« 金沢へ | トップページ | 父の遺伝子 »

2014年5月24日 (土)

距離の壁

「マルセリーナは寸が詰まった馬で距離がもつか心配したけど、差のない4着にはきた。あの馬よりは体に幾らか伸びがあるし、問題ないだろう」

「能力的には(ベガのオークスと)同じくらいの自信はある。あとは距離だけ」

「距離はやってみないと分からんけど、脚質や経験から大丈夫だと思っている」

桜花賞の勝ち方があまりに強烈だったことから、「ハープスター vs 17頭」を通り越して、「ハープスター vs 距離」という構図にもなりそうな今年のオークス。管理する松田博資調教師のコメントにも、やたらと「距離」という単語が目立つ一週間だった。

スローの瞬発力勝負が珍しくなくなった菊花賞を思えば、これほどまでに「距離」が語られるレースは、今やオークスだけかもしれない。ほとんど馬が初めての距離。単勝1倍台の有力馬が距離の壁に跳ね返されてきたオークスの歴史が、そんな思いを後押しする。

桜花賞を3馬身差で独走したテイエムオーシャンが2冠目を目指してオークスの2400に対峙したのは2001年のこと。その祖母エルプスは、1985年の桜花賞を逃げ切った快速馬だが、オークスは距離の壁もあって15着に沈んでいた。しかしそこから、リヴリア、ダンシングヴレーヴと重厚な配合を重ねられた孫のテイエムオーシャンなら距離の壁は越えてくれるはず。そう信じたファンは、彼女を単勝1.8倍に支持したが、ゴール前に脚が鈍ったところをレディパステルとローズバドの2頭に交わされて3着と敗れた。

そうかと思えば逆のパターンもある。ロドリゴデトリアーノは、イギリスとアイルランドの2000ギニーを制覇した名マイラー。その産駒エリモエクセルの関係者は、父親の血統的特徴を考え、桜花賞を目標に据えた。オークスは使わずに放牧という青写真である。しかし、その桜花賞であろうことか除外の憂き目を見た。それで仕方なく出走したオークスでよもやの快走である。越えるときは実にアッサリと越えてしまうのが、距離の壁の特徴でもあるらしい。

Erimo  

有馬記念を2勝し、ジャパンカップを2分22秒2の世界レコードで乗り切ったオグリキャップは、1600m(7,0,0,0)の成績が示す通り、本質はマイラーだった。それでも距離の壁を越えて活躍してみせたのは、彼自身の能力の高さに加え、ここぞという場面で発露した「勝たん」とする意志の強さであろう。

ハープスターの能力の高さについては疑う余地がない。あとは、最後の直線で彼女の「意志」を見ることができるか。なるほど敵は17頭ではなく彼女自身にある。

 

 

|

« 金沢へ | トップページ | 父の遺伝子 »

競馬」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 金沢へ | トップページ | 父の遺伝子 »