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2014年3月15日 (土)

煮込みの誘惑

なんとなく昨日の続き。

大井競馬場を訪れて、とりあえずかけつけ一杯とばかりに2号スタンドの『第一仲商店』に足を運ぶ向きは少なくあるまい。

Ooi  

大井のグルメは「煮込みに始まり、煮込みに終わる」と言われる。中でもこの店の「牛すじ煮込み」は人気だ。何せ、中学生になる不肖の娘は、ここの煮込みを食べたいという理由だけで「大井に連れて行け!」とせがむほど。私の娘であるから、もちろん競馬には興味がある。とはいえ、入場門を潜るなりパドックなどには見向きもせず、まっすぐ2号スタンドに向かうのだから、少なくとも大井では「煮込み>競馬」というスタンスなのではあるまいか。一度JRA東京競馬場で煮込みを食べて、「大井の方がずっと上」と言ってもいた。これが競馬のレベルの話であれば、関係者はさぞかし喜んだことであろう。

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一方で「煮込みはくさい」と言って敬遠する向きもある。だが、思うにそれは調理法の問題ではあるまいか。最低でも3時間から4時間。店によっては5時間煮込むというところも。その時間に応じて脂やアクが抜け、臭みも消えていく。『第一仲商店』の牛すじ煮込みは、弾力に富みつつも歯応えも抜群。噛みしめるほどに旨味が滲み出てくる。もちろん臭みはない。重賞開催日に長蛇の列ができるのも理解できる。

しかし、ただ長時間煮込めば良いというものでもない。肉の種類や厚みだけでなく、火の強さや鍋の大きさなど様々な条件で味や食感が変わってしまう。駒沢公園の隣で半世紀以上も煮込み一筋で暖簾を守る『かっぱ』は、そんな繊細な料理としての煮込みを極めた希有な一軒だ。

Kappa  

店内はカウンターのみ9席。その内側では鍋に入った煮込みがグツグツと音を立てている。酒は置いてない。客たちは、皿にたっぷりと盛られた煮込みを黙々と食べ、ふと思い出したかのように白飯をかき込む。

開店時間は夕方。昼からやって欲しいとも思う。だが、朝9時から仕込みをしていると聞けば、そうも言い出せない。下茹でした肉とこんにゃくをみそで3~4時間ほど煮込むとのこと。営業中もおタマで鍋をかき回し、味見をしながら火を調整する姿が目に留まる。研ぎ澄まされた勘こそが、この味の決め手に違いあるまい。

さすがに娘をこの店に連れてきたことはないのだが、食べさせたらいったい何と言うであろうか。競馬関係者としては、それでも大井に軍配を上げて欲しいところだが。

 

 

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コメント

えもしおん様
コメントありがとうございますhappy01
「メシときどきケイバ」などと謳っていながら、最近は「ケイバときどきメシ」になっている感もありますが、今後もおつきあいいただければと存じます。
なお匿名は事情があってのものです。実名では調教師の悪口とか書きにくいですからbleah

投稿: 店主 | 2014年3月16日 (日) 21時08分

はじめまして。とあるきっかけから、1年程、拝見させて頂いております。無論、競馬ファンですが、グルメの情報目当てで見させて頂いてます。競馬ファンであるがゆえなんでしょうか、筆者様の味の趣味がストライクでして、毎回楽しみにしております。写真からもその美味しさが十分に伝わってきますが、文才のある方なんでしょう、文を読み進めるうちに空腹に追い打ちをかけてきます。毎回、密かに拝見させておりましたが、遅ればせながら挨拶させて頂きます。差し支えなければ、お名前をおしえて頂きたいのですが。どこにも情報がなく、探してしまいました。意図的に名前を伏せていらっしゃるのであれば、申し訳ございません。ブログを拝見してると、どんな方なのかとても気になったので。

投稿: えもしおん | 2014年3月16日 (日) 09時14分

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