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2014年2月20日 (木)

競馬場の大向こう

最近はあまり馬券を買う機会がないので、至極おとなしく観戦しているが、以前は100円単位の馬券を握り締めてワーワーと無駄な声を張り上げていたものである。

Bagun  

「そのまま!」
「差せ!」
「できた!」

競馬場でファンが叫ぶ言葉は様々あるが、それぞれの言葉には発せられるに相応しいタイミングというものがある。

実はこれはなかなか難しいもので、向こう正面から「そのまま!」などと言うのはいくらなんでも気が早いし、かといって明らかに脚色が優性な馬に向かって「差せ!」と叫ぶのも芸がなくむしろシラける。レース展開を読みながらベストの瞬間にベストの言葉を発する技量が求められるわけだ。歌舞伎でいえば「大向こう」の掛け声のようなものか。ただし、競馬場では「成田屋!」ではなく「ナリタ!」、「中村屋!」ではなく「中村っ!差せ!」という声になったりする。

以前、知人と連れだって競馬場に出掛けた際、スタートで後手を踏んだ騎手に向かって、その知人はレース中ずっと「ふざけんな! ××!」と吠え続けていた。そういえば、罵る(ののしる)という字には、なぜか“馬”が含まれている。

とにかく、この知人はレースのたびにあらん限りの声を出し続けて、最終的には財布を涸らしただけでなく、声まで嗄らしてトボトボと競馬場をあとにした。

昔の地方公営競馬場には、自分の予想通りに決着すると「●●新聞○○記者、本命・対抗!!」と、自ら“勝ち名乗り”を挙げる予想記者がいた。気持ちはわかるけど、配当300円程度のレースでそれをやられると、周囲はドン引きになる。なんであれ、掛け声といものは場の雰囲気に調和したものでなければならない。難しいものだなと思う。

 

 

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