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2014年4月30日 (水)

雨のしらさぎ賞

浦和競馬場内には一本の川が流れている。3~4コーナー中間付近から1~2コーナー中間付近に向けて馬場を貫くように流れるのは、一級河川・藤右衛門川。川の上空は雲の通り道にもなっているようで、周囲が降ってないのに浦和競馬場だけ雨が降っていることもしばしば。今日のように周囲でも雨が降っている日は、競馬場は局地的豪雨の様相を呈してくる。

Baba  

「これが明日だったら五月雨だな」という会話が、競馬場へのバスの中で聞こえてきた。今日で4月は終わり、明日から5月が始まる。日本の競馬ファンは季節感に敏感だ。だが、五月雨は旧暦5月の雨のこと。新暦では6月に相当するから、つまりは「梅雨」にほかならない。

この手の会話に厳密さを求めるのは野暮だが、敢えて言うなら「穀雨」であろう。ご存じ二十四節気のひとつ。ピンポイントでその節気が始まる日を指すこともあるが、次の節気が始まるまでの期間を呼んでもいい。4月5~19日が「清明」、4月20日~5月5日が「穀雨」で、5月6日以降が「立夏」となる。

「穀雨」と呼ぶにはいくぶん激しい雨の中で行われた第52回しらさぎ賞は、レッドクラウディアが逃げたショコラヴェリーヌをゴール寸前で差し切って優勝。南関東への転入後の初勝利を、見事重賞制覇で飾ってみせた。

Shirasagi  

水の浮く不良馬場。3か月余りの休み明けで17キロの馬体増。そして、彼女一頭だけが背負う58キロもの斤量。不安材料もこれだけ重なれば、逆に開き直れるとでもいうのだろうか。前走のブービー負けが信じられぬほど、見事なレースぶりだった。もともとこういう馬場が合うのかも知れないし、これぐらいの体重が本来の姿なのかも知れない。だが、58キロの斤量がプラスになるとは思えぬ。こうなるとメンバー全体のレベルも気になってくる。

個人的に注目したミヤサンキューティは、大外枠から果敢に先行するも、3コーナーを過ぎたあたりからずるずると後退してしまった。過去に一度だけ浦和を走った時も、ハナを切りながら4角手前で失速してしまったことを思い出す。ひょっとしたら、3~4コーナー中間にかかる藤右衛門川の橋を渡るのが嫌なのかも。走り慣れた大井で見直したい。

 

 

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2014年4月29日 (火)

ダービー馬の春

今週末は古馬最強を決める天皇賞。オルフェーヴル引退後の日本競馬界を占う意味でも注目の一戦だ。

Kizuna  

しかも今年は昨年のダービー馬キズナが参戦してきた。グレード制導入から既に30年が経過したが、天皇賞(春)に前年のダービー馬が出走しきたケースは、実は10回しかない。ドバイ、香港、安田記念、あるいは引退・種牡馬入り。古馬春シーズンの選択肢も、ひと昔前とは様変わりしつつある。

その10頭の成績は(4,2,0,4)だから決して悪くはないのだが、単勝1.3倍のオルフェーヴルが11着に飛んだ一昨年のレースもまだ記憶に新しいところ。2マイルという距離に二度の坂越え。「古馬最強」の看板は、ダービー馬といえども簡単に手に入るものではない。

気になる点がもうひとつ。ダービーを勝った翌春の天皇賞を制した4頭は、いずれも菊花賞で淀の3000mを経験していた。2400mを超える距離が未経験ながら、それでも1番人気を背負った前年のダービー馬というと、どうしてもトウカイテイオーを思い出してしまう。レース中に骨折をしていた可能性が高いとはいえ、単勝1.5倍の支持を受けながら5着に沈んだという事実は残る。

そのトウカイテイオーと人気を分け合い、史上初めて天皇賞連覇を果たしたのはメジロマックイーン。その芦毛を受け継ぐゴールドシップが、キズナのライバルとなりそうなことも何かの因縁だろうか。逆にゴールドシップにとっての2400m超は、(4,0,1,1)と得意の舞台。自分の土俵で取る相撲なら、ダービー馬相手とはいえ簡単には負けられまい。

Goldship  

名手の手綱捌きも注目だ。春天6勝の“盾男”武豊騎手はキズナの瞬発力を最大限に生かそうとするだろうし、ウィリアムズ騎手はジャガーメイルで勝った時のように前々の勝負でスタミナ勝負に持ち込みたい。2頭の一騎打ちになるほど競馬は単純ではないと思うが、今年は久しぶりに見たいと思わせるレースになりそうだ。

 

 

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2014年4月28日 (月)

幸運のバターチキンカレー

前開催から、大井競馬場・Lウイングの1Fにロティサリーチキンの店舗がオープンしている。

Chikin  

以前はモスバーガーがあった場所にオープンしたのは、『東京ロティサリー』というロティサリーチキン専門店。食べてみると皮はパリパリで、肉はしっとりジューシー。しっかり中まで味が滲み渡っている。油で揚げていないので、私のような油が堪えるお年頃でも、さっぱり食べられるところが嬉しい。

Oven  

料理名の由来は、フランス語で炙り焼きを意味する「ロティール」から。丸鶏がオーブンの中をゆっくりと回転することで、均一な火入れとパリッとした皮の食感が生まれる。オーブンでは鶏と一緒にジャガイモを焼くのが一般的。滴り落ちる脂をまとって焼き上げられたジャガイモは、ロティサリーチキンの名脇役だ。

Potato  

木曜の夕食もここにしようと決めていた。注文カウンターの前に立ち、さてどのメニューにしようか、と悩んでいると、突然背後から「これがウマいッスよ!!」とメニューを指さす人が現れたのである。

おわわーっ!と驚いて振り向いたら、グルメでも知られる顔見知りのライター氏だった。なーんだ。それにしても、やはりこういう人たちは新店舗のチェックが早いですね。

Curry  

そのオススメというバターチキンカレーは、辛さよりも鶏の旨味が際立つコク深い味わい。もちろんカレーソースの中にも鶏肉が入っている。サフランライス(※後日訂正:ターメリックライスだそうです)との相性も抜群。そして何より、ドンと載せられたロティサリーチキンが存在感を際立たせている。ちょこっとカレーソースをつけて食べると、これがまた旨い。

このカレーを食べた後に行われた東京プリンセス賞は、7番人気のスマートバベルが勝つ波乱の結末。ところが、偶然にも同枠のイグレシアスを狙っていた私の買い目が当たってしまったのである。これはツイている。

私の馬券下手はつとに有名で、代用で万馬券が当たったことなど、ほとんど記憶にない。これはやはり、ラッキーフード・チキンの効果だろうか。サフランライスの「黄色」も風水的に良かったのかもしれない。「幸運を招くバターチキンカレー」として、次開催時も食べることにしよう。

 

 

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2014年4月27日 (日)

後藤浩輝騎手の回復を祈る

今日の東京10Rで落馬した後藤浩輝騎手は、第5、第6頸椎棘突起骨折と診断された。全治は不明。2年前のNHKマイルカップの悪夢を思い出した方も多いのではあるまいか。

Nzt  

ニュージーランドトロフィーをショウナンアチーヴで勝った時、この馬でNHKマイルを勝つことで、すべての因縁を消し去れるものと勝手に思い描いたものだが、競馬の神様は残酷なことをなさる。

Goto 

このNHKマイルでこんな彼の笑顔を見たかった。とにかく今は一刻も早い回復を、ただただ祈るほかはない。

 

 

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2014年4月26日 (土)

ハナズゴールが豪州GⅠ制覇

オーストラリア・ロイヤルランドウィック競馬場で行われたオールエイジドS(GⅠ)に、日本のハナズゴールがN.ローウィラー騎手を背に出走。道中最後方の位置取りから、直線残り300mあたりで外に持ち出されると、前を行く8頭をまとめて差し切った。芝1400mの勝ち時計は1分24秒64。2着ウィーリーとの差は2馬身。素晴らしい。関係者の皆様におかれては、おめでとうございます。

Hanasgoal  

“サラリーマン馬主”として知られるマイケル・タバート氏は、牧場で売れ残っていた2歳当時のハナズゴールをひと目見て購入を決めたと聞く。400キロの小柄な馬が「大きく見えたから」というから、その慧眼には恐れ入る。

「ハナズ」の冠名は日本人の奥さまの名前にちなむ。それに父オレハマッテルゼの名前から、「ゴールで待っている」というイメージでハナズゴールと命名したそうだ。購入価格は200万円あまり。それが、チューリップ賞と京都牝馬Sの二つの重賞を勝ったのだから凄い。だが、タバート氏はGⅠにこだわった。そこで、昨秋は距離不向きを承知でエリザベス女王杯に挑戦してみたりしたが、芳しい結果は得られない。そこで今回の豪州遠征となったわけだ。

豪州では短距離GⅠが数多く行われているが、オールエイジドSはニュージーランドの女傑サンラインが2000年と02年に勝った由緒あるレース。賞金は日本のGⅠに及ぶはずもないが、国際的評価は決して低くない。なにより、オーナーの故郷に遠征してのGⅠ優勝は格別の喜びであろう。

豪州ではタヤスツヨシやジェニュイン、さらにはダンスインザダークの産駒が既にGⅠを勝っているが、そこに同じSS系のオレハマッテルゼの名前が刻まれることとなった。昨秋の急逝がつくづく惜しまれる。こうなったら、日本GⅠ勝ちの栄誉も天国の父に贈りたい。

 

 

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2014年4月25日 (金)

主取りからクラシック制覇

羽田盃の翌日に行われた東京プリンセス賞には、羽田盃と同じ大井1800mコースに3歳牝馬16頭が集結した。

羽田盃と異なるのは、1強ムードの牡馬路線とは違って、牝馬路線が混戦模様である点だ。東京2歳優駿牝馬も桜花賞も、思いがけぬ波乱に終わっている。

案の定、勝ったのは7番人気の伏兵スマートバベル。直線で抜け出したノットオーソリティを、内ラチ沿いからスルスルと伸びて差し切った。

Smart  

鞍上の沢田龍哉騎手ともども初めての重賞勝ち。沢田騎手はクラシック初騎乗で初勝利という快挙をやってのけた。武幸騎手や池添騎手のように、重賞レースでの「初騎乗初制覇」は稀にあるが、クラシックレースとなると少なくとも私は例を知らない。

スマートバベルは、父サウスヴィグラス、母ユアカラー(その父ジェイドロバリー)という血統。4代母に英国3冠牝馬オーソーシャープの名を見つけることはできるが、近親に特筆すべき活躍馬がいるわけでもない。それもあってか、昨年5月の千葉サラブレッドセールでは13.8-11.7というタイムをマークしながら主取りに終わっている。

それから1年も経たないうちに、1千万円のゴールドアリュール産駒を負かしてクラシックを勝ってしまうのだから競馬は分からない。今年の千葉サラブレッドセールは5/19(月)に船橋競馬場で行われる。馬主資格のある人には、ぜひとも足をお運びいただきたい。掘り出し物を眠らせておくのは、もったいないですよ。

 

 

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2014年4月24日 (木)

ライバル求ム

昨日大井で行われた羽田盃は、スタートから外目の3番手を進んだハッピースプリントが、直線に向くと瞬く間に後続を引き離し、昨年のNAR年度代表馬の貫録を見せつけた。

Happy1  

全日本2歳優駿の優勝馬が羽田盃を勝ったのは、2002年のプリンシパルリバー以来12年ぶり。道営から南関東への転入組という共通点もある。だが、その圧倒的なレースぶりや、前哨戦の京浜盃も圧勝していることを思えば、その前年の覇者・トーシンブリザードを引き合いに出すべきであろう。

Toshin  

ご存じ、空前にして絶後の南関東4冠馬。その単勝配当は、羽田盃100円、東京王冠賞110円、東京ダービー110円、ジャパンダートダービー100円と、とにかく突出していた。JDDで地方馬が単勝元返しの支持を集めたなんて言っても、昨今の情勢では信じてもらえないかもしれない。

昨日のハッピースプリントの単勝にしても、前売り時点では100円を割るんじゃないかと心配になるほど売れていたが、最後の最後で110円になった。35秒台の末脚や、川島ブランドに賭けてみた向きがあったのだろうか。

Odds 

しかし、羽田盃のレースを見る限り、あと1ハロン延長しても、このメンバーの中に逆転の目を見出すのは難しそうだ。となれば、東京ダービーでは単勝元返しが現実のものとなるかもしれない。そうなれば、2005年のシーチャリオット以来の出来事となる。ただ、見る側とすれば、強力なライバルの出現を期待したいところでもあるが。

 

 

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2014年4月23日 (水)

顕彰馬・エルコンドルパサー

今朝のスポーツ新聞各紙は、エルコンドルパサーが顕彰馬に選出されたというニュースに大きく紙面を割いていた。

Elcondor1  

凱旋門賞ではモンジューとの一騎打ちの末に2着と敗れたものの、国内外合わせてGⅠを3勝。特に4歳夏のサンクルー大賞制覇は、日本調教馬による唯一の欧州2400mGⅠレースの優勝として、15年経った今も日本競馬史に燦然と輝く。顕彰選定まで14年もの年月を要したことが、むしろ不思議でならない。

記者投票では最多得票の常連。だが、なぜかいつもほんの僅かだけ得票率が届かない。「エルコンドルパサー落選」のニュースは、この時季の風物詩になりかけた感さえある。さすがにこうなると、投票結果だけに頼る選定方法の見直しを求める声も上がっていた。

だが、かつての顕彰馬選定は、12人の有識者で構成される選定委員会の議論に委ねられていたという経緯がある。選定委員同士も顔見知りだから、遠慮や気遣いがないとは言えまい。加えて、選考過程がオープンにされるわけでもないから、ファンにとって分かりにくいという批判もあった。

そこで2001年から、現在のような「キャリア10年以上の記者による投票で四分の三以上の得票」という明確な基準が採用されたのである。選考過程は分かり易くなった反面、選定のハードルは高くなった。エルコンドルパサーにしても、かつての選定方式ならもっと早く顕彰馬に選ばれていたと言われている。

Elcondor2  

今年に限って言えば、例年なら一人2頭まで記入できる投票形式を、「JRA60周年」を記念して4頭にまで拡大したことが、エルコンドルパサーにとって追い風になったことは間違いあるまい。

今年だけそんなことをするのは、おかしくないか?

   そんな疑問の声も上がっているようだ。選出のハードルを下げることは、顕彰馬のステータス低下にもつながりかねない。とはいえ、2004年に顕彰馬に選定されたタケシバオーとテイエムオペラオーだって、「4頭拡大」の特別ルールの恩恵を受けた。既にお気付きだろうが、この年は「JRA50周年」に伴って特別ルールが適用されたわけだ。

顕彰馬の安売りには私も反対。だが、大半のファンや関係者が選ばれるべきだと思っている馬が、長年選ばれずにいるようでは顕彰馬制度の存在価値にもかかわる。10年後の「JRA70周年」の折にも、必要とあらば柔軟な対応がなされていい。私は今回の選定結果を素直に喜ぶひとりである。

 

 

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2014年4月22日 (火)

ジャンパーたちの挑戦

中山グランドジャンプは、断然人気のアポロマーベリックが圧巻の逃げ切り勝ち。昨年の最優秀障害馬の力を見せつけた。(写真はペガサスJS)

Aporo  

JGⅠレース2勝目となったアポロマーベリックの総獲得賞金は、これで2億円を超えた。うち障害レースでの獲得賞金は1億8872万円。まだ5歳という若さを踏まえれば、ゴーカイの持つ障害レースでの獲得賞金レコード・5億224万4000円の更新も夢ではない。中山グランドジャンプ連覇のゴーカイの、初JGⅠ勝利は7歳春のことだった。

逆に言えば、アポロマーベリックの平地での獲得賞金は1420万円でしかない。平地では500万を勝っただけだからそんなものか。だが、過去にはもっと極端な例もある。中山大障害5勝という不滅の記録を残した名障害馬・バローネターフは、平地では10戦して未勝利。バローネターフは約3億3千万円を稼ぎ出したが、そのうち平地での賞金は80万円でしかない。平地未勝利の3億円ホースの出現は、世界の競馬史上でも初めての出来事だった。

Age  

実は、平地未勝利の身分から大変身を遂げて中山大障害や中山グランドジャンプを制した一流障害馬は、バローネターフのほかにギルテッドエージなど11頭もいる。華麗なるジャンパーへの大変身は、障害レースの魅力のひとつであろう。

逆に菊花賞馬ダイコーターを筆頭にクラシックホースが障害入りしたケースもいくつかあるが、障害馬としての大成を見ることはなかった。2010年の菊花賞を勝ち、現在では障害オープンで走り続けるビッグウィークには嫌なデータであろうけど、過去の事例は障害と平地とでは違った能力を必要とすることを表している。

だが、誤解されぬよう断っておくが、小倉3歳Sと中山大障害を勝ったゴッドスピードのように、平地・障害両方の能力を兼ね備えている馬だっているのである。中山グランドジャンプ3連覇の名ジャンパー・カラジにしても、豪州の平地GⅠで2着の実績がある。ビッグウィークにできないことはあるまい。彼の果敢な挑戦を長い目で応援したい。

 

 

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2014年4月21日 (月)

競馬場ですることは

最近は競馬場で馬券を買って過ごしている。

Dsc_1014  

「そんなの当然だろ」と言われるだろうか。でも、考えてもみてほしい。毎週末のJRA開催に留まらず、平日もナイター開催となるこの季節。多ければ週に40ほどのレースが私の目の前で繰り広げられる。それらのレースで律儀に1万円ずつ馬券を買えば、一週間の投資金額は40万円。控除率の通りに勝ち負けしても、毎週十万円が溶けて消えていく計算になる。加えて、私は底なしの馬券下手であるから、実際には毎週数十万円が溶けていくに違いない。お~、怖い。

さすがにこれはマズかろう。それでも競馬場には行かなければならない。なので、とりあえず馬券の予想はするけれど馬券は買わない、いわゆる「エア馬券」を実践してみたのだけど、すぐに飽きた。

最初のうちは「ホントに買うつもりで!」と馬柱の隅々まで目を通し、真剣に馬を見たりするのだけど、3レース目くらいには「どうせ買わないんだし……」という気持ちが勝ってしまう。すると、どうしようもない穴馬を本命にしてみたり、「二本柳“壮”流し」みたいなダジャレで遊ぶようになってしまう。こうなると、もはややる意味もない。

そこでレースの合間はおとなしく本を読むことにした。自宅の片隅には未読の本が山積みになっているのだから、これ以上の機会はあるまい。

ところが、競馬場の中でジッと本を読んでいる姿は、どうも浮いてしまうようだ。顔見知りは「何読んでるの?」と聞いてくるし、隣に座った人も「コイツ何しに来てんだ?」という(たぶん)目つきで私を見る。いまひとつ読書に集中できない。

ならばと、競馬場内の食堂を片っ端から食べ歩いてみたりもした。このブログのネタになるかもしれない。そんなことを思いながら、レースが終わる度にラーメンを食べたり、うどんを食べたり、カレーを食べたりするのである。だが、これはやたらと金がかかる上に、ただ太るだけという極めて危険な結末が待っていると気付いたため、ただちに禁じ手とした。

どうせ金を使うなら、せめてこれ以上太らないやり方で時間を潰したい。何か妙案はないものか?

と考えた末、ハタと膝を叩いた。そうだ! 馬券を買って過ごせば良いじゃないか!と。

そこで冒頭の一言に戻る。ぐるりとひと回りして競馬場で馬券を買うようになったわけだ。いや、時間がかかりましたね。

ただし、その額は恥ずかしくてここには書けない。あまりに少なくてJRAが怒り出すんじゃないか。しかも、額を減らすと馬券が良く当たるのである。突然馬券が巧くなったのかと勘違いして、レートを10倍にしたら、ことごとく外れた。ほどほどの欲が絡む程度が良い結果が出るということだろう。

船橋競馬場のように、競馬場の目の前に巨大なショッピングモールがあれば、こんな悩みも解決できるにと思う。だけど、平日開催の船橋に入り浸る機会はそれほど多くない。とりあえず、川崎競馬場内に建築予定だというショッピングセンターに期待しよう。

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2014年4月20日 (日)

イスラコジーンの2011

2012年6月17日、社台グループ牧場ツアーの2日目。早来界隈は、朝から豪雨に見舞われていた。

Tour  

この日の目玉は「ビワハイジの2011」。牝馬ながらその募集価格は6千万円にも達する。だが、私の目当ては2千万円から3千万円。その予算に見合う数頭をあらかじめピックアップして、靴を濡らしながら放牧地を歩いた。その中の一頭に募集価格2400万円の「イスラコジーンの2011」が含まれていたのである。そう、今日の皐月賞を勝ったイスラボニータだ。

当時のツアーのしおりには、「イスラコジーンの2011」の実物を見た印象がメモ書きされている。

小 尻○ 毛色?

2年前のことなので詳しくは覚えていないが、「尻○」というのは、尻の形が良いということであろう。「毛色?」というのは何のことか分からん。雨に濡れて毛色に何か疑問を感じたのかもしれない。それよりも気になるのは、先頭に書き込んだ「小」の一文字。実馬をパッと見て、まず「小さい」という印象を強く受けたのであろう。

遅生まれ(5月21日生まれ)なのだから、小さくても仕方がない。だが、この時の私は「早期デビュー」を最大の選択基準にしていた。それで、これは難しいかな……と思ったに違いない。結果、違う馬に申し込んで、抽選で外れ、二次募集でさらに違う馬に申し込んだ。

最終的に出資した馬は、2歳7月にデビューを果たしたから、まあ「早期デビュー」という目標はおおむね達成できたと自負している。だが、JRAの新馬スタート翌日の6月2日の東京でデビュー勝ちを果たしたイスラボニータには敵わない。あの日、雨に打たれて、小さな身体をますます小さく見せていたイスラコジーンの2011が、1年も経たぬうちに勝ち上がり、重賞3連勝で皐月賞を勝つことになるとは……。私もつくづく見る目がない。

Isura  

やはり馬を見る時には想像力を駆使しなければならぬ。その時点の良し悪しではなく、その馬体から1年後、2年後を見通せなければ、豪雨に打たれてまで見る意味はないのだろう。間もなく社台から1歳馬の募集リストが届く。その中に2年後のクラシックホースを見つけることができるだろうか。

 

 

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2014年4月19日 (土)

魅惑の鶏白湯

Dr.コパ氏が、ラッキーフードの鶏肉をたくさん食べて高松宮記念を勝ったというエピソードの呪縛から、いまだ抜け出せないでいる。

から揚げ、フライドチキン、鶏天、チキンカツの4連闘で臨んだ船橋Sが散々な結果に終わり、レース前に親子丼をかき込んだニュージーランドトロフィーでは、あろうことかショウナンの親子丼決着という想定外の結末がもたらされた。

若干迷走気味の水曜日の昼に訪れたのは、ギムレット氏に情報を寄せていただいた新橋の『駿』。以前は立ち飲み屋だったはずが、ちょっと目を離した隙に、椅子を備えた鳥料理とラーメンのお店に姿を変えていた。とはいえ、名物「ハムカツ・ポテトサラダサンド」が健在であることを確認してひと安心。

Shun1  

鶏塩ラーメンのスープは黄色く濁っている。コラーゲンのトロっとした口当たり。鶏ガラの深いコク。ほのかに感じる甘みは、鶏の脂であろうか。見た目よりも飲みやすく、そして旨い。

Shun2  

どうせなら徹底すべきであろうと、夜はクラウンカップが行われる川崎競馬場近くの『麺匠ようすけ 鶏煮亭』の暖簾をくぐった。第一京浜の交差点に掛かる歩道橋のたもとにある人気店だ。

Yosuke  

濃厚鶏白湯ラーメンを注文。鶏の旨味をあますところなく搾り出したスープは、黄色い鶏脂の膜が張っておりなんとも滋味深い。ねっとりとしたゼラチン質を豊富に含んだスープは、上質な乳製品を思わせるほど。合せる麺はハリのある中太麺。新橋『駿』もそうだった。これならスープの濃厚さに負けることはあるまい。

Yosuke2  

すっかり鶏まみれになったところで、いざ川崎競馬場へ。さあ、その結末は?!

   というところで紙数が尽きた。まあ、書かなくても分かりますよね(笑) まあ、競馬の結果はどうあれ、鶏白湯ラーメンは美味いです。

 

 

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2014年4月18日 (金)

フジキセキの奇跡

1995年の弥生賞を勝ち、皐月賞はおろかダービーも確実と言われながら脚部不安のため引退したフジキセキは、その春からすぐに種付け業務を開始した。あれから19年。JRAでは606頭が1431勝を挙げ、14年連続して重賞勝ち馬を送り続けている。

Kiseki 

今年に入って産駒は早くも重賞3勝をマーク。サンデーサイレンス系種牡馬が乱立する時代にあってなお、その存在感は今もまったく失われていない。なのに、なぜかフジキセキ産駒は3歳クラシックは勝ったことがないのである。フジキセキの不思議。皐月賞でも3度の2着があるが、あと一歩が届かない。負けた相手は、エアシャカール、メイショウサムソン、そしてオルフェーブル。いずれも相手が悪かった。そういう意味では今年こそチャンスかもしれない。共同通信杯の覇者イスラボニータと、スプリングS優勝のロサギガンティアの2頭には、フジキセキ関係者でなくとも注目が集まっている。

フジキセキ産駒はJRAのGⅠレースを10勝しているが、うち8勝までがマイル以下の距離でのもの。ダノンシャンティ、サダムパテック、キンシャサノキセキ、ファイングレインなど、彼の産駒にはスピードを前面に押し出すタイプが目立つ。

だからであろう。東京スポーツ杯2歳S、共同通信杯で重賞2連勝を飾ったイスラボニータの、DNAによる距離適性検査「エクイノム・スピード遺伝子検査」が話題となった。結果、イスラボニータは中距離に適性を持つ「C/T型」。これにより「皐月賞は問題なし」のお墨付きを得たのだという。

正直、こんなつまらん検査などしないで欲しいと思わないでもないが、それだけ陣営が勝ち負けを意識していることの表れだと前向きにとらえておこうか。私は距離よりもむしろ、初めて経験するコーナー4つの競馬でリズムを崩さずにレースを進められるかが鍵を握ると考える。競馬はDNAが走るのではなく、馬と騎手が走るもの。皐月賞が好内容であれば、検査結果など気にせずに堂々とダービーに駒を進めてもらいたい。

Isura 

一方、フジキセキ譲りの漆黒の馬体を誇るロサギガンディアのお母さんは、ドイツ産でイタリアGⅠリディアテシオ賞を勝った名牝。ドイツ血統×SS系種牡馬という配合はマンハッタンカフェやブエナビスタの成功でも知られる。

なのに、彼にも一抹の不安はある。種牡馬フジキセキ、藤沢和雄調教師、柴田善臣騎手と言えば、実績はあるのにクラシックだけはなぜか縁がないという存在の代表格なのだ。

   だから今回も、と考えるのはやめておきたい。特に藤沢和雄師に関して言えば、かつてはクラシックでは無理をせず、厩舎方針として古馬GⅠを狙ってきたという事情があった。だが今は違う。3者の悲願が達成が同時に訪れたとしても、彼らの実績を思えばなんら不思議はない。

フジキセキは2011年以降は種付けをしていない。すなわちイスラボニータやロサギガンディアが、フジキセキが残す最後の世代ということになる。最後のクラシックに2頭もの有力候補を送ること自体が既に奇跡的ではないか。彼がもつ「奇跡」という名は、実はまったくの偶然ではないのかもしれない。果たしてフジキセキの奇跡は起こるのか。注目しよう。

 

 

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2014年4月17日 (木)

神様の悲願

昨日のクラウンカップの話。

Sarmo  

1番人気はサーモピレー。全日本2歳優駿と京浜盃が、いずれもハッピースプリントの3着なら、ワンランク上の扱いを受けるのも理解できなくはない。祖母スターアルファは名牝ベガの妹。単勝1.7倍という圧倒的なオッズが、ハープスターの出現で勢いに乗る牝系からの、さらなる新星誕生の予感を漂わせている。

しかし勝ったのは4番人気ワタリキングオー。直線で外へ持ち出されるや、的場文男騎手の豪快なアクションに応えるように伸び、ゴール寸前で粘るサーモピレーをクビ差競り落とした。

Watariking  

さて、クラウンカップは施行年によって羽田盃のトライアルだったり東京ダービーのトライアルだったりするわけだが、今年はダービートライアルとして行われた。すなわち、アクシデントなどが無い限り、的場騎手が今年もダービーに出場することが決まったわけである。

通算6577勝を誇る“大井の神様”は、過去32回のダービー挑戦で2着8回を数えながら、未だ1着ゴールを果たしていない。不思議と言えば不思議。ダービーというレースの持つ魔力を端的に表している数字とも言える。とはいえ、今年57歳になる大ベテラン。昨年、大井で行われた騎手の人気投票でも断然の1位だった。ファンは、そろそろ悲願達成の瞬間を見たい。

ワタリキングオー自身もダービーとは少なからぬ因縁を抱えている。兄ブルーヒーローは、2009年の東京ダービーで直線いったんは先頭に立ちながらサイレントスタメンに差されて悔しい2着。同じレースには叔父のブルーラッドも出走していたが、3番人気も8着に敗れた。ワタリキングオーには、一族の雪辱という期待もかかる。

重賞に昇格して17回目のクラウンカップだが、ワタリキングオーのように、3歳一組のうぐいす賞を勝った馬が、勢いもそのままにクラウンカップまで制した馬が過去に2頭いる。2002年のキングセイバーと、2009年のサイレントスタメンだ。しかも、この2頭ともが東京ダービーを勝っているという事実は、的場騎手とワタリキングオーにとって心強いデータであろう。

Silent  

ハッピースプリントの牙城は強固に思えるが、キングセイバーもサイレントスタメンの2頭も、強力人気馬を打ち破ってダービーの栄誉を掴み取った。ワタリキングオーにできないこともあるまい。注目しよう。

 

 

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2014年4月16日 (水)

皐月賞の二百円

皐月賞は回を重ねて今年が74回目。

Narita  

過去10年だけを見ても、馬単の平均配当は27,869円。比較的順当な結果に収まる日本ダービーと比べると波乱のイメージが強い。ディープインパクトで3冠を達成した武豊騎手は、「皐月賞がいちばん危ないと思っていた。負けるとしたらあそこだった」とした上で、「でもディープの3冠の中でいちばん強かったレースも皐月賞」と振り返っている。いずれにせよ、人気馬に取っては鬼門のレースであることに違いはない。

Deep  

皐月賞の波乱の歴史は、第1回目からすでに始まっている。

皐月賞の前身とされる「横浜農林省賞典四歳呼馬競走」の第1回は、1939年に根岸競馬場、良馬場の1850mで行われた。その記念すべき第1回で、今の常識では考えられないことが起きている。勝ったロックパーク号の単勝式が1枚しか売れていなかったのだ。

当時の馬券は高値の華。とても庶民が気軽に買える代物ではなかった。なにせ1枚が20円である。ちなみに大卒の初任給が40円前後だったというから、今なら10万円前後に相当するだろうか。発売単位が10万円の馬券で遊ぶ気になれますか? 私は到底無理ですね。

日中戦争が始まり、やがて太平洋戦争の火蓋が切って落とされようとしている時代。競馬は「軍馬育成」の名目で開催されていた。政府は徒に射幸心を煽る馬券を庶民から遠ざけるため、敢えて発売単位を非常識な額にまで引き揚げたのである。

しかし、それでも金持ちもたくさんいたから馬券は売れたし、庶民は庶民で少額を出し合って馬券を共同で購入する「乗り馬券」を楽しんでいた。もし現在のようにオッズが発表されていれば、いくらなんでも「単勝票数=1票」なんて事態にはならなかったであろう。

単勝の総売上は103,920円(5,196票)だった。しかし、記録に残る単勝配当は「200円」。つまりたったの10倍。これでは計算が合わない。

戦時下ということで、控除率がべらぼうに高かったのか?

いや違う。配当は「最高でも10倍まで」という打ち切り制度があったから。配当打ち切りが適用されたレースでは、残った金額をハズレ馬券に還元して配当するというルールもあり、これを「特払い」と呼んだ。今では的中者ゼロの場合に支払われる70円の払戻金を指す言葉は、配当打ち切りルールの名残でもある。

さらに当時は大穴馬券を指して「二百円」と呼ぶこともあったとされる。ニュアンス的には「万馬券」に相当する言葉だと思っていい。ほとんどのレースが小頭数。しかも出走メンバーの実力差もかけ離れていおり、波乱が極めて珍しかった当時の10倍の配当は、まさに現代の万馬券級のインパクトがあった。

No  

配当打ち切り制度下の皐月賞で二百円を出したのは、ロックパークただ一頭。ちなみに、このレースは8頭立てだったが、記録では彼は「7番人気」となっている。実は、もう一頭「単勝1票」の馬がいたためで、8頭立て7番人気でもロックパークはれっきとした最低人気馬。皐月賞の歴史の中で、最低人気での優勝というのも彼を置いて他にはいない。2002年に単勝万馬券を演出したノーリーズンですら、18頭立ての15番人気だった。果たして、今年の皐月賞はどんな結末が待っているのだろうか。

 

 

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2014年4月15日 (火)

折り合い

騎手と馬の呼吸がぴったり合った状態を競馬では「折り合う」と言い、逆に人馬の呼吸が合わない状態を「折り合いが悪い」とか「折り合わない」などと表現する。折り合いが悪いひとつの例は、馬はスピードを上げようとしているのに、騎手は懸命に手綱を引っ張っているような状態。これではとてもレースにはならない。

日本の競馬では、とかくこの「折り合い」が重要視されがちだ。たとえば昨年の皐月賞で2着に敗れたエピファネイアと、3着に敗れたコディーノの敗者の弁がそれを象徴している。

■エピファネイア:福永騎手
「あそこまで折り合いを欠くとは思っていなかった」

■エピファネイア:角居調教師
「ダービーに向けて折り合いを工夫しないといけない」

■コディーノ:横山典騎手
「かかったなー」

■コディーノ:藤沢和調教師
「ちょっと行きたがった」

まるで「勝ち負けを分けるのは折り合いが全て」と言わんばかり。数年前のJCで、とある外国人騎手が「日本人は折り合いのことしか頭にないようだが、レースでは他に考えるべきことがたくさんある」と話すのを耳にしたこともある。日本人騎手は、レースの大半の時間を折り合いのために費やしているというわけだ。ちょっと言い過ぎの感もあるが、彼らがそう感じているのは事実だろう。折り合いを気にするあまり自分の馬ばかり見ているようでは、ライバルの動きなど見ている余裕があるはずもない。

Tazuna  

ところで、競馬の現場での「折り合い」という言葉の使われ方について、ひとつ気になることがある。本来「折り合い」とは「折れ合う」のであるから、当事者が互いに譲ることを意味する。だが、競馬で使われる「折り合う」には、ややもすると「馬を一方的に我慢させる」というニュアンスが含まれているような気がしてならない。折り合いを欠きそうになったとき、乗り手はどこまで譲っているのだろう。そも、譲っているのだろうか?

「まず人が折れなければなりません」

そう言ったのは生前の野平祐二氏だ。

そもそもすべての馬が自分を受け入れてくれるはずなどない。男女関係に置き換えてみればよく分かる。女性が何を考えているかを知るために、相手の要求を自ら進んで受け入れてみるのが大事。その上で、今度は相手の中に変えられそうな余地を探る。

「自分を変えられない人が、相手を変えられるわけないじゃないですか」。

訊けばなるほどと頷くしかないが、男女関係に喩えられてしまうと……人馬一体の境地は、つくづく遠い。

 

 

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2014年4月14日 (月)

ギリギリの交渉

「皐月開催ピンチ」

ハープスターの快走を報じるスポーツ紙の中に、昨今あまり見かけなくなった懐かしい題字を見つけた。今年のJRA厩務員春闘が難航し、労働組合がストライキに突入する可能性があるというのである。

厩務員春闘において、労組側が皐月賞の開催を人質に取るのは常套的戦術。だが、ここ数年は比較的平穏な労使交渉が続いていただけに、不意を突かれた感がしないでもない。

シンザンが勝った1964年の皐月賞の入場者数は、3万4131人と意外に少ない。実はこれも春闘の影響だ。なにせ、この年の春闘は皐月賞当日の午前3時に妥結するという綱渡りだった。ひとつ間違えたら、シンザンの3冠は無かったかもしれない。

ストライキが皐月賞を直撃したのは1976年が最後。この年の皐月賞は、トウショウボーイとテンポイントの初対決としても注目を集めていたから、インパクトも大きかった。結果、テンポイントはトウショウボーイに敗れるわけだが、その敗因についてはストライキによるレース順延で、体調を崩したためと言われる。復調は秋まで待たねばならなかった。彼ほどの名馬でもストライキに抗う力はない。

トウショウボーイの子・ミスターシービーがシンザン以来の3冠を目指した1983年の皐月賞に際しても、春闘交渉は苛烈を極めた。実際、中山競馬場への足となる京成電鉄労組はストライキに突入。これは皐月賞延期もやむなしか……と思われたが、すんでのところで開催ストは回避。皐月賞は無事に開催の目を見た。

この年に関して言えば、使用者側たる調教師側の尽力が大きい。若手調教師が積極的に団交に参加して、てきぱきと事務処理をこなし、統一感を欠きがちな調教師会の意見も一本化されたことで、交渉は驚くほどスムースに進んだ。一方で組合側も、戦術としての開催ストを通告してはいたものの、「ファン心理を無視することはできない」という姿勢を、最初から打ち出していたことは見逃せない。やればできるのである。

調教師側の代表の一員として交渉にあたった松山康久調教師は、大本命のミスターシービーを抱えながら、だからといって安易な妥協はできない立場に置かれていた。心中察するに余りある。ともあれ皐月賞は無事に行われ、ミスターシービーは3冠の第一関門を見事突破した。

調教師側にしても、厩務員側にしても、開催中止で得るものは何もない。それは誰もが分かっている。だからこそ丁寧かつスピーディーな交渉が必要。いくらなんでも大丈夫だろうとは思うが……。

 

 

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2014年4月13日 (日)

桜花賞を待ちながら

中山競馬場は間もなく10レースの発走。だが、私の背後の席に座る二人は道営競馬の2歳馬の話題で盛り上がっている。そういえば、あと10日もすれば門別も開幕。何でも、能検では新種牡馬ヴァーミリアンの産駒がたくさん合格しているんだそうだ。

Varmilion  

ダートのGⅠ級レースを9勝もしたヴァーミリアンだが、ラジオたんぱ杯2歳Sを勝つなど皐月賞まではクラシックを賑わす存在だった。当然、その産駒は芝もこなせる可能性が高い。背後の二人の会話は、すでに門別を飛び越えて7月の函館に向いている。

3歳クラシックの開幕を告げる桜花賞の発走前だというのに、2歳馬の話題で盛り上がるというのはいささか気が早いようにも思えるが、そもそも競馬に携わる人間というのは、先々のことに思いを寄せることが大好き。でなければ、1歳馬を買ったり、配合を考えて種付けすることなんてできるわけがない。

今日はJRAからも夏番組の発表があった。今年のJRA2歳戦は、6月7日12時15分発走の阪神5R芝1600m戦で幕を開ける。昨年レッドリヴェールが勝ったレース。そのレッドリヴェールを桜花賞のゴール前で測ったように差し切ったハープスターも、昨年7月にはデビューしていた。

調べてみると、桜花賞出走18頭のうち半数の9頭が2歳7月までにデビューを果たしている。2歳戦の前倒しは今に始まったことではないが、早期デビューの優位性は年を追うごとに高まっているように思えてならない。

ダービー直後の6月から7月の競馬といえば、かつてはどことなく長閑な感じが漂っていたもの。だが、目の前で行われている競馬がクラシックに直結するかもしれないとなれば、見る方も(馬を)出す方も、勢い緊張感が高まる。「ダービーからダービーへ」の番組改革は、関係者のみならずファンに対しても意識改革をもたらした。桜花賞の出走を待ちながら、来年の桜花賞にも想いを寄せなければならんとは、なんともせわしない話である。

Catalog  

そんなことをあれこれ考えながら帰宅すると、HBAトレーニングセールのカタログが届いていた。ヴァーミリアン産駒も3頭いる。この中に来年の桜花賞やさつき賞に駒を進める一頭が、はたしているのだろうか。気持ちははや来年のクラシックに向いてしまっている。

 

 

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2014年4月12日 (土)

湘南丼

ひそかに応援しているイタリアンネオがニュージーランドトロフィーに出走するので、とりあえずラッキーフードの鶏肉を食わねばと、中山への道すがら茅場町『鳥ふじ』に立ち寄った。

Torifuji  

知床鶏の透明感と玉子の濃いオレンジ色とのコントラストが見た目に眩しい。むろん味のハーモニーも絶妙。ギュッと噛み締めると広がる肉の旨味を、玉子がふんわり包んでくれる。これで運気アップは間違いあるまい。

だが、ニュージーランドトロフィーを勝ったのはショウナンカンプ産駒のショウナンアチーヴであった。写真判定の2着は、やはりショウナンカンプ産駒のショウナンワダチという親子丼決着。ちなみにイタリアンネオは6着。親子丼を食べた効果は、思わぬ形で結実してしまった。

Shonan  

父ショウナンカンプにとって、実はこれが初めての重賞タイトル。だが快挙はそれだけにとどまらない。テスコボーイからサクラユタカオー、サクラバクシンオーを経てショウナンカンプへと続くサイアーラインは日本が世界に誇る父系だが、その末端の世代に新たな重賞ウイナーが誕生したのである。栄枯盛衰が激しい種牡馬の世界にあって、奇跡的な出来事と言えなくもない。

スピード色の濃い種牡馬の系統は、次第に距離適性の幅を増し、中距離もこなし、時には長距離までその守備範囲を広げるものだ。ミスタープロスペクター系などはその典型であろう。だが、あまりに距離適性の幅を広げると、気づいた時には本来の持ち味であるスピード能力に陰りが表れ、あっと言う間に系統もろとも衰退してしまったりもする。

だが、このサクラバクシンオーからショウナンカンプへと続く父系は凄い。祖父テスコボーイから受け継いだスピード能力を、ショウナンアチーヴやショウナンワダチに余すところなく伝えている。

ニュージーランドトロフィーの勝ち時計1分33秒3は、古馬を含めても今年の中山の一番時計。ショウナンアチーヴ、ショウナンワダチの2頭は、文句なくNHKマイルCの有力候補となった。日本で育った最長の父系の行く末をこの2頭が握っていると思えば、今後の活躍ぶりから目が離せない。NHKマイルCで“ショウナン丼”の実現を夢見たい。それにしても「湘南丼」というと、腰越あたりの食堂のメニュー名みたいですね。

 

 

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2014年4月11日 (金)

ニュージーランドトロフィー

1983年に重賞に格上げされたニュージーランドトロフィーは、明日が数えて32回目。

Eishin  

今でこそNHKマイルCの前哨戦という位置付けだが、NHKマイルC創設前は、12ハロンは明らかに不向きのスプリンターと、12ハロンでもイケるはずなのにクラシックに出られない外国産馬やクラシック未登録馬が激突するという稀有な舞台だった。手綱を持ったまま後続を7馬身千切ったオグリキャップのレースぶりは、今となっては伝説のように語り継がれている。

「ミホノブルボンより強い」と言われた外国産馬ヒシマサルと、のちにマイルCSを勝つシンコウラブリイ、そして韋駄天サクラバクシンオーの「3強対決」でGⅠレース並みの盛り上がりを見せたのが、1992年のこのレース。9万6千人の大観衆が見守る中、シンコウラブリイが並み居る牡馬を蹴散らしたレースぶりは圧巻だった。重賞91勝を誇る藤沢和雄調教師の、これが初めての重賞制覇となる。

入場者数でいえば94年の方が凄い。なにせ10万8千人である。念のために記しておくが、この当時のニュージーランドトロフィーがGⅠだったわけでは決してない。わずか9頭立てのGⅡレースを見んがため、昨今ではGⅠ当日でも滅多に見ないほどの大観衆が東京競馬場を訪れた。彼らの視線の先にいたのは、外国産馬ゆえに桜花賞とオークスへの道が断たれたヒシアマゾン。同世代の外国産牡馬陣を破った彼女は、ここから女傑への道を駆け上がって行く。

Amazon  

重賞に格上げされる前のニュージーランドトロフィーは、3歳上オープンの芝1800m戦としてダービー前日に行われていた。これを3歳限定のマイル重賞とした狙いは、明かなマイラーをダービーのゲートから除外することにある。当時のダービーはフルゲート28頭かそれに近い多頭数が常態化。「ダービーを勝つのは強い馬ではなく運の良い馬」などという格言は、主催者にとっては皮肉でしかない。ダービーの出走頭数削減は急務であった。

さらに、ダービー前にステイヤーとマイラーとを明確に区分けし、その後の路線を整備することは、翌年実施された秋の天皇賞を3200mから2000mに短縮するための布石でもあったに違いない。そのための手段として、ニュージーランドトロフィーの重賞昇格だけではなく、さらに皐月賞の1600mへの短縮案も真剣に議論されていたと聞く。

その後さまざまな曲折を経て、皐月賞の一週前に中山の1600mでニュージーランドトロフィーが行われ、5月の東京でNHKマイルCが行われるようになった。オグリキャップの強さに驚き、シンコウラブリイの速さに痺れ、ヒシアマゾンの末脚に震えた者にとっては、ちょっと物足りない感じも受ける昨今だけれども、明日のニュージーランドトロフィーに超新星の輝きを見つけることはできるだろうか。

 

 

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2014年4月10日 (木)

おてんば娘から女傑へ

一日遅れでマリーンCの話。花粉が辛いとか言いながら、ちゃんと船橋には行ってますよ。

Sakura  

1番人気はエンプレス杯を大差楽勝のワイルドフラッパー。メーデイア引退後の新たなダート女王としての活躍が期待されている。その期待を表すのが1.2倍という圧倒的な単勝オッズ。昨年メーデイアが1.7倍。一昨年ミラクルレジェンドですら1.6倍。ワイルドフラッパーにかかる期待の大きさが伺い知れる。ちなみに馬名は「手におえないおてんば娘」という意味だそうだ。

Wild1  

2番人気はサウンドリアーナ。2歳秋にファンタジーSを優勝したスピード能力に加え、初ダートの端午Sで4馬身差の圧勝だからダート適正も高い。ちなみにお母さんはオテンバコマチ。

Sound  

そんな“おてんば対決”を制したのはワイルドフラッパー。今回は着差こそ7馬身という常識の範囲(?)に収まったが、福永騎手の「なるべく後続を離さないようにステッキも使わなかった」というコメントを額面通り捉えれば、彼女の秘めたる能力は、もはやメーデイアやミラクルレジェンドのレベルには収まるまい。松田国調教師の口から「今後は男馬との対戦も考えている」という言葉が飛び出したのも、そりゃ当然と頷ける。

Wild2  

ダートグレードにおける牝馬路線が整備された昨今は、A級牝馬がA級牡馬と対戦することは案外少ない。敢えて牡馬との対戦を選ばずとも、JBCレディスクラシックを頂点とした牝馬限定レースでローテーションを組むことができてしまうからだ。

牝馬が古馬牡馬相手にマイル以上の距離でダート重賞を勝った例は、2008年の東海Sを勝ったヤマトマリオン以来無く、GⅠ級となると2003年の帝王賞を勝ったネームバリューまで遡らなければならない。ワイルドフラッパーがそれに続けば、それはすなわちおてんば娘から真の女傑への華麗な変身を果たすことになる。なんだか「八重の桜」みたいな話ですね。

ちなみに、「おてんば」の語源はオランダ語の「オンテンバール」に由来しているとのこと。知らなかったですね。んで、ふと思いついて調べてみたら、オンテンバールという馬もちゃんといた。ローゼンカバリー産駒の牝馬で、道営の女傑クラキンコとはいとこの間柄。名前の通り、おてんばな女の子だったのだろうか?

 

 

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2014年4月 9日 (水)

専門店のミートソース

昨日「パスタ専門店以外で食べるミートソースが美味い」みたいな話を書いたばかりだが、もちろん専門店の味が負けると言うわけではない。誤解を招いていたら申し訳ないので、今日はミートソース専門店のお話。

Forkdance  

JR新小岩駅駅から南に歩いて徒歩5分。ミートソース専門店『フォークダンス』は、アーケード街から一本折れた路地に店を構えている。そういえば、むかし「フォークダンス」っていう名の馬がいた。タップダンスシチー産駒の牡馬。JRAでは未勝利に終わったけど、福山に渡って7勝もしている。

Forkdance2  

大粒の肉がふんだんに使われたソースは、まさにミートソースと呼ぶに相応しいが、専門店だけあって麺も素晴らしい。デュラム小麦100%。もちろん生パスタ。透明感のある優しい黄色。もっちりとした歯応え。そして鼻腔をくすぐる小麦の芳香。麺だけでも十分美味い。ガラス一枚隔てた厨房には巨大な茹で釜がグラグラと湯気を上げていて、注文が入るたびにご主人自らがつきっきりでパスタを茹で揚げる様は、讃岐うどんの店に通ずるものを感じる。

戸越銀座には『スペランツァ』というミートソース専門店がある。こちらの店で出されるパスタも平打ちの生麺(乾麺のスパゲティーニも選択可能)。専門店が揃って平打ち麺を使っているということは、それなりの理由があってのことだろうか。

Spe  

「スペランツァ」という馬もいましたね。サクセスストレインが勝ったクイーンCにも出ていた。ごらんの通り写真も撮っている。

Spe2  

でもレースは11着に敗れた。その後4戦もすべて2桁着順で引退。だけど、その割にはもっと名前を聞いているような印象があるんだよなぁ……。なんだっけか?

Sil  

……と思いつつハタと膝を叩いた。そう、読売マイラーズC連覇の韋駄天・シルポートのお母さんだったんですね。どうりでこのミートソース、外連味のない味わいがしたはずだ。

 

 

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2014年4月 8日 (火)

魅惑のミートソース

大井開催中ではないのだけれど、大井町『銭場精肉店』でとあるプロジェクトの打ち上げ。いやはや皆さんお疲れさんでした。

Zeniba  

和牛の溶岩焼きで有名なお店ではあるけれど、以前も紹介したようにこれでもかというほどのレアで提供されるハンバーグや、スジ肉の旨味たっぷりのカレーも捨てがたい。さらにはずせないのがこのミートソース。トマトソースの中に挽肉の粒がぽつんぽつんと浮かぶ程度のミートソースも珍しくない中にあって、この“肉々さ”こそ「肉ソース」の名にふさわしいのではあるまいか。むろん和牛100%。一口食べれば、ミートソーススパゲティは肉料理なのだと気づかされるに違いない。そういえばミートソースってパスタ専門店で食べる機会が案外少ないような気がする。

パスタ専門店ではない店の絶品ミートソースというと、最近の私は円山町の『やしま』が真っ先に頭に浮かぶ。

Yashima1  

知る人ぞ知る讃岐うどんの名店である。うどんの完成度もさることながら、いりこの香り沸き立つダシも絶品と評されるこの店でミートソースを頼むという行為は邪道の誹りを免れまいが、美味いのだから仕方あるまい。肉と天かすが絡みついた麺を一気に啜りあげるこの愉悦は、パスタではまず体験不可能。よくぞメニューに載せてくれたと感謝したい。

Udon  

しかし専門店でない店で食べるミートソースの嚆矢といえば、やはり喫茶店で食べる一皿であろう。この場合、昨今流行りの“カフェ”などというスタイルは相応しくない。薄暗い店内に紫煙漂う昭和のムードに満ち溢れた喫茶店で食べるミートソースは、茹で置きの麺をジャッと炒めて、そこにケチャップベースのソースとドバッとかけただけ。でもこれが不思議と美味い。

Sepia  

そんな不思議なミートソースを食べさせてくれるのが船橋駅近くの『セピア』。「スパゲティー・ミート」というネーミングがまた良いではないか。味は『銭場精肉店』や『やしま』に及ぶべくもないのに、なぜかときたま無性に食べたくなる。中山開催も残すところあと2週。果たして足を運ぶチャンスはあるだろうか。

 

 

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2014年4月 7日 (月)

1等星vs1番星

いよいよ今週は桜花賞。近年の牡馬牝馬の力関係を見れば、皐月賞よりもある意味重要なレースと言えなくもない。

Sakura  

なにせ、昨年の2歳牡牝混合の重賞9レースは、牡馬4勝に対して牝馬が5勝と勝ち越しているのである。しかもクラシックに直結すると言われる札幌2歳Sと新潟2歳Sをレッドリヴェールとハープスターの牝馬2頭が圧勝した。“牝高牡低”時代の象徴と見てよかろう。この両馬がいずれ日本競馬界の主役となることは間違いあるまい。

ハープスターの母ヒストリックスターは、2冠牝馬ベガが残した唯1頭の牝馬である。1等星の輝きを伝える牝系ラインは、実は意外に細い。かつてベガも管理した松田博資調教師にすれば、格別な思いで臨む桜花賞であろう。

ハープスターが「1等星」なら、レッドリヴェールは昨年6月1日の阪神5Rでこの世代最初の勝利を飾ったいわゆる「1番星」。今回再びハープスターを破れば、おのずと1982年のリーゼンクロス以来となる「1番星のクラシック制覇」の偉業が見えてくる。

だが、レッドリヴェールには気になるデータも。世代の1番星として札幌2歳Sを勝ち、暮れの阪神で強敵を破って無敗の2歳牝馬チャンピオンに輝いた馬といえば、どうしてもビワハイジを連想せずにはいられない。

ブエナビスタやジョワドヴィーブルの母となったビワハイジも、桜花賞15着、オークスをパスして臨んだ日本ダービーも13着と、彼女のクラシックには苦い思い出しか残っていない。

そうえいばレッドリヴェールも、オークスではなく日本ダービーに向かう可能性があると報じられている。もしやビワハイジが迷い込んだ迷宮に手招きされていやしないか。いや逆にウオッカ以来の快挙が待っているかも。いずれにせよ、この桜花賞を見ないことには始まらない。

 

 

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2014年4月 6日 (日)

ノーザンテーストの血

GⅠ馬4頭の競演に沸いた産経大阪杯の陰に隠れてしまったが、中山のダービー卿チャレンジトロフィーにもアユサンとカレンブラックヒルのGⅠ馬2頭が参戦。ハンデGⅢ戦としては「豪華メンバー」と言えなくもない。レースはそのカレンブラックヒルが好枠を生かして先行すると、カオスモスとの競り合いを制して見事1着ゴール。一昨年の毎日王冠以来となる重賞3勝目を挙げ、GⅠホースの面目を保った。

Karen  

デビューから4戦無敗でNHKマイルCを制し、古馬との初対戦となった毎日王冠でジャスタウェイやエイシンフラッシュを一蹴して無傷の5連勝。だが、このあとから何かが微妙に噛み合わなくなった。天皇賞・秋で距離の壁にぶつかると、4歳初戦にはダートのフェブラリーSを選択し、あろうことかブービーに敗れてしまう。

さらに騎手を変えたり、控える競馬を試みたりと試行錯誤を繰り返すも、思うような結果は得られない。あっという間の6連敗。そのうち4度は2桁着順の大敗。だが、それでもファンは今日のレースでカレンブラックヒルを4番人気に支持した。その慧眼には敬服する。

思えば父・ダイワメジャーも2005年のこのレースの覇者。ハンデも同じ57.5キロだった。3歳春にGⅠを勝ち、その後の低迷から脱出する復活勝利を挙げたという点でも似ている。

単なる偶然だろうか。だが、先週の高松宮記念をコパノリチャードが勝ったり、同じ日の心斎橋Sでオリービンが1年半ぶりの勝利を挙げたりするのを見ると、ダイワメジャーの母の父でもあるノーザンテーストの血統的特徴を思わずにいられない。「ノーザンテースト産駒は三度変わる」の言葉通り、古馬になってからもうひと回りスケールアップする。その血はスカーレットブーケを通じてダイワメジャーへと受け継がれ、さらにその産駒たちに伝わっているのかもしれない。

Mejer  

2005年のこのレースで初めてマイル重賞を勝ったダイワメジャーが、その後マイルGⅠ3勝のチャンピオンマイラーに登り詰めたことを思えば、カレンブラックヒルの展望も明るい。と同時に、来週もダイワメジャー産駒の変わり身には注意が必要だろう。来週の阪神牝馬Sには、なんと4頭ものダイワメジャー産駒が登録してきた。注目したい。

 

 

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2014年4月 5日 (土)

ラッキーフード

高松宮記念をコパノリチャードで勝った小林祥晃オーナーが行ったというゲン担ぎがすごい。熱田神宮への必勝祈願はまあいいとして、今年のラッキーフードである鶏肉を食べるため、レース当日の朝からケンタッキーフライドチキンや唐揚げ弁当などレース発走まで4食も平らげたというのだ。

風水はもちろん、占い、縁起の類にはいっさいの信心を寄せぬ私ではあるが、鶏肉をたくさん食べて馬が勝つならこれに越したことはない。そこで、今日は鶏肉三昧を試みてみた。

まず中山競馬場に向かう途中で途中下車。唐揚げ激戦区として知られる平井駅近くの『唐揚げ市場』で鶏肉とファーストコンタクトを図る。この店のウリはバカデカい鶏のから揚げと、バカ盛りと呼ばれる大量の白飯。鶏肉料理の王道とも言うべきこの店のから揚げは、表面はカラリとべとつかず、噛めば肉汁がじゅわっとほとばしる。冷めても美味さが損なわれないところも特筆すべき点であろう。まずは1食クリア。

Kara  

返す刀で3軒隣のケンタッキーフライドチキンも攻めてみる。ケンタといえば、東京競馬場、中京競馬場、京都競馬場、小倉競馬場、さらには大井競馬場にもある競馬場ではお馴染みのファストフードであるのに、なぜか中山競馬場内およびその界隈にカーネルサンダースの顔を見つけることができない。ここで見つけたのも何かの縁であろうから、バリッとフライドチキンを齧って2食目もクリア。

Kenta  

船橋法典に降り立つと、競馬場専用通路ではなく、うどんの『まるは』に直行。もたれる胃袋を尻目に鶏天うどんを一気にすすって、これで3食目。

Udon  

中山競馬場では、ギムレット氏のコメントにあった『トプカピ』のカレーに『鳥千』のフライドチキンを載せた中山特製チキンカツカレーを実践。先にカレーを購入し、その器を持って『鳥千』に行けば、おばちゃんがフライドチキンをカレーに載せてくれる。もはや胃袋は悲鳴を上げているが、カレーならなんとかなる!と己に言い聞かせてどうにかクリア。「4食」のハードルはなまなかではない。

Chikin  

んで、結果はどうだったかというと、船橋Sで私の応援するブランダムールは、3番人気にもかかわらずあろうことかブービーに敗れてしまった。あれれ? 話が違うじゃないか。

おかしいなぁ……と思いつつ、食べたメニューを振り返ってハタと膝を打った。

鶏肉よりも白飯とかうどんの量が多過ぎたのかもしれない……。

かくして馬は敗れ、私の肥満だけがひたすら進行しただけという結末に。まあ、結局は私がただ単に「やってみたかった」だけなんですよね。わかったことはひとつ。これだけ鶏を食べるのはたいへんなこと。小林オーナーはすごい。

 

 

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2014年4月 4日 (金)

【訃報】ライデンリーダー

桜花賞が来週に迫った水曜の朝に、ライデンリーダーの訃報が飛び込んできた。

1995年の桜花賞トライアルを圧勝し、本番でも1番人気に推された笠松所属の牝馬。この年の牝馬3冠レースは、桜花賞をワンダーパフュームが、オークスをダンスパートナー、エリザベス女王杯をサクラキャンドルがそれぞれ勝ったのに、「ライデンリーダーの一年」という印象をお持ちの方は少なくあるまい。実は私もその一人。この年はライデンリーダーを追いかけて、笠松や京都への遠征を繰り返した。

中央でGⅠのタイトルに手が届かなかったにもかかわらず、ここまで我々の脳裏に彼女の印象が強く焼きついているのは、結果的に彼女が果たした役割がとてつもなく大きかったからであろう。ライデンリーダーという存在がもしなかったら   。安藤勝己、小牧太、岩田康誠、内田博幸、戸崎圭太といった地方の名手たちが、今日のようにJRAで活躍する日は来なかったかもしれないし、たとえJRAに来ることができたとしても、もっと遅れていたに違いない。

「河川敷の小さな競馬場からやってきた、取引価格350万円(実際には300万円とも)の安血統馬が、中央のエリートたちを蹴散らす」

いつの世も競馬ファンはそういうストーリーを好む。桜花賞での単勝オッズは1.7倍と圧倒的。それゆえ、前が塞がって4着に敗れると、鞍上の安藤勝己騎手は容赦のない非難の嵐にさらされた。

Raiden  

だが、思い返せば、桜花賞でライデンリーダーに先着した3頭(ワンダーパフューム、ダンスパートナー、プライムステージ)は、いずれもトライアルには出走していなかった馬たち。実際「前が壁になった」と言いつつも、ライデンリーダーもそれなりに伸びていたように思う。仮にそれ以上の脚が残ってれば、壁の隙間を割ってでも伸びてきたはず。結局はトライアルがピークだったのだろう。それでも安藤勝己騎手は黙って批判に耐えていた。それが、中央移籍から引退までの10年間に桜花賞4勝という大記録につながったのかもしれない。

ライデンリーダーの父ワカオライデンは、JRA所属時に骨折で再起不能と診断されたが、これを笠松競馬に引き取って復活させ、種牡馬にまでさせたのが、ライデンリーダーの調教師でもある荒川友司師(故人)だった。またワカオライデンの曽祖母・クモワカが、「伝貧」と診断されながらすんでのところで殺処分を逃れたのは有名な逸話。ともあれ、ライデンリーダーの血には奇跡的な生命力が宿っていると、私は勝手に信じていた。そういう意味では22歳での死には、意外な思いも禁じ得ない。日本競馬史に大きな影響を与えた名牝の冥福を祈る。

 

 

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2014年4月 3日 (木)

出世レースの勝ち馬として

昨夜行われた東京スプリント(JpnⅢ)は、5番手でじっくり脚をためたノーザンリバーが、直線で外に持ち出すと余裕たっぷりに抜け出して優勝。一昨年のこのレースの覇者セイクリムズンに3馬身もの差をつける圧勝で、重賞3勝目を挙げた。

River  

3歳春には皐月賞とダービーに出走した素質馬である。だが、ダービーに後に骨折が判明。2年近いブランクを経て昨春にカムバックしてからは、主にダートの短距離戦を使われてきた。昨年暮れのカペラSでダート重賞初勝利。そのレースでクビの2着が、高松宮記念でも2着したスノードラゴンであるから、そのレベルの高さは疑いようもない。

なのに私は「大井コースが初めてだし……」などと難癖をつけ、あろうことか単勝1.5倍の大本命に逆い、みすみす3連単万馬券を逃した。バカである。この馬券下手につける薬など、もはやあるまい。なにせ、2着セイクリムズンはもちろん、3着アルゴリズム(10番人気)もしっかり買っていたのだから。いや、アルゴリズムって、デビュー戦ではショウナンマイティを押さえて1番人気に押された素質馬なんですよ。なんて言ってみても、ノーザンリバーを買っていなければ何にもならない。

実は、個人的な注目はジェネラルグラントとセイントメモリーの地方2頭であった。ラブミーチャンとフジノウェーブが不在となった地方の短距離界で、中央に互して戦える能力を備えた地方馬はこの2頭しかいまい。だが、そんな淡い期待は、ノーザンリバーが繰り出した上がり35秒台の末脚の前に、実にあっさりと打ち砕かれた。

この日の大井は追い込みのきく馬場状態。レース後のジェネラルグラント陣営からは、この馬場と位置取りに敗因を求める声も聞かれたが、仮にジェネラルグラントとノーザンリバーの位置取りが逆になっていたとして、ジェネラルグラントにあれだけの脚が使えたかどうか。今後はトップスプリンターが持つ本物の“キレ”を身に着けたい。セイントメモリーは休み明けに加えて、陣営のトーンも上がらぬ6ハロン戦。コーナーふたつの競馬は見るからに辛そうだった。

ノーザンリバーの次走は優先出走権を得たかしわ記念であろうか。最近の勝ち星はスプリント戦に集中しているが、3歳時にはアーリントンCにも勝っている。アーリントンCと言えば、ジャスタウェイやコパノリチャードも勝った近年屈指の出世レース。ノーザンリバーにもこの2頭に匹敵するほどの大活躍を期待したい。

 

 

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2014年4月 2日 (水)

判定写真

競馬の着順は、JRAの決勝審判委員3人が決める。肉眼での判断が原則だが、頭や鼻の差など判断が難しい場合に写真判定となる。

判定写真の撮影には芝用3台、ダート用3台、計6台のスリットカメラが使われている。意外に多いと感じられるかもしれないが、万一の故障や操作ミスを考えてのこと。これは1972年のクモハタ記念の騒動がひとつの転機となった。

1972年12月3日。東京競馬場で行われた第22回クモハタ記念は、内ラチ沿いから抜け出したタケデンバード(ゼッケン8番)が追い込んだハクホオショウ(ゼッケン1番)を「首差」抑えて優勝したが、スタンドで見ていた多くの観客の目にも、TV中継を見ていた視聴者の目にも、ゴールの瞬間はハクホオショウが差し切っているように見えた。しかも半馬身はあろうかと思われた3着アラカワタンユウ(ゼッケン19番)とハクホオショウとの着差も、写真判定の末に「頭」と発表されたものだから、騒ぎは収まらない。

Kumohata  

実はこのとき、着差を判定するスリットカメラが作動していなかったことがあとになって判明する。だから写真判定をしようにも、その材料などないはず。この事実は場内のファンには全く知らされず、ハクホオショウを管理する尾形調教師や記者からの質問によって、最終レース後に明らかにされた。

競馬会は「写真はあくまで参考である」と主張。着順決定の権限は審判員の肉眼にゆだねられるというのである。翌日、スポーツ新聞各紙に掲載された写真も「これは、ゴール瞬間のものではなく、ゴール通過後のもの」として姿勢を変えることはなかった。

だが、このような対応でファンが納得するはずがない。競馬会では苦情の電話が鳴りっぱなし。中には新聞持参で広報室に乗り込むファンも。尾形調教師は訴訟も辞さぬ構えと報じられ、競馬会としては何らかの対応を迫られる事態となった。

競馬会の窮地を救ったのは、誰あろうハクホオショウの馬主である西博氏である。問題のレースから4日後、競馬会の酒折武弘副理事長らと面会した西オーナーは、「これ以上騒ぎを大きくしたくない」とした上で、「今後は着順判定については、写真を重要欠くべからざる資料として採用する」、「機械整備はもちろん、機会が完全に作動しているかどうかの確認を正しく行う」のふたつの要望を出した。

これを受け、競馬会は

①ゴールで2頭以上の競走馬が半馬身以内の差で競り合った際は写真を「重視」する。
②判定用カメラを3台に増やす。
③この内容に沿って競馬施行規定を改訂する。

の3点を約束。クモハタ記念を巡る騒動の終息が図られると同時に、現在まで引き継がれる写真判定運用が始まった。

この一件だけでも、意外にも人間の目は着順を決める場合に信ずるに足りないことが分かる。その人間の目が2頭の馬のレースを三度とも「同着」と判定したことがある。

ただしこれは米国での話。1873年ニューヨーク州グレーブセント競馬場。最初のレースが同着。再レースも同着。三度目も同着。ようやく四度目のレースで審判員がハナ差で一方の勝ちを宣告したら、観衆が騒いで大混乱になったという。写真判定で良い思いをしたことはあまりない私だけど、こういうエピソードを聞けば、現代の精密な写真判定技術というものはありがたいものだとしみじみ思う。

 

 

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2014年4月 1日 (火)

昨日今日と、「運」というものについて考え続けている。

Kopa  

小林祥晃オーナーがGⅠ連勝を果たした影響も、決してゼロではない。人知の及ばざる処にある「運」を、それでも環境や行動を通してコントロールしようという試み   それがDr.コパ氏の得意とする風水であろう。そんな試みの可否はさておき、日常の生活では思いの至らぬ「運」というものの深層領域に思いを寄せたくなったのである。

ギャンブルとしての競馬がファンの心を捉えてやまないのは、人知の及ぶ処と及ばざる処の割合が絶妙だからではあるまいか。人知の及ぶところはいわゆる「技量」や「知識」であり、及ばざる処はすなわち「運」である。

「運」がすべてを支配する賭の代表格は宝くじだが、競馬ほど病的かつ慢性的かつ執着的なファンは少ない。逆に「技量」がすべてを決める将棋やチェスで、賭ける行為は原則として行われない。熱心なファンが多い麻雀や競馬は、勝てば自分の選択が正しかった信じ、負ければツキがなかったと諦めがつく点が優れている。まさに「技量」と「運」のバランスの妙である。

この両者のバランスは、実は我々の人生にも通じ合っている。人間が生きていくには「技量」や「知識」が欠かせないが、それでもしばしば「運」という名の天使に翻弄される。いかに高度な分析や確率論上の担保を伴っていたとしても、それで予知不能なリスクをすべて避けられるわけでもない。戦績、時計、展開、血統をどれだけ分析したところで、想定外の出遅れや他馬による妨害に見舞われることだってある。人生は競馬なのだ。

果たして「技量」が「運」を完全に支配することなど可能なのだろうか? もし、それが可能ならば、馬券などというものは消えてなくなってしまうかもしれない。

パスカルやフェルマーといった大数学者は、すべての「運」を解明せしめ、あらゆる偶然を人知の及ぶ処にしようと確率論を発展させたが、そこに秘められた大きな謎を手中に収めることはついにできなかった。

我々は馬券が外れると「ツキがなかった」と思う一方で、「なぜこれを見落としてたんだろう?」と原因を探ることも実は忘れない。それで多少の「技量」や「知識」を習得し、同じ過ちを繰り返さぬようわずかばかりでも進歩はしているはずなのだが、それでも「運」という魔女の前では100%の解決などあり得るはずもない。

結局のところ、生きる上では「運」と上手く付き合っていく他ないのであろう。「上手く生きるための技量」とは、実は「上手く運と付き合うための技量」に過ぎないという気もしてくる。

パスカルもフェルマーも晩年はギャンブルに溺れた。希代の大数学者たちも、最終的には「運」には逆らえぬと悟ったのかもしれない。

 

 

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