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2014年2月21日 (金)

釜玉の誘惑

通常、うどんは釜で茹で揚げた直後に冷水で締める。こうすることで表面のぬめりが取れると同時に、麺のコシが格段にアップする。

だが、釜揚げうどんの場合は、この「水で締める」という工程がない。釜から茹で揚げて、そのまま客の前に出される。なので、うどんは幾分柔らかめで、麺自体の余熱で延びるのも早い。だが逆に小麦の風味はいっそう際立つ。その刹那的な美味さを味わうなら、釜揚げうどんに玉子を落としただけのシンプルな「釜玉」をおいてほかにあるまい。

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上の写真は丸の内の人気店『つるとんたん』の釜玉。多くの店の釜玉がそうであるように、注文してから10分ほど待たされる。茹で揚げを提供する以上、これはやむを得まい。しかしごく稀に、茹で置きの麺をお湯にくぐらせてから丼に移し、その上から生卵をポイとかけて「ホラよ」と出される店に遭遇することもある。これはいただけない。釜玉は月見うどんとは違う。

明日から3日連続の開催を迎える東京競馬場の隣駅。分倍河原の路地裏にひっそりと店を構える『喜三郎』は、まともな釜玉を出す一軒。北海道産の小麦粉にこだわっているというだけあって、その香しさは都内のうどん店の中でも群を抜く。釜玉に使うのは生玉子ではなく温泉玉子。後半にありがちな汁っぽさに悩まされることなく、最後まで同じ味が楽しめのも嬉しい。

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ところで、この釜玉をTVや雑誌などが取り上げるに際し、「カルボナーラ風のうどん」と紹介されることが多いような気がするのだが、これは果たして正しい表現なのであろうか。

確かにどちらも玉子を使った麺料理には違いあるまい。だが、あくまでも麺の美味さ際立たせるために使われるのと、チーズや黒胡椒などと織りなす濃厚かつパンチの効いたソースのために使われるのとでは、やはり終着駅が違うような気がする。

麺料理という共通項にこだわらなければ、むしろ「玉子かけごはん」に近いのではあるまいか。湯気があがる炊きたてのご飯に生玉子を落として、醤油をひと垂らし。純白から黄金色に染まった米粒の艶。もちもちの米に絡む濃厚な玉子の甘さ。いずれも釜玉に通ずるものがある。両者とも、一気に掻き込むのがいちばん美味い食べ方であることは言うまでもない。

ああ、こんなことを書いていたら、今度は玉子かけご飯が食べたくなってきた。太ってしょうがないね。

 

 

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