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2014年2月13日 (木)

結核に思う

知人が結核を患ったと聞いて戸惑っている。快方に向かっているそうなのでなによりだが、そもそも「結核」という病名にピンとこない。映画「風立ちぬ」のヒロインが患う昔の病気   くらいの印象しか持っていなかった。

社台グループの礎を築いた故吉田善哉氏が、若い時分に肺結核を患ったことで、徴兵されずに済んだというのは良く知られたエピソードである。ヤミで手に入れたスプレトマイシンを自分でガンガン射って、結局は完治させてしまうのだが、この時、氏がもし結核にかかっておらず、そのまま戦地に駆り出されていたとしたら……、おそらく日本の競馬は、今とはかなり違ったモノになっていたことだろう。

そんな結核だが、今も年間2万人以上の新規患者が発生しているのだという。いやはや、自分の鞭、もとい無知を恥じるほかはない。

調教師としてダービーを2勝した名伯楽・松山吉三郎氏も結核がもとで騎手を引退し、調教師転向を余儀なくされたのだと聞いたことがある。ダンシングブレーヴにしても、結核の一種「マリー病」を患っていなければ、日本にやってくることはなかったであろう。

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小説『蛍川』で1978年の芥川賞を受賞した作家の宮本輝氏は、受賞直後に結核を患い、1年間の療養生活を強いられた。

だが、この療養中に宮本氏は、不治の病で入院生活を送りながらも競走馬の魅力にとりつかれて前向きに生きようとするひとりの少年と、日本ダービーを目指す一頭の馬を巡る壮大な物語の構想を練る。そのストーリーは『優駿』というタイトルで小説となり、吉川英治賞を受賞。映画化もされ、今も競馬ファンの脳裏に焼き付く名作となった。

こうしてみると、「結核」の存在は日本の競馬史に少なからず影響を与えたと思えてならない。ともあれ、知人の全快を心より願う。

 

 

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