がいかに凄いものかお分かりいただけるだろうか。

先週、ベルシャザールの引退、種牡馬入りが発表された。右後肢浅趾屈腱離脱とは珍しい。じん帯の一部が切れ、固定力をなくして腱がずれてしまう症状だそうだ。社台スタリオンステーションでの繋養が決定しているという。

GⅠ実績がダートに限られながら、社台スタリオンステーションで種牡馬入りした馬となると、ゴールドアリュール、スマートファルコン、そしてヴァーミリアン(現在はブリーダーズSSに繋養)の名前が挙がるが、彼らはいずれも数多くのGⅠタイトルを獲得していた。対して、ベルシャザールのGⅠタイトルはJCダートひとつのみ。GⅠレースが溢れるダート路線を考えれば、特筆すべき成績とは言えない。

となれば、やはりキングカメハメハ直子という血統的需要を当て込んでのものか。社台SSには既にルーラーシップとロードカナロアの2頭がスタッドインしているが、2頭とも人気は上々。オーバーワークを避ける意味でも、キンカメの層を厚くしておきたいのかもしれない。

ルーラーシップとロードカナロアとも、サンデーサイレンスの血が入っていない。既に種牡馬となっているハタノヴァンクールも、いずれ種牡馬となるであろうホッコータルマエも同様。冒頭に書いたように、キングカメハメハ産駒はサンデーサイレンスを上回るペースで勝ち星を積み重ねており、重賞での活躍も目覚ましいものがあるが、意外にもGⅠを勝つくらいの超A級産駒にはサンデーサイレンスの血が含まれていないケースが多いのである。3冠牝馬アパパネもそのクチだ。となれば、ベルシャザールに流れるサンデーサイレンスの血に、逆にニーズが生まれても不思議ではない。

Bersha 

いずれにせよ、キングカメハメハの父系はますますの拡大を予感させる。サンデーサイレンス系との2強を形成するのか、あるいはサンデーサイレンス系がその勢力を拡大しすぎたあまりに没落するのか。ルーラーシップ、ロードカナロアの産駒がデビューする2、3年先の勢力図が今から気になって仕方ない。

 

 

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2014年6月 2日 (月)

18年ぶりの呟き

「あんな強い馬おったんか……」

フサイチコンコルドが勝ったダービーでのこと。息せき切って駆け降りた地下検量前で、たまたま聞こえてしまった橋口調教師の呟きが今も耳に残る。

Derby1996 

あれから18年。弥生賞と皐月賞のレースぶりを見て、今年のダービーはワンアンドオンリーを本命にすると決めていた。間もなく定年を迎える橋口調教師をダービー2着4度の呪縛から解放してあげたいという、特別な思いがあったわけではない。「ダービーでは皐月賞でもっとも印象に残る末脚を見せた馬を狙え」という格言に従ったまでの話。弥生賞でも、皐月賞でも、ワンアンドオンリーの末脚は際立っていた。いや、その末脚に明らかな意図を感じたと言うべきか。とにかく印象に残ったことは間違いない。

殊勲の横山典騎手は、「ダービーまで乗ってくれというオーダーが嬉しかった」という。

ダービーを目指すような有力馬ほど乗り替わりが激しい時代。“名手・ヨコテン”とは言え、ダービー出場17騎手のうちリーディング順位では下から数えた方が早い。ハナ差2着に終わった弥生賞ひとつだけでも、他の陣営なら乗り替わりの理由にされた可能性だってある。

もし「ダービーまで」という約束がなかったら、弥生賞や皐月賞で見せた脚を測るような騎乗はできなかったに違いない。しかし、橋口師は弥生賞で負けても、皐月賞で負けても、「ダービーに繋がるレースだった」と笑顔で横山典騎手を迎えていた。こうした調教師の言動ひとつひとつが、最後の3/4馬身に繋がったように思えてならない。

Derby 

ダンスインザダークでの悔しい思いから18年。レース後の地下検量で、橋口師の呟きが再び耳に入ってきた。

「泣いてもいいかな……」

それを聞いて師よりも先に周囲が泣いた。このひと言が師の18年間のすべてを物語っている。

祝福に駆け寄る人の列が途切れない。表彰式へと促すJRA職員がやきもきしている。なのに橋口師も「久しぶりやね」とか「元気そうで」などと、一人一人きちんと応対するから、なかなか人垣が前に進まない。地上には大勢のカメラマンやお客さんが、表彰式の開始を今や遅しと待ち構えていたことだろう。それがなかなか始まらなかったのは、ひとえに師の人柄のおかげだとご理解いただきたい。今年も良いダービーだった。

 

 

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2014年6月 1日 (日)

ダービーから大井へ

ダービー当日が多忙を極めることは別に今年に限ったことではないのだけれど、今年はちょっと勝手が違っていた。

Isra 

実は今日の大井2レースを撮らなければならないのである。

府中~大井のハシゴは初めてではないが、日本ダービーの当日となると記憶にない。ダービーの発走は15時40分で、大井2レースは17時40分。16時ジャストに競馬場を出れば、どうにか間に合うだろうか。だが、今日は泣く子も黙るダービーデー。府中本町駅や府中競馬正門前駅で入場制限の憂き目を見れば、目当ての電車に乗ることができず、肝心の大井2Rに間に合わないことも考えられる。安全策を取るなら早めに競馬場を出て、府中駅から京王線に乗るべきであろう。

そう「肝心」なのである。競馬に身を置くものならば、日本ダービーより重要なレースがあるはずもないのだが、「撮る」と約束した以上は何があっても撮らねばならない。万一、放馬やゲートのトラブルによる発走の遅れがあったりすれば、私は2014年のダービーを見逃すことになる。1着賞金120万円の3歳未勝利戦のために、1着賞金2億円の日本ダービーを袖にしたと言っても、他人には信じてもらえぬであろう。

Derby1 

若干の緊張感を孕んだ2分24秒6が過ぎ去り、写真判定や審議ランプが灯ったりしなかったおかげで、ダービー後の雰囲気も例年通り味わうことができた。祝福の人の輪に囲まれた橋口調教師の向こうに、悔しさを押し殺した表情の蛯名騎手が戻ってきたあの瞬間を、私は一生忘れまい。

府中駅までの上り坂を息を切らしながら歩き、新宿まで京王線に揺られ、中央線、山手線、モノレールと乗り継いで、大井競馬場に到着したのは2レースの発走の2分前。ダービーの余韻もすっかり薄らいで、「あれ? 今日は最初から大井に来たんだっけ?」というノリで2レースの撮影も無事終えることができた。

Ooi 

大井2Rを勝ったフライトリーダーは芦毛だが、その父はアグネスフライト。河内洋騎手、悲願のダービー制覇は14年前の昔になったか。当時の河内騎手と同じ45歳の蛯名正義騎手には辛いダービーになったに違いないが、「20年連続ダービー出場」は誇るべき大記録だ。悲願達成はそう遠くない。

 

 

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