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2014年5月27日 (火)

落鉄

まず、今回のハープスターのゴール前写真をして、多くは「落鉄寸前」という表現で報じられているけれど、ここでは「落鉄」と呼ぶことにする。エアグルーヴの引退レースとなった有馬記念の「落鉄」も、実は同じ状態だった。完全に蹄から離れておらず、釘一本でぶら下がっている状態も含めて競馬サークルでは「落鉄」と呼ぶことが多い。

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ハープスターの敗因が落鉄にあったかどうかは定かではない。騎手も、調教師も、そこには言及しなかった。レース中に左前と右後の二か所を落鉄しながら、それでも重賞を勝ったワンカラットの例もある。だから、ここではあくまで一般論を述べるにとどめたい。

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前肢の落鉄は後肢の蹄がぶつかることによって発生するケースがほとんど。雑踏で靴の踵を踏まれるようなものだと思えばいい。スタート直後によくそれが起きる。だが、一周目のゴール板通過シーンを見る限り、この時点でハープスターの左前の蹄鉄は、しっかり装着されていた。少なくとも、スタートで落鉄したわけではないようだ。

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「落鉄はゴール寸前ではないか」という意見もある。大外から矢のように飛んできたハープスターは、一瞬「これなら差せるのではないか?」と思わせる勢いがあったはずなのに、ゴールまであと数完歩というあたりで、急に勢いが鈍った。あの僅かな失速の原因を落鉄に求めようとするものだ。

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だが、直線の坂を上り切った時は、既に鉄が浮いているのが確認できる。この角度で見る限り、蹄の左側の釘2本程度でかろうじて留まっているようだ。1本だけだと、そこを軸に回転ズレを起こして、もっと悲惨なことになるケースもある。そういう意味に限れば、不幸中の幸いだった。

Harp22

実際、落鉄を起こしたのはいつか? 想像でしかないが、2コーナーで前に寄ってきた馬と接触しそうになり、川田騎手が一瞬手綱を引くシーンがあった。ここではないか。それまで伸びやかに走っていた馬がブレーキをかけられると、四肢が収縮して後肢と前肢が激突するきっかけとなりやすい。

ともあれ、落鉄は単なる不運である。騎手のせいでも、調教師のせいでも、ましてや装蹄師の責任でもない。蹄鉄は様々な原因で落ちるもの。今のように兼用鉄が普及する以前は、落鉄など日常茶飯事だった。飛んだ蹄鉄が後続の馬に突き刺さるという事故も起きている。

現代において単勝1.3倍の本命馬が、落鉄状態で僅差の2着に敗れれば、それなりの騒ぎになるのは仕方ない。だが、冒頭でも触れたように落鉄がレース結果にあたえた影響を、我々が知る手段を持たないのも事実。少なくとも、2コーナーでハープスターが転倒したり、外れた蹄鉄が他の馬を傷つけたりするような事態に至らなかったことを安堵しよう。

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