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2014年1月31日 (金)

【訃報】サクラチトセオー

ダイヤモンドビコーに続き、天皇賞馬サクラチトセオーの訃報が伝えられた。24歳。種牡馬を引退してからは、新和牧場で余生を過ごしていたが、いつものようにスタッフが馬房を訪れると既に息を引き取っていたという。

個人的に思い出されるのは、ゴール寸前でジェニュインを差し切った天皇賞ではなく、1マイル1分32秒1という日本レコードを樹立した京王杯オータムハンデでもない。それは1995年1月22日のAJC杯。1月の中山には珍しく、雨のそぼ降る薄暗い日だった。

1着サクラチトセオー。2着ホクトベガ、3着ステージチャンプ。普通ならごくありふれた冬場のGⅡ戦だが、この日の競馬場には、普段とは致命的に違う空気が漂っていた。なぜか? 本来なら同時開催されているはずの京都競馬が中止されていたのである。その5日前に発生した阪神大震災により、競馬開催のみならず、関西地区での馬券発売も中止。東日本大震災とまったく逆のことが、このとき起きていた。

だから関西にお住まいの方は、この年のAJC杯の印象をお持ちではないかもしれない。なにせIPATもなかった当時のことである。スポーツ新聞も関西発行版では競馬欄を掲載しなかった。

震災直後、被災を免れた競馬場で重賞を勝った馬が、その1年間を通じて活躍する   。つい最近、我々はそんな一頭に巡り合ったばかりだ。東日本大震災直後に阪神競馬場に場所を移して行われたスプリングSで重賞初制覇を飾り、そのままクラシック3冠と有馬記念を勝ったあの馬。そうオルフェーヴルである。

AJC杯を勝ったサクラチトセオーは、中山記念、安田記念、宝塚記念でいずれも1番人気に押されるが、あと一歩のところで勝利を逃してしまう。しかし、秋の天皇賞でついに悲願達成。直前に調教師転身を発表し、「騎手人生最後の盾」と退路を断ってレースに臨んだ小島太騎手の執念が実った瞬間。見る側にも鬼気が伝わるほど、まさしく怒濤の追い込みだった。

Chitose2  

この年のサクラチトセオーの成績は7戦して【2,2,1,2】。GⅠとGⅡをそれぞれ1勝ずつだから、オルフェーヴルの成績には及ばないかもしれない。とはいえ、前年の3冠馬ナリタブライアンが不調を極めたこの年、震災直後の競馬界を支える存在であったことは間違いない。実際、最優秀5歳以上牡馬にも選ばれた。あらためて冥福を祈る。明日の東京5Rでデビューするサクラアンプルールは、サクラチトセオーの妹サクラメガの息子。明日は偉大な伯父の弔い戦になる。

 

 

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2014年1月30日 (木)

磯野家の人々

数年前「ナミヘイ」という馬がJRAで走っていた。アフリート産駒の牡馬。2代母がグッバイヘイローだから、キングヘイローの甥ということになる。決して安い血統ではない。それにしてもよく馬名審査通ったな……と思いつつJRAのサイトでその由来を調べたら、「平地を波に乗って走る」とある。よく分らん。まあ、普通に考えれば「磯野波平」を連想しますよね。

その波平さん役の声優・永井一郎さんの訃報には驚いた。磯野波平が死んでしまったような錯覚を覚えた方も多かったのではあるまいか。

「本当に寂しい気持ちでいっぱい」。すぐさまコメントを寄せたのはサザエ役の声優・加藤みどりさん。その記事で、加藤みどりさんが74歳だと知ってまた驚いた。アニメ「サザエさん」の放送開始は1969年。コダマが2冠に輝き、スピードシンボリが1回目の有馬記念制覇を果たした年である。45年の歳月は重い。

今でこそ鈴木淑子さんを始め、目黒貴子さんや細江純子さんなど、TVやラジオの競馬番組で活躍する女性は珍しくないが、実は加藤みどりさんこそ女性競馬キャスターの先駆け。「サザエさん」放送開始前には、ラジオ短波で番組の進行や解説を務めていたこともある。

NHKの国際局に勤務されていたご主人に感化されて競馬にのめり込んだというその知識は、まさに玄人はだし。特に血統に詳しく、それを根拠にした馬券は良く当たると当時でも評判だった。

ただし馬券は買わない。番組以外では予想も披露しなかった。「軽々しく卦を立てないのがプロ」と言ってのけるのだから、もはや達人の域に近い。一方で、競馬へのきっかけを与えたことになるご主人は、のちにプロデューサーとして名番組『世界の競馬』を世に送り出した。こちらも凄い。

Masuo_2  

ちなみにマス夫さんの趣味は競馬。自宅で競馬新聞を広げて予想したり、実際に競馬場へ行って観戦するシーンがたまに登場する。だが、基本的には馬券下手という設定になっているようで、いつも負けてばかり。なのに、波平もマス夫の予想に乗っかったりするから始末に負えない。二人揃って「サザエさん」に弟子入りすべきではあるまいか。永井一郎さんの訃報に触れ、そんなことにまで思いが及んでしまった。

 

 

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2014年1月29日 (水)

スノードラゴンに注目だ

写真は2007年の根岸S。勝ったビッググラス、手綱を取った村田一誠騎手、そして管理する中尾秀正調教師。この三者にとって初めての重賞制覇となった。

Biggrass  

そういう意味で今週の根岸Sでは、スノードラゴンに注目している。出走馬唯一の関東馬だからではない。管理する高木登調教師にとって、開業6年で初となる重賞制覇のチャンスなのである。

開業直後の初出走で初勝利をマーク。昨年夏には通算100勝も達成した。だが、重賞タイトルになかなか手が届かない。開業同期の斎藤誠師や松永幹夫師は既にGⅠタイトルも獲っている。願わくばここで初重賞制覇を飾り、その勢いのままフェブラリーSまで突き進みたい。

Snow  

スノードラゴンはアドマイヤコジーン産駒の牡馬。昨年は3度重賞に挑戦するも、8着、4着、2着に終わった。だが、今回は陣営が「もっとも得意」と語気を強める東京ダート1400m戦。実際には【2,2,0,1】だから、勝率は5割に満たないのだけど、この条件では唯一の重賞レース。力が入るのも無理はない。

美しい芦毛はアドマイヤコジーン、コジーン、カロ、フォルティノを経てグレイソヴリンへとさかのぼる芦毛の本流から受け継いだもの。この父系は総じて軽快なスピードを武器としており、芝で活躍する産駒が多く、アドマイヤコジーン産駒がJRAのダート重賞を勝った例はない。スノードラゴンが勝てば種牡馬アドマイヤコジーンの新たな可能性が広がることにも繋がる。

思えばアドマイヤコジーンも左回り【3,2,0,1】。安田記念を含む重賞3勝で、2度の2着もGⅠでのもの。その子となれば、「東京得意」という陣営の主張にもどこか頷けるものがある。

Admire  

アドマイヤコジーンは、2歳秋に3連勝し、朝日杯を制した2歳チャンピオン。だが、その後は骨折で1年7か月にも及ぶ休養を強いられ、復帰後も長くスランプが続いた。ところが6歳1月の東京新聞杯で3年1か月ぶりの優勝を果たすと、返す刀で続く阪急杯も制してみせた。スノードラゴンも明けて6歳。父が復活の狼煙を上げたのと同じ時期となれば、勢い期待も高まる。

それにしても関東の重賞レースで、関東馬が1頭というのはどうなんでしょうね。スノードラゴンには、関東馬の意地も見せてもらいたい。

 

 

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2014年1月28日 (火)

両雄並び立つ

JRA競馬は開催替わり。今週から関東の舞台は東京に移る。もちろんメインは最終日に組まれたGⅠ・フェブラリーS。1994年に「フェブラリーハンデ」から名称変更してまる20年が過ぎたが、実は1998年と99年に限って、最終日ではなく東京開幕週に実施されたことがある。

東京開幕週の実施だと何が起こるか? そう、明日行われる川崎記念との競合である。第3回の1999年を例にとると、フェブラリーSが1月31日。川崎記念が2月3日。同じ関東の同じ左回りコースで、わずか中2日の間隔を挟んで1600mと2100mのGⅠレースが立て続けに行われたのだから、いま思えば不思議な体験だった。それでも両レース合せて28頭もの出走馬が集まって、白熱のレースが展開されている。

この時期のダートGⅠなら、前哨戦は1998年暮れの東京大賞典となる。勝ったのは地方船橋所属のアブクマポーロだった。岩手所属のメイセイオペラを軽く2馬身半。この勝利で1998年のアブクマポーロの成績は【8,0,1,0】となり、文句なしに地方年度代表馬に選出されている。

この年のアブクマポーロ唯一の敗戦はメイセイオペラに敗れた南部杯だった。1分35秒1という破格の時計で逃げ切られては、手の出しようがれない。なにせ、フェブラリーS(前身のフェブラリーHを除く)のレースレコードよりも速いのである。だから、メイセイオペラがフェブラリーSを勝って、喜びはしたものの驚きは感じなかった。周囲はずいぶん驚いていたけど。

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フェブラリーSの3日後に行われた川崎記念はアブクマポーロが楽勝でこのレースの連覇を達成。東京大賞典で相手にしなかったメイセイオペラがフェブラリーSを圧勝した以上、JRA所属馬がアブクマポーロに歯が立たつはずがない。単勝配当は110円だが、それでもつけた感がある。

GⅠの過密日程に、「興味が薄まる」という指摘があったのは事実。だが、それを補って余りある活躍を2頭の地方所属馬が演じて見せたことは興味深い。一方はトップマイラーとして、一方は中長距離のスペシャリストとして、共に高いレベルで切磋琢磨してきたことが、立て続けのGⅠ優勝で証明された。ダートグレード導入後すぐに訪れた地方馬活躍時代のピークが、まさにこの数日間に凝縮していたように思える。

Abukuma_2  

あれから15年。え…? たった15年? 昨今の中央地方の格差事情を思えば、もっと遠い昔のように感じやしないか。

クラーベセクレタやアウトジェネラルといった地元のクラシック馬たちは、川崎記念には見向きもせず来週の金盃を目指している。川崎記念に出走する南関東所属馬はわずかに3頭。もちろんダートグレード優勝馬の姿はなく、南関東限定重賞勝ち馬もカキツバタロイヤルのみ。木曜の多摩川オープンの方が地元メンバーが濃くなるのは毎年のこと。こんな有様をアブクマポーロも憂いているに違いない。もはや行き着くところまで来た感がある。

 

 

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2014年1月27日 (月)

おにやんま@青物横丁

先週は大井、今週は川崎。この二場では年に数回しかない昼間開催が続く。普段なら夕飯の心配をしながら向かう競馬場への道すがらも、この時季ばかりは昼飯の心配をすることになる。

先週のTCK女王盃当日は京急線に乗って品川から立会川に。何を食おうかと思案した末に、ハッとひらめいて青物横丁で飛び降りた。駅を出て5分ほど歩いたところに、あの『おにやんま』が店を構えているのである。

Oni1  

五反田駅にある超有名立ち食い讃岐うどん店の2号店。最近は新橋駅前にもさらに出店しているという。店舗拡大で心配なのはレベルの低下だが、まあこの東品川店も若干そんな気配がありあり。開店直後に訪れた際は、ダシの風味がイマイチなのに加え、茹で置きもイイトコの麺で正直ガッカリした覚えがある。

まあ五反田でも茹で置きは出しているのだし、当時は開店直後の混乱の最中だから、やむを得なかったのかもしれない。いや、ひょっとしたら、今なら五反田を凌ぐ一杯に巡り合えるかもしれない。そんなことを期待しつつ、たまに様子を見に行ってみるのは良いことです。

Oni2  

とり天ぶっかけ¥390円。安い。五反田と同じ値段で、しかも座って食えることは、ひとつセールスポイントになろう。しかもこの日のダシは、いりこの香りひきたつ絶妙な味わい。「おお、これこれ!」と思わずうなった。とり天もまずまず。うどんのコシがなんだと細かいことは言うまい。この値段でこの味を気楽に楽しめるというのが『おにやんま』ではあるまいか。

気分を良くしてそのまま大井競馬場まで歩いた。京急の駅にして2駅。だが実際には2キロもない。最近では「炭水化物こそ肥満の元凶」などと言われるようになり、うどん、ごはんは諸悪の根源みたいに扱われるようになった。うどん好きにしてご飯好きの私にとっては悲しい限り。2キロ歩いたくらいじゃ許してもらえぬかもしれないが、「2駅歩いた」と書けば許してもらえるだろうか?

 

 

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2014年1月26日 (日)

出世レース若竹賞

昨日京都で行われた若駒Sは出世レースとして知られているが、それでも過去10年間優勝馬のうち、のちにGⅠホースとなったのは、ディープインパクト、アンライバルド、ヒルノダムールの3頭。意外に少ない。

そう思えば、同じく過去10の勝ち馬からサンテミリオン、ショウワモダン、ダンスインザムードとやはり3頭のGⅠ勝ち馬を輩出している今日の中山9R・若竹賞も負けていないのではあるまいか。しかも向こうは、放っておいても目立つオープンレースであるのに対し、こちらは特に目立たぬ500万条件。“出世レース”と呼ぶにはこちらの方がふさわしい気もする。そういえば今日のAJC杯を勝ったヴェルデグリーンも、2011年の若竹賞で2着していた。

Itarian 

そんな今年の若竹賞を勝ったのは、田辺裕信騎手騎乗の5番人気イタリアンネオ。血統的には2011年のサマー2000シリーズチャンピオンで重賞3勝のイタリアンレッドの甥ということになるが、父はどちらもネオユニヴァースだから4分の3きょうだいということにもなる。血統的裏付けのある馬がこの時期に芝の1800mで2勝目を挙げた意義は大きい。しかも連勝となれば、関係者でなくとも心がざわめく。

鞍上の田辺裕信騎手はこの勝利が記念すべきJRA通算400勝目。以下はセレモニーでの司会者とのやりとりである。

司会:「100勝と300勝も中山競馬場で達成されました。やはりこの中山競馬場に特別な思いがあるのでしょうか?」

田辺:「いえ……、別に」

司会:「今日は中山最終日ということで、どうしても中山で決めてやろうと思っていらしたとか…?」

田辺:「いえ、特に気にしてません」

なんて具合に、あまり噛み合わないインタビューだったのだけど(笑)、辛口で知られる田辺騎手に無理やりの“中山押し”は逆効果であろう。それでも「いい馬にたくさん乗せていただいているので気が抜けない」という言葉を引き出したのは良かった。直後にヴェルデグリーンでAJC杯も勝利。おそらく緊張感100%の春になる。

Tanabe  

実際、彼は勝っても馬を褒めることは少ない。イタリアンネオが未勝利を勝った時もそうだった。勝って検量に戻ってきても、まず課題を口にする。だが今日は違った。

「自分が思っていたよりもだいぶ成長している。正直、未勝利を勝った時はギリギリだったから、上でどうかな?と思った。でも、休ませたのがよかったね。身体も大きくなったし、走り方も良くなった。これもっと良くなるよ」

と言う具合に褒め言葉が止まらないのである。これも出世レースたるゆえんではなかろうか。次走皐月賞トライアルが試金石となる。

 

 

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2014年1月25日 (土)

常識はずれの一族

今日の京都メインは重賞の京都牝馬Sだったが、そのひとつ前に行われる若駒Sに注目された方も多かろう。トウカイテイオーやディープインパクトといった歴史的名馬が、ここをステップにダービーへの道を駆け上がった出世レース。人気に違わぬ強さを見せたトゥザワールドの展望も明るい。

Lincorn  

上の写真は2003年の若駒S。勝ったのはリンカーン。ついにGⅠには手が届かなかったが、若駒Sを勝ったこの時点ではクラシックの有力候補だった。

もちろん父はサンデーサイレンス。母グレースアドマイヤはトニービン産駒で、その母はバレークイーンという良血である。それで騎手が武豊なのだから人気にならぬわけがない。ダービー直前に喉頭蓋エントラップメントを発症していなければ、果たしてどうなっていたか。ひょっとしたらネオユニヴァースの2冠はなかったかもしれない。

リンカーンの叔父にあたるアンライバルドも2009年に若駒Sを勝っている。デビュー3戦目だった。ちなみに、その半兄ボーンキングが京成杯を勝ったのもデビュー3戦目。リンカーンの半弟ヴィクトリーも3戦目で若葉Sを勝っている。一族の筆頭格フサイチコンコルドに至っては、デビュー3戦目の日本ダービーでダンスインザダークを差し切ってしまった。

この一族、キャリアにも舞台の大きさにも関係なく、3戦目に突然強くなる血統的傾向でもあるのだろうか。バレークイーンの母サンプリンセスは1983年のデビュー3戦目の英オークスを12馬身差で独走しているが、この馬、なんとオークスまで未勝利だった。常識はずれも甚だしい。

今日の若駒Sの出走馬にバレークイーン一族はいなかったが、同じ京都の5レースの未勝利戦にリンカーンの半弟ブルーダイアモンドが出走していた。デビュー2戦目で12着。次走はいかなる人気であろうと俄然注目であろう。繰り返すが、この一族に常識は通用しない。

Grace  

バレークイーンは既にこの世を去っており、グレースアドマイヤ(※写真は1997年エリアべス女王杯出走時)も既に20歳。ブルーダイアモンドを出産した2011年にはディープインパクトを付けるも受胎せず、一昨年もハービンジャーを受胎しなかった。昨年もディープブリランテ、ワークフォースと立て続けにNG。もはやここまでかと、ダメモトでディープインパクトを付けてみたら、これが受胎したというから神様は気まぐれと言うほかない。高齢繁殖馬の産駒を嫌う人は多いが、バレークイーンは18歳でアンライバルドを産んだ。何度も言うが、この一族に関しては、常識の埒内で論じ切れぬものが多過ぎる。

 

 

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2014年1月24日 (金)

【訃報】アフリート

日曜の東海Sに出走する16頭のうち、9頭までにミスタープロスペクターの血が流れている。ミスプロ系の種牡馬の拡大は世界的に見ても留まるところを知らない。

我が国にも多くのミスタープロスペクター直子の種牡馬が輸入されているが、産駒がもっとも多く勝っている種牡馬をご存じだろうか? 米GⅠ4勝のフォーティーナイナーではない。グランクリテリウム勝ち馬ジェイドロバリーでもない。いわんやマイニングでもない。それこそ1987年のカナダ年度代表馬・アフリートなのである。

Afleet1  

そのアフリートの死亡が伝えられた。30歳。日本では1995年からブリーダーズSSで供用され、産駒たちがJRAで積み重ねた通算勝利数は今日時点で1033にも及ぶ。これはチャイナロックの1012勝を上回り、歴代13位の記録。2010年からは種付け業務を休止し、同スタリオンで隠居生活を送っていた。

Afleet2 

通算15戦7勝。3歳秋に米国へ遠征してダート1600mのGⅠ・ジェロームハンデを1分33秒8の好タイムで優勝している。引退後は米国で種牡馬入り。1994年に持込馬のゴールデンジャックがクラシック戦線で活躍するや、ただちに下河辺牧場が購入を決めた。のちの状況を考えると、この決断の早さは素晴らしい。初年度産駒から桜花賞馬プリモディーネを輩出し、ファーストクロップサイアーランキングで堂々のトップに輝いている。

Pride  

以後の活躍は知られている通り。2000年から3年連続でJRAダートサイアーランキング首位。JRAおよびダートグレードを合わせて重賞50勝。プリモディーネ以外にも、バンブーエール、プライドキム、スターリングローズ、ビッグウルフがGⅠ級レースを制している。米国に残してきた産駒たちも活躍を続けたから、買い戻しのオファーが絶えなかったのも無理からぬ話。2000年には700万ドルのオファーを断っている。邦貨でおよそ7億5千万円。当時17歳だったことを考えれば、異例の高額オファーであった。

Banboo  

買い戻しを断ったからには、スターリングローズ、バンブーエール、ミリオンディスクといった後継種牡馬を成功させ、日本にアフリート系の枝葉を広げるくらいの気概が必要であろう。スターリングローズの産駒アスカクリチャンが重賞2勝の筆頭格だが、今年はもっと大きなタイトルが欲しい。ドバイシーマクラシックに選出されことを、まずは祈ろう。

Staring  

地方では昨日の大井・ウインタースプリントを勝ったコウギョウダグラスが、やはりスターリングローズの産駒。出走権を得たフジノウェーブ記念を快勝して、天国の祖父に良い報告をしたい。

 

 

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2014年1月23日 (木)

クラシックへの静かな思い

昨日の大井10レースは3歳馬によるゆきやなぎ特別。

過去の優勝馬に、モエレラッキー(クラウンC、報知グランプリC)やスターオブジェンヌ(トゥインクルレディー賞)といった重賞ウイナーが顔を並べる出世レースを制したのは、高野誠毅騎手のスマイルピースだった。持ったままの6馬身差を見れば、彼もまた重賞に手が届く素質の持ち主であることがわかる。

Smile  

「ゆきやなぎ」は、柳のようなしなやかな枝に雪のような白い花をびっしりと咲かせるバラ科の低木。その語感から、真冬のこの季節に咲くイメージを抱きかねないが、実際には3月末から4月にかけて見ごろを迎える春の花。新緑に映える白色の花との調和が美しい。それにしても、前日に行われた桃花賞といい、大井競馬場の春を先取りする姿勢には目を見張るものがある。

ちなみに、JRAのゆきやなぎ賞は3月上旬に行われている。過去の勝ち馬にはのちにさつき賞を勝つテイエムオペラオーの名前も。ゆきやなぎが見頃を迎えるのはちょうど皐月賞のあたりだから、「先取り感」としてはこれくらいが妥当であろう。

Yuki  

ゆきやなぎの花言葉は「愛らしさ」。つい先月まで2歳馬だったスマイルピースには、たしかにまだ仔馬のごとき愛らしさも漂う。とはいえその勝ち時計は古馬重賞に匹敵する1分41秒8。愛らしい仔馬がおいそれと出せる時計ではない。

スマイルピースはデビュー戦であのプレイアンドリアルの2着した実績を持つが、ここまで7戦して重賞は未出走。高野誠毅騎手はデビュー10年ながら未だ重賞勝利がない。決して目立つ存在ではないこのコンビが、息をひそめてクラシック制覇を狙っている。そういえば、ゆきやなぎには「静かな思い」という花言葉もあった。ゆきやなぎが満開になる頃には、クラシックの主役になっているかもしれない。

 

 

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2014年1月22日 (水)

砂のシンデレラ

「メーデイアらしい競馬をしようと思って乗りました。本当に強い競馬ができてよかったです。昨年のこのレースからちょうど1年、メーデイアにはいろんなところに連れて行ってもらいましたし、いい思い出を残すことができました。この馬の主戦であったことを誇りに思います」

Tck1  

メーデイアとともにTCK女王盃連覇を果たした浜中俊騎手は、そう言って胸を張った。大井、船橋、川崎、大井、金沢、そして大井。各地の競馬場を転戦した牝馬限定ダートグレードでの1年間6戦全勝は、過去に例のない快挙であろう。ラヴェリータやミラクルレジェンドといったかつての女王でさえ、牝馬相手に負け知らずだったわけではない。

思えば、3歳4月のデビュー戦でタイムオーバーの屈辱を味わったことが嘘のようだ。勝ったミヤビヘレネから4秒6差の最下位で1か月間の出走停止を課せられている。初勝利はギリギリの3歳9月。昨年は1600万条件を勝ちきれない状況にありながら、それでもTCK女王盃の出走馬に選出される運もあった。

ほんのわずかな違いで、彼女の活躍は実現しなかったかもしれない。そう考えれば、我々は奇跡を目撃していたことになる。彼女はたった一年間だけ地方ダートグレードの世界に姿を現したシンデレラだった。

今やJRAリーディングの常連でもある浜中騎手だが、地方競馬への参戦は決して多い方ではない。大井競馬場での騎乗も昨年のこのレースが初めてだった。そんな浜中騎手のコメントの続きがなんとも嬉しい。

Tck2  

「たくさんの地方競馬場で負けずに走り、たくさんの経験をさせてもらえました。1年前のTCK女王盃からあっという間のシンデレラストーリー。地方のファンがスターホースにしてくれました。ありがとうございました」

 

 

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2014年1月21日 (火)

4歳馬のAJC杯

ケイアイチョウサン、ダービーフィズ、フェイムゲーム、レッドレイヴン。

Red  

現時点でAJC杯に4頭もの明け4歳馬が出走しそうな情勢である。これは今世紀最多。サムソンズプライド(回避して白富士Sへ)が出れば画期的な出来事になっていた。ちなみに昨年は4歳馬の参戦はゼロ。それゆえ余計新鮮に感じる。

最近は香港・Qエリザベス2世Sへの一里塚的存在になった感も否めないが、かつては春の天皇賞を目指す古馬たちの起点となったレース。古くはアンバーシャダイやミホシンザンといった馬たちが、近年ではメジロブライトやスペシャルウイークといった馬たちが、ここを足掛かりに春の頂点へと駆け上がった。

思い出深いのは1998年の勝ち馬メジロブライト。この馬、2歳夏の函館で新馬勝ちを果たしたが、人気は6頭立ての最低だった。しかもこの勝ちタイムが凄い。芝良の1800mになんと2分1秒6を要した。念のために繰り返すが芝2000mの間違いではない。当時の芝2000mのレコードが1分57秒5だから推して知るべしだ。このメジロブライトがラジオたんぱ杯と共同通信杯を制してクラシック戦線の主役に変身する。しかし、1、1、2番人気で、4、3、3着だから、もうひとつ結果は出なかった。

Mejiro  

ところが、3歳最後のステイヤーズSで2着を大差に千切り捨て、続くAJC杯も持ったまま圧勝の変わり身を見せるから凄い。二度に渡る変身は父系祖父アンバーシャダイの血が騒いだとしか思えぬ。アンバーシャダイはAJC杯連覇の名馬。その父は「産駒は3度変わる」と言われたノーザンテーストである。競走馬は、どんどん変わってくるようでないと、大物にはなれない。競走年齢に入ってからもっとも変わるのは、3歳から4歳にかけてだという。

オルフェーヴル、エイシンフラッシュ、ロードカナロアといったチャンピオンたちが揃って引退した直後となれば、若い世代の台頭を期待するのが当然であろう。現にディープインパクトが引退した直後に行われた2007年のAJC杯は、4歳馬のワンツーフィニッシュに終わっている。勝ったマツリダゴッホは春の天皇賞こそ大敗したが、その年の有馬記念を制した。今年の飛躍を期待させるような4歳馬を、AJC杯に見つけたい。

 

 

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2014年1月20日 (月)

カレーの街

カレーは夏に食べてこそ美味しいということは承知しているが、自宅から都心を抜けて船橋まで通う中山開催中のこの時期は、神田のカレー店に立ち寄ることことがしばしば。真夏に中山開催をやってくれればありがたいのだが、さすがに私とカレーの都合など聞いてはくれまい。

『ボンディ』『ガヴィアル』『共栄堂』『トプカ』『まんてん』……。名店と呼ばれる神田のカレー専門店を挙げれば十指に余る。さらに『キッチン南海』や『ルー・ド・メール』のようにカレー専門の看板を掲げていなくても、美味いカレーを出す店を探せばきりがない。

Kyouei  

なぜ神田にカレー店が多いのか?

「神保町の交差点近くにインドセンターの建物があってインド人が多くいたから」という説と、「古本を買った人が本を読みながらスプーン片手に食べられるから」という二つの説があるようだが、真相は明らかではない。まあ、我々とすれば美味しいカレーが食べられれば文句はないわけだが、『ボンディ神保町本店』を訪れる度、後者の説を信じたくなる。

なにせこの店、古本屋の中にある。以前は、靖国通りから「神田古書センター」に入ると、「ボンディへご来店のお客様は書店を通り抜けてお越し下さいませ」の看板が目に飛び込んできたものだ。ちなみに今では書店を通り抜けるのはご法度。逆に「通り抜けるな」という張り紙がある。こんな騒ぎになるのも、カレーの味わいが傑出している証拠。さすがは、激戦区神田の「カレーグランプリ」の初代王者。その味について、ここでくどくどと書きたてる必要はあるまい。

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その『ボンディ』から独立した店主が営む『ガヴィアル』のカレーも捨てがたい。ボイルして潰したタマネギに牛肉と野菜のスープを混ぜて、バターと生クリームで仕上げるルーは完成まで3日もかかるという。どちらかと言えば、私は『ボンディ』よりこちらが好み。神田駅前で営業していた当時は、近隣にオフィスを構える一口愛馬クラブ関係者が、カレーを食べながら調教師の悪口を言っていたものだ(失礼)

Gavi  

そんなことを思い出しつつ、古本ではなく古い競馬専門誌を片手にカレーを食べていたら、カレーニナという馬名に目が留まった。これはもちろんカレーライスにちなんだ命名ではなく、トルストイの名作「アンナ・カレーニナ」にちなんだもの。その小説の中でも競馬場のシーンは重要な役割を担っている。そんなことを考えながら食べるカレーも美味い、と書きたいところだが、そんなことは味とは無関係。そもそも、これ以上は美味くはならないだろうとさえ感じる味です。

 

 

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2014年1月19日 (日)

最終レース後の大勝負

京成杯で勝負の馬単が裏目に終わり、日経新春杯はカスリもせず、起死回生を賭けて臨んだ3場の最終レースもことごとくハズれ。尾羽打ち枯らして帰宅した私であったが、それでも本日最後のチャンスが残されていた。

お年玉付年賀はがきの当選番号が発表されたのである。

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ただちに、飼い犬を含む家族全員が年賀はがきを持って居間に集合。その数、ざっと二百枚弱。当選番号をメモ用紙に控え終えるや、家族4人が車座となって大照合会が始まった。

そんなの、どうせ当たんないし、貰っても困るようなモンしか当たんないだろ!

そんな声が聞こえてきそうだが、いやいや、さにあらず。確かに昨年まではそうだったが、今年から1等賞品は現金1万円に様変わりした。しかも、1等の当選確率は昨年までの10倍だという。1本当たれば今日の負けはチャラ。仮に2本当たれば今日はプラス収支ということになる! いや、ならないか(笑)

それにしても当たりが出ない。「あぁ…惜しい」というため息交じりの声が上がる以外は、みな黙々と照合を続ける。犬もその成り行きをジッと見つめている。

お年玉付年賀はがきの景品については、法律によりその上限がはがきの販売価格の五千倍以内と定められている。であれば、1等の上限は25万円までOKなはずだが、まあ、これはバクチではなく単なる“おまけ”なのだから、熱くならない程度に抑えたということか。それでも、折りたたみ自転車を貰うよりは嬉しい。実際、アンケートでは現金や商品券を求める声が圧倒的に多かったことが、今回の賞品変更に繋がったようだ。馬券で負けた身に1万円は大きい。

「ああっ! 当たってる!!」

次女が雄叫びを上げた。

「よっしゃー!」。私も思わずガッツポーズ。これで今日の負けはチャラになった。それだけでなく今年一年の吉兆は間違いあるまい。妻は嬉しさのあまり涙を浮かべ、次女は万歳三唱を繰り返し、犬は興奮のあまりウレションを漏らした。どれ、誰から届いたやつだ? 見せてみろ。

「ほら! 切手だよ」

目の前に差し出されたはがきの下2桁は、たしかに「72」とある。それを見るなり気が遠くなった。結局今年も的中はこの1枚。確率からすればこれは“負け”であろう。とはいえ、この1枚を送ってくれた方には、“惨敗”を免れたことを感謝せねばなるまい。T調教師様、ありがとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

 

 

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2014年1月18日 (土)

カムバック

中山と京都のそれぞれで行われる予定だった障害戦2鞍の出走馬が、騎手不在のため取消になるという珍事から1年。今日の中京競馬場では、未勝利とオープンの2つの障害戦が行われた。昨年の顛末については、小ブログ2013年1月31日付「騎手が足りない!」に詳しい。

異なる2場で障害戦を組めば出走頭数の分だけ騎手が必要だが、それを1場で行えば騎手は少なくて済む。実際、今日の中京4Rの障害未勝利は14頭立てで、5Rの障害オープンは12頭立て。合計26頭が障害のゲートに入ったが、両レースに騎乗した騎手は19人に過ぎない。これなら、不測の乗り替わりという事態にも対応可能だ。

障害レースに乗る騎手の多くは20~30歳代の若手。中には体重の問題を抱えている人もいるだろうけど、騎乗機会を求めて障害戦にやってくるケースが多い。

言うまでもなく障害は危険を伴う。骨折程度は日常茶飯事。その分、平地に比べれば競争は少ないから良い馬に巡り合うチャンスも増えるし、騎乗料や進上金も高い。それでも数年前に実施された厩舎制度改革により、障害を支えてきた若手騎手たちの引退が相次いだ。第三場での集中施行により、障害レースを見る機会が減ったことに一抹の寂しさは禁じ得ないが、騎手が足りないのでは仕方ない。

Chase1  

そんな折、自宅に届いた年賀状に目が留まった。

差出人は美浦・斎藤誠厩舎の調教助手。匿名にしても分かっちゃうから名前を書くけど、元ジョッキーの柴田未崎君。1996年のデビュー以来通算82勝を積み重ねたが、2011年3月末をもって引退し、現在は調教助手を務めている。ところが、昨年秋のJRA騎手試験の1次試験を受験し、見事合格を果たして話題となった。今は、騎手復帰へ向けての最終関門、2次試験に向けて鋭意準備中だという。

年賀状に書かれた手書きの文面は例年に比べずいぶんと長かった。内容を紹介するわけにはいくまいが、その一文字一文字に彼の決意のほどが伝わってくる。もちろん双子の兄・柴田大知騎手の活躍が刺激になっていることは想像に難しくない。理由は何であれ、デビュー当時から注目してきた騎手が、再びターフに戻ってくる。私にとってこれほどうれしいことはない。

昨年、米国ではゲイリー・スティーヴンスが2度目の騎手復帰を果たし、50歳となった11月にはBCクラシックとディスタフを制するという離れ業を演じて見せた。さすがにそこまでの期待はしないが、復帰戦が今から楽しみ。再来週に行われる2次試験の無事通過を願うばかりだ。

 

 

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2014年1月17日 (金)

大寒の菜の花

馬券であれ、写真であれ、競馬に携わっているといないとでは四季の移ろいを感じる度合いがまるで違う。日本の競馬が海外のそれと決定的に異なる点を挙げるならば、春夏秋冬四季折々の競馬が楽しめることではないかとさえ思う。

もちろんこれは競馬に限ったことではなく、我が国固有の風土の話に帰結することも事実。だが、一年を通して行われる競馬の中にあっては、どこかで区切りが求められるもの。それが日本の四季にピタリと当て嵌まっている事実は見逃せない。そして、その季節感をより一層掻き立ててくれるのが、レース名である。

季節感溢れるレース名の代表格は「桜花賞」「皐月賞」そして「菊花賞」のクラシック3レースであろう。英国に範を取っておきながら、3歳牝馬による春のマイル戦に「1000ギニー」ではなく、「桜花賞」という美しい名前を付けた先人のネーミングセンスには、ただ敬服するばかりだ。

Ohka  

そんなことを思いながら明日の中山の出馬表に目をやれば、「ニューイヤーS」「初春S」に並んで「菜の花賞」というレース名が飛び込んでくる。

そりゃ、房総半島の南端などでは菜の花が咲いてるところもあるだろうけど、普通「菜の花」と聞いて思い浮かべる季節はやはり春であろう。歳時記でも「春(晩春)」の季語と記載されているし、実際1999年までは、このレースは3月に行われていた。こと季節感という視点に立てば、それが正解だと思う。

Nanohana 

おりしも週明けの月曜日は大寒。翌火曜日には大井で「桃花賞」という準重賞が行われる。立春は、まだずっと先だ。

中山の菜の花賞。大井の桃花賞。いずれも桜花賞への一里塚的存在であるところは同じ。寒の内に桃や菜の花のレースを行うのは「一足早い春を感じて欲しい」という意図でもあるのだろうか。競馬だけに「一足早い」というのは決して悪い話ではないかもしれない。しかし、寒さに震えながらの菜の花見物を強いられるたび、せっかくの季節感を少しずつ失っていくような気がしてならない。

 

 

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2014年1月16日 (木)

競走馬になるために

13日の中山4Rを勝った蛯名正義騎手は、この勝利でJRA通算2200勝を達成した。史上4人目、現役では武豊、横山典に続き3人目の到達だから大記録と言っていい。おめでとうございます。

4r  

メモリアル勝利をプレゼントしてくれたラピダメンテはサクラバクシンオー産駒の3歳セン馬。デビュー戦を前に去勢されるにはもちろんそれなりのワケがある。この馬、極端なゲート難で、入厩からゲート試験合格まで実に半年を要していた。

ゲート試験は「競走馬」になるために避けて通れない関門だ。たとえどんな良血馬であっても、たとえ調教で古馬をアオるほどの時計を出していても、たとえ10億円の高額取引馬であっても、ゲート試験に合格しない限りレースに出ることは許されない。

だから世間が思うよりも、関係者はことのほかゲート試験に神経を擦り減らしている。ゲート試験合格を「競走馬になれた」と言って安堵するのはその証。むろん馬にとっても一大事であることに違いない。デビュー前の2歳馬がゲート試験合格直後に放牧に出されることが多いのは、馬にとってレース並みに負担が大きいことの裏返しだ。しかも、一度合格してしまえば、試験の呪縛から逃れらるというわけでもない。ラガーレグルスはダービー出走を泣く泣く諦め、セイウンスカイも連覇がかかった2000年の日経賞をパスせざるを得なかった。

Gate  

ラピダメンテの関係者はゲート試験合格まで辛い日々が続いたに違いあるまい。出資会員さんの心中も察するにあまりある。クラシックの夢を諦めて去勢することに相当の勇気を要することは言うまでもない。だが「競走馬」になれないよりは遥かにマシ。その決断が新馬勝ちという形で見事結実した。

しかも実際のレースでは1、2を争う好スタートを切るのだから競馬は分からない。ゲートさえ出てしまえば、そこは快速サクラバクシンオーの産駒。1分12秒2という優秀な時計で、後続を4馬身も千切り捨てて見せた。次は中1週で再び中山のダート1200mを使うという情報も。立て続けの快走で、長く辛い思いをした関係者の苦労に報いたい。

 

 

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2014年1月15日 (水)

優駿手帳

今日になって、ようやく2014年の手帳を開いた。

実は今年から手帳を使うのをヤメようかと考えていたのである。その代わりとなるのはスマホ。もともとスケジュール機能が備わっているのだし、ネットを使えば競馬の日程だって確認できる。万事アナログ人間の私だが、2014年こそはデジタル化への第一歩を踏み出そうと一念発起。昨年末からせっせとスマホに予定を打ち込んでいた。

しかし、そんな決意も二週間で断念。開催日程はともかく、自分の予定を打ち込んで、直して、消してというのがとにかく面倒くさい。一覧性にも欠ける。なにより、電話中にスケジュールを見られないのが辛い。「もしもし。はい。あー、中山の最終日ですか? えーと、その日の予定はですね……えぇと……あれ? これスケジュール見るのは、どうすりゃいいんだ?」

そんなこんなで、今年も「優駿手帳」のお世話になることに。千円の出費は痛いが、馬主席では1割引きで売ってるので助かる。

まっさらなJRA手帳を封から取り出し、まず最初に行う作業は南関東開催日程の記入。JRAの開催情報は既に記載されていますからね。

Dsc_0780  

まず4色のマーカーを使って、1/1~4は川崎だから黄色~、1/6~10は船橋だから緑~、次の週は浦和なので青~……という具合にキュッキュッとラインを引いて行く。

単純作業ゆえ、10月くらいに差し掛かると集中力が途切れて「ああっ!大井なのに緑で塗っちゃった!」みたいなミスを犯してしまうこともある。新品の手帳に間違えてモノを記入してしまった時の挫折感といったら、他に喩えようがない。できれば「緑」で塗ったままにしておきたい気持ちもあるのだが、それが元で当日になって大井開催であることに気付かないまま船橋に行ってしまったりしたら、やはりそれも悲劇であるので、ページが汚れるのを覚悟で塗り直しておかねばならない。

しかるのちに、重賞レースをひとつずつ記入していく。新設重賞があったり、大きく日程が変更になったりするというニュースは秋のうちに耳にはしているものの、その有り様を実感するのは毎年この手帳記入作業の時。「東京記念が昼間に行われるのって何年ぶりかなぁ?」などと昔のレースに思いを巡らせたりもする。やはりこういう作業って必要ですよね。アナログにはアナログで捨てがたいモノがあるのですよ。

Dsc_0778  

ところで、この優駿手帳には馬券収支の記録帳がオマケに付いているのだけど、これをちゃんと使っている人っていらっしゃるんですかね? 私には、とてもそんな怖いことはできない。

 

 

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2014年1月14日 (火)

味噌煮込罠@本郷三丁目

こないだはみそラーメンの話をしましたが、今日はみそ煮込みうどんについて。みそ煮込みうどんは好きですか?

うどん好きを公言する人ほど「みそ煮込みうどんは嫌い」という人が多いようだ。理由は様々あろうが、多くは「うどんが硬い」「うどんが粉っぽい」というもの。そりゃそうですよね。グツグツとダシが煮えたぎる土鍋に生のうどんを投入したと思ったら、中心まで熱が通らぬうちに客に出してしまうのだから。

だが、そのアツアツでガチガチの麺をハフハフと啜るのが名古屋流でもある。そういや今週から中京開催が始まりますな。

Chukyo  

とはいえ、中京まで足を運ぶような用事もないから、どこか都内で店を探さねばならない。丸の内線・本郷三丁目駅近くに暖簾を掲げる『味噌煮込罠』は、WINS後楽園から歩いても10分ほどの距離。でも、後楽園からだと登り坂が続くから私は一駅でも電車に乗る。ともあれ都内では珍しいみそ煮込みうどんの専門店だ。

もともと別の職業に就いていた店主だが、東京で美味しいみそ煮込みうどんの店がないことを残念に思い、それなら自分で店を立ち上げてやろうと一念発起。素人同然からスタートして、今では行列も珍しくない人気店となった。

Nikomi  

うどんは塩をいっさい入れずに打つみそ煮込み専用うどん。もちろん打ちたて。みそをしっかり絡め取っているのに、それでも小麦の優しい甘みが口いっぱいに広がる。 本場に比べると、やや柔らかめに茹でられている印象を受けるのは、関東人の好む食感に合わせているからだろうか。それでもしっかりと硬い。ダシにも八丁みそ特有の辛さは感じられず、なんともまろやかな口当たりで最後の一滴まで飲み干せる。ふぅ、美味い。

すっかり体が温まったところで店を出た。ここからWINSに戻るなら下り道だが、あいにく今日は非開催日。歩くのは次回来店時に取っておこう。

 

 

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2014年1月13日 (月)

頑張れオリオンザサンクス産駒

日曜中山2レースの3歳新馬戦は、ダート1800mにフルゲートの16頭。直線で最内を突いて先頭に立ったアイアピールに、満を持して追い込んできた1番人気ドラゴンキックが馬体を併せる。

勝負あった   

誰もがそう思った次の瞬間、あろうことかアイアピールが差し返してグイッと前に出たのである。その根性に、ドラゴンキックも驚いたのだろうか。再び並ぶことができぬままゴール。着差はわずかにクビだが、これを僅差の辛勝と捉えるわけにはいくまい。

I  

勝ったアイアピールの父は、1999年の羽田盃、東京ダービー、そしてジャパンダートダービーを勝ったオリオンザサンクス。

Derby  

大逃げのまま大差で後続を千切り捨てた若獅子特別。4コーナーまで後続を10馬身引き離し、直線で猛然と追い込んだオペラハットをクビ差退けたジャパンダートダービー。JRA所属馬相手でも臆することなく、スタートから猛スピードで逃げたJCダート。一見暴走にも映る大逃げはファンを大いに沸かせた。

Tokyodarby  

クラシック3冠レースで活躍したことで、種牡馬になってからもその産駒は中距離向きと見られることが多いが、実は1200m以下では(5,1,0,2)。重賞も二つ勝っている。特に3歳(当時表記)時の栄冠賞では、その快速をいかんなく発揮。自らの持つレコードをコンマ6秒更新し、3歳馬として旭川競馬場で初めて1分の壁を破る59秒9で優勝した。私は彼の真骨頂はスピード能力にあったと思う。中距離戦で幾度となく放たれた彼の大逃げは、その溢れるスピードの発露でであろう。

アイアピールは、オリオンザサンクス産駒としてJRAで3頭目の勝ち馬となった。この世代ではナイキアディライト産駒のマイネルディアベルが、くるみ賞を勝ち、朝日杯でも4着と存在感を発揮している。同じ東京ダービー馬を父に持つ立場として、アイアピールも負けてはいられまい。両馬が揃って日本ダービーに駒を進める   。正月くらいは、そんな夢を見させてほしい。

 

 

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2014年1月12日 (日)

シンザンの名

今日は京都競馬場でシンザン記念が行われた。今年の3歳重賞のスタートとなるこのレース。クラシックへの大志を抱く3歳若駒にこのネーミングは実に相応しい。

かつては、カブトヤマ記念やセイユウ記念やクモハタ記念といった名馬の名を冠した重賞レースはほかにもあった。なのに、現在では、馬名をそのままレース名にあてているのはシンザン、セントライト両記念の2レースしかない。昔は、馬名を重賞にその名を残すための条件として、3冠馬でなければならないとか、顕彰馬でなければならないとか、明確な内規があったそうだが、少なくとも現在のJRAにはそういった決まりごとはないそうだ。なのに、馬名を冠したレース名は増える気配はない。

JRAは非公式ではあるが「馬名に“シンボリ”や“ナリタ”などの冠名が付けられていたり、現在も種牡馬として供用されていたりする馬の名をレース名に使用することは、他の馬主、種牡馬への配慮から難しい」という見解を示している。「シンボリルドルフ記念」や「ディープインパクト記念」が実現する可能性は、内規がなくなってしまったことで、むしろ低くなってしまったようだ。

とはいえ、シンザンの偉大さはシンボリルドルフやディープインパクトとは比較にならない。そういう意味では、シンザン記念というレースの重みもいや増す。

Shinzan_2  

シンザンの何が凄いか。クラシック3冠と天皇賞、有馬記念を勝ったからか。19戦19連対というパーフェクトなその戦績か。いやそうではあるまい。日本に生まれた名馬の子供たちがターフに帰ってくる。これこそが、単なるギャンブルではなく文化としての競馬の魅力であることを社会に広く浸透させたことが凄いのである。「単なる数字の組み合わせの賭け事」としか思われていなかった当時、競馬を今日の形に発展させた貢献者は、人間では野平祐二であり、馬ではシンザンをおいてほかにいない。

当時の競馬は、外国からの輸入種牡馬の産駒ばかりが走り、いくら競走で好成績を残して引退しても、その後種牡馬として人気を集めることなどまずなかった。「それなら犬やアヒルが競走しても同じこと」と揶揄されることもしばしば。だからシンザンの初年度産駒がわずか34頭にとどまったのも仕方ない。だが、数少ない産駒からシルバーランドやスガノホマレといった快足馬が次々と誕生し、種牡馬入り7年目からは交配100頭を超える人気を集めた。

内国産種牡馬でも外国産に太刀打ちできる。

今では当たり前にもなったこの事実を、初めてシンザンが示したことでアローエクスプレスやトウショウボーイ、マルゼンスキーなどの成功につながった。日本の競馬サイクルの構造を根底から変えてみせたシンザンの功績は計り知れない。

だから血統表にシンザンの名を見つけたら、シンザンの功績に思いを馳せてみよう。今日の中山新春ジャンプSで3着だったテイエムブユウデンは2代母の父がシンザン。月曜の迎春Sに出走予定のガチバトルは3代母の父がシンザンである。

2r  

そしてなんと今日の中山新馬戦では、シンザンプロスパーという3歳馬がデビューを果たした。2代母の父がミナガワマンナだから、その父がシンザンということになる。なにより「シンザン」の名を競馬場で聞くのはじつに久しぶり。しかも11番人気の低評価を覆す4着に頑張った。今後も注目していきたい。

 

 

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2014年1月11日 (土)

ど・みそ@中山競馬場

最強寒波到来   

この冬一番の寒気に襲われた競馬場に身を置けば、とにかく体が温まるメニューが恋しくなる。真冬の風にさらされる中山競馬場に、みそラーメンの専門店『ど・みそ』が出店していることは、理にかなっているように思えてならない。

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みそラーメンの元祖が札幌の『味の三平』であることは知られている。ある時「豚汁にラーメンを入れて」と注文されたのがきっかけで、モヤシとひき肉をいためた具を載せてみそラーメンを売り出した。昭和30年代末のことだ。

このささやかな一件が、従来とは全く違うスタイルのラーメンを生み出した。それまでの東京ラーメンはスープを張った丼に茹でた麺を入れ、更にチャーシューなどの具をトッピングしていくもの。これに対し札幌みそラーメンは、ラードで炒めた具にスープを注いで中華なべの中で調味し、茹でた麺の上から注ぎ入れるスタイル。具の旨味をスープに加えるその調理法こそが、従来のラーメンと明らかに期を画するのである。

しかも、札幌みそラーメンの進化はそれに留まらない。象徴的なのはバターのトッピングによる「みそバターラーメン」だ。ラーメンに味噌とバターの組み合わせは、まさに和洋中折衷の極み。身近な酪農品のバターをラーメンに投入させたのは、札幌の人に進取の精神があったからに違いあるまい。

Domiso2  

写真は中山競馬場『ど・みそ』のみそバターラーメン。ややもすれば尖った感じも受けかねないみその塩味がバターのおかげでマイルドになり、さらに脂分の効果で飲み込んでも胃袋の中までアツアツのまま。なるほど体も瞬く間に温まる。寒冷地の知恵に感謝せねばなるまい。

ちなみに『ど・みそ』の入るクリスタルコーナーは、この1回中山開催を最後に取り壊されることが既に決まっている。そしたらお店はどうなってしまうのか? いやご心配なく。ちゃんと場内の別の場所に移転して営業は続けるのだという。ホッと一息ついて、意気揚々と午後のパドックへと向かった。

 

 

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2014年1月10日 (金)

シンボリクリスエス×SS牝馬

有馬記念当日の7R。オープン特別としての実施は最後となるホープフルSは、8番人気の伏兵エアアンセムがデビュー2連勝を飾った。

Air  

父シンボリクリスエスは、リーディングサイアーランキング上位の常連。産駒のGⅠウイナーには、サクセスブロッケン、ストロングリターン、アルフレードに、今年はエピファネイアも加わった。だが、リーディング順位を考えれば、やや物足りない一面もある。賞金獲得額トップの産駒がサンカルロという状況では、ちとさびしい。

そもそも種牡馬入り当初の期待が高過ぎた。有馬記念を9馬身差圧勝で種牡馬入りに花を添え、2年連続で年度代表馬にも輝いたこともまだ記憶に新しい。何より優良サンデーサイレンス牝馬に付けられる血統構成は魅力だ。だから初年度産駒から母の父にサンデーを持つサクセスブロッケンが出ても、さほど驚きはしなかったし、サンデー牝馬との間にはもっともっと凄い産駒が現れて、クラシックを総なめにするのも時間の問題かと思われた。

だが、その後はアルフレードが朝日杯を勝ったものの、ほかにサンデー牝馬との間に生まれた平地重賞ウイナーはサイレントメロディのみ。正直、シンボリクリスエスが自らの血統的利点を生かせていると言い切るには心もとない状況が続いている。

Shimbori  

だが、明日からの3連休は、そんなモヤモヤを払拭するチャンスかもしれない。

土曜の大和Sでアルフレードが1年8か月ぶりの復帰を果たすのを手始めに、日曜中山メインにソロルとサイレントメロディが、そして月曜阪神の寿Sにミルドリームと、シンボリクリスエス×サンデー牝馬の鍵を握る馬たちが、大挙出走を予定しているのである。さらに冒頭に書いたエアアンセムも来週の京成杯で重賞タイトルを狙う。2014年を飛躍の年とするためには、年初のレースで結果を出しておきたい。

シンボリクリスエスが引退してからちょうど10年。そろそろ代表産駒と呼べるような超大物が登場しても、おかしくない頃合いだと思うのである。

 

 

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2014年1月 9日 (木)

1200mの東京大賞典

「東京大賞典の出走頭数を増やすには、どうすれば良いか?」

Daihoten  

暮れの大井競馬場でのこと。マスコミ関係者との雑談で持ち上がったお題である。東京大賞典の行われる大井2000mのフルゲートは16頭。だが2011年の出走馬が12頭に留まり、一昨年も12頭のまま。そして昨年は9頭と、ついに10頭を割り込んでしまった。

「売り上げが増えたからヨシ」と喜んでばかりもいられない。ゲートでトラブルを起こしたローマンレジェンドが、もし競走除外になっていたらどうなっていたか。背筋が凍る思いをした関係者はゼロではあるまい。3連単が主体となる少頭数の競馬で人気馬が除外となれば払戻金は莫大な額になる。頭数確保はリスク管理でもある。

今年の東京大賞典出走馬9頭の内訳は、JRA所属馬5頭に対し、地方所属馬は大井、船橋、笠松、金沢から1頭ずつ。折しも今月号の社台グループ会報誌には、ダートグレードレースで少頭数競馬が続く問題の解決策として、「JRA出走枠の増加を」と提言がなされていた。だが、東京大賞典のJRA出走枠は本来6頭。今回はそれすらも割り込んでいたこととなる。じゃあ、どうすれば良いのか? それで冒頭のお題が出されたわけだ。

これに対し、とある専門紙のベテラン記者が即答した。「距離を1200mにすりゃあ良いんだよ」と言う。たちまち周囲は爆笑に包まれたが、今思い返すにこの意見は意味深長だ。12月に1800mと2000mのGⅠが立て続けに行われる意義はあるのか? 生粋のダートスプリンターが目指すレースがないのはおかしい! 議論は尽きない。

我が国で行われるダート1200mの重賞はJRA地方合わせて5つ。メジャーな条件の割に少なくないか。うち大井では春に東京スプリント(JpnⅢ)と秋に東京盃(JpnⅡ)の二つを賄っているが、JBCスプリントが大井や盛岡で行われない限り、この条件でGⅠ級レースは行われない。タイセイレジェンドのため息が聞こえてくる。

Taisei 

先月行われたJRAで唯一のダート1200m重賞カペラSには、フルゲート16頭に対して59頭もの特別登録があった。全頭が本気で出る気だったかは定かではないが、この条件への需要は決して少なくない。

国際GⅠでもある東京大賞典の距離を実際に変更できるかどうかという問題はさておき、「1200mに短縮」という案には、単に笑って済まされぬ響きを感じる。JCダート改め「チャンピオンズカップ」が12月7日に行われる今年、東京大賞典までの間隔が昨年の中3週から中2週と詰まる。JRA有力馬の参戦は減るかもしれないし、逆に東京大賞典の出走頭数を増やすことに繋がるかもしれない。

ともあれ地元からの出走馬が増やすことが先決。「南関東大賞典」と揶揄される大晦日の「おおとりオープン」をやめてしまうのも、ひとつの手ではあるまいか。まあ、無理だろうけど。

 

 

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2014年1月 8日 (水)

頑張れウインラディウス産駒

6日の中山競馬場。この日唯一組まれた芝1600mの新馬戦は、好発を決めたパワースラッガーがハナに立つと、直線でも逃げ脚衰えず、バリスに半馬身の差をつけてデビュー戦を飾った。鞍上の江田照男騎手は、この世代の新馬戦で7勝目。これは関東リーディングの内田博幸騎手と同じ数字で、全勝利数と比較すれば注目すべきものがある。

5r  

父は2004年の京王杯SCなど重賞3勝のウインラディウス。決して産駒は多くないから、JRAでの勝ち上がりはまだ4頭目。地方にも特筆すべき産駒はいない。

ウインラディウス自身はジャングルポケット、クロフネ、アグネスタキオンといった近年屈指とも言われる2001年のクラシック組。デビュー戦でのちに桜花賞馬となるテイエムオーシャンの逃げを捕らえきれずに敗れるも、2戦目には未勝利の身ながら、オープンのクローバー賞をレコードで圧勝してみせた。続くクラシックの登竜門、東京スポーツ杯でも1番人気に推されるなど、2歳(当時表記は「3歳」)の夏から秋にかけては、前出の3頭を凌ぎ、この世代トップの評価を得ていたこともある。

しかし、ノドの手術とその後遺症のため、3歳から4歳にかけて1年9か月もの休養を余儀なくされた。4歳(当時表記は「5歳」)の春までに挙げた勝利は、そのクローバー賞の1勝のみ。しかし、彼はそれで終わらなかった。ジャングルポケットも、クロフネも、アグネスタキオンも、同期のみんなが引退して人気種牡馬となってからも、地道に条件戦から走り、重賞3勝を含む8勝を積み重ねたのだからすごい。ウインラディウスが種牡馬となれたのは、馬自身の能力もさることながら、その能力を信じた関係者の努力の賜物でもあろう。

Win  

ウインラディウスはその圧倒的なスピードをいかんなく発揮してレコード勝ちする一方で、レース前にテンションが上がり過ぎ、2桁着順に大敗することも珍しくなかった。6日の新馬を勝ち上がったパワースラッガーも、やはり精神的に危ういところを持つという。それでも、同期ジャングルポケットの孫や、マンハッタンカフェの産駒らを完封したその走りに、ウインラディウス本人も喝采を送っていることだろう。ぜひとも父が果たせなかったクラシック出走を目指して欲しい。

 

 

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2014年1月 7日 (火)

あっと驚く投票結果

「ええ゛っ!?」

夕方に発表されたJRA賞のラインナップを見て、驚いた方は多いのではあるまいか。

「年度代表馬がオルフェーヴルじゃない!」

という人もいれば、

「いやあ、最優秀ダートホースはホッコータルマエだろ!」

という人もきっといたと思うのだけど、私が注目したのはロードカナロアが最優秀4歳以上牡馬のタイトルを逃した点にある。ロードカナロアは2013年を代表する馬ではあるけれど、古馬としてはオルフェーヴルの方が上   これを分かり易い結果とは言えまい。

年度代表馬に選出された古馬が、同時に最優秀4歳以上牡馬(牝馬)に選出されなかったのは、60年間の年度代表馬選出の歴史の中でたった一度だけ。年度代表馬に5歳(当時表記)牡馬のホマレボシが選ばれながら、最優秀5歳以上牡馬はタカマガハラに譲った1961年以来の出来事だ。

Orfe 

こういうことが起こるのは、選出方法が投票なればこそ。ホマレボシの2年前には、秋の天皇賞と有馬記念に連勝したガーネツトを差し置いて、皐月賞を勝っただけのウイルデイールが年度代表馬に選ばれてしまったこともある。どちらが年度代表馬に相応しいか。議論の余地などないはずなのに、こういうことが起こる。投票の不思議とでも言うほかはない。

投票結果が覆ったこともある。1999年の最優秀5歳以上牡馬の記者投票は、春と秋の天皇賞とジャパンカップを制したスペシャルウィークが83票を集め、日本国内では未出走ながら凱旋門賞2着などフランスで活躍したエルコンドルパサーの73票を上回った。だが、最終的に選考委員会が最優秀5歳以上牡馬と年度代表馬に指名したのはエルコンドルパサー。投票が物議を醸すことは避けられないが、その投票を軽んずればさらなる混乱を生み出す。

直接対決が実現していれば話は早いのだが、走った国やレースカテゴリの異なる2頭のチャンピオンを比較する作業は簡単ではない。今年で言えばロードカナロアとオルフェーヴル。この2頭をいずれも「チャンピオン」と捉え、両者の比較で年度代表馬を選ぼうとすれば、とりあえず最優秀スプリンターにロードカナロア、そして最優秀4歳以上牡馬はオルフェーヴルに、と考えた投票者が多かったとしても不思議ではない。その上で、「2013年を代表する馬はロードカナロア」とする意見が上回ったということか。もとより万人が納得する投票結果など有り得ない。

Load  

スプリンターが年度代表馬に選出されるのは史上初。そのこと自体、異例の投票結果を引き起こした一因であろう。

わざわざ「最優秀スプリンター」という部門が用意されているのは、スプリンターの評価が低いことの裏返し。かつて「古馬最高峰」とされたのは天皇賞であり、有馬記念は「日本一決定戦」というキャッチフレーズで創設された。それを思えば、タカマガハラが最優秀5歳以上牡馬となり、ホマレボシを年度代表馬とした1961年の投票結果にも頷ける部分がなくもない。年度代表馬選出にまつわる悲喜こもごもは、競馬の歴史を映し出す鏡でもある。

 

 

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2014年1月 6日 (月)

2日目の未勝利戦に思う

新年2日目の中山競馬場は素晴らしい快晴。なのに場内がガラガラなのは仕方ない。世間は今日からお仕事です。

Kenryo  

2Rは牝馬限定の未勝利戦。圧倒的1番人気に推されたロトラトゥールが、先行策から押し切って嬉しい初勝利を挙げた。

2r  

お母さんはエーデルワイス賞を勝ったエスワンスペクターで、兄に九州ダービー馬エスワンプリンスやダート準オープンで活躍するディーエスコンドルがいる血統。それで父がゴールドアリュールなのだから、やはりダートのフィーリングが合うのであろう。

とはいえ新潟の芝では切れる脚を垣間見せたことも。いずれまた芝での走りを見てみたいところではあるが、現時点では横山典弘騎手一流の「レースで競馬を教える」段階だというから、その辺の楽しみはもう少し先か。

3Rもダート1800mの未勝利戦。ネオユニヴァース産駒のレオニーズが、後方からレースを進めて、ゴール寸前測ったように差し切った。

3r  

鞍上は昨日の中山金杯を勝ったばかりのフランシス・ベリー騎手。直線坂下で逃げ馬に突き放された時は、もはやその差は詰まらぬと思わせた。だが、そこからひと呼吸置き、坂を上ってからジリジリと差を詰め、ゴール前最後の一完歩でハナだけ差し切るのだからたいしたもの。両者の明暗を反転させたのは、彼らが勝負掛かった時にだけ見せるこの豪快なフォームに他ならない。この外国人特有の追い方は、日本人には真似できぬものなのだろうか。

この正月開催でベリー騎手は重賞を含む2勝。ブノワ騎手も1勝。京都のルメール騎手に至っては重賞を含む4勝の荒稼ぎ。今年も外国人騎手の存在感から逃れられない一年になりそうだ。

 

 

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2014年1月 5日 (日)

荒れる金杯、荒れぬ金杯

今年も東西の金杯でJRA競馬が開幕。中山では5番人気オーシャンブルーが勝って、幸先よく2014年のスタートを切った。

1番人気ディサイファが3着に収まったから、3連単は5万円台の決着。ハンデ戦とすれば、まあ普通の配当。大波乱を期待した向きには、少々物足りなかったのではあるまいか。

近年の中山金杯は、比較的平穏な結末が続いている。今年を含めた近5年の1番人気馬の成績を列記すると、1着、1着、16着、3着、3着。ちなみに、一昨年の中山金杯で16着に敗れたのはアドマイヤコスモスだが、これはレース中に骨折していたのだから仕方がない。そんなアクシデントがありながら、レースは2番人気のフェデラリストがしっかりと勝った。「荒れる金杯」の格言は少しずつではあるが、重みを失いつつあるようにも感じる。

Kinpai  

金杯が荒れる原因のひとつは、正月を挟む変則日程とされてきた。通常の開催では、土曜日に出走する可能性のある馬は、水曜日に追い切られる。俗に言う木曜追いは日曜に出走することが確定的な馬だけ。追い日から中1日でレースを迎えることは、なるべくなら避けたい。

5日の金杯に出走するとなれば、理想の追い日は2日。だが、前日が元日のためトレセンは全休となる。全休明けに速い時計を出す厩舎は少ない。とはいえ翌3日に追い切ればレースまで中1日となってしまう。30日や大晦日に時計を出して、3日に流す程度に乗ることもあるが、それにしたところで手探り感は免れない。かくして金杯は荒れるというわけである。

だが、近年では変則開催は金杯だけに限らない。3連休の月曜開催があれば全休日は火曜日。土曜日に使う馬は、たとえ全休明けでも追わざるを得なくなる。そんな事情も後押しして、全休明けでも追い切りをする厩舎は珍しくはなくなった。

それだけの理由で金杯が堅くなったと言うつもりはないし、それが全てのファンに福音をもたらすかどうかは分からぬが、競馬としてはこれがあるべき姿であろう。

Kinpai2 

金杯の日程についてはいろいろな意見があるようだが、馬券を買う立場からすれば、私は5日がちょうどよいと感じる。売り上げアップを目論んで元日の全休日を取りやめてまで4日の実施に踏み切った2009年の中山金杯は、売り上げアップどころか前年比11.6%減という悲惨な結果に終わった。早ければ良いというものでもない。我々にも心の準備というものがある。

年末から繰り返し書いていることだが、長年馬券を買い続けたファンの体に染みついた暦感は、簡単に変えられるものではない。ついでに書けば、一年のスタートがハズレからとなるのも毎年のこと。嗚呼。

 

 

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2014年1月 4日 (土)

ビアホールのメンチカツ

しつこく揚げ物の話を続ける。いいかげん胃もたれ気味だという方は、どうか読み飛ばしてください。

新橋の『ビアライゼ98』は、日本一の生ビールを飲ませてくれると評判のビアホール。TVや雑誌に紹介されたことも一度や二度ではない。夜はいつも常連たちで賑わう。

Bierreise  

マスターの松尾光平氏は、かつて日本橋にあった伝説のビアホール『灘コロンビア』のビール注ぎ名人・故新井徳司氏の唯一の愛弟子。『灘コロンビア』から受け継いだ旧式サーバーで注がれたビールの泡は、クリームのようにきめ細やかで滑らか。昔ながらの氷を用いた、いわば自然の温度管理と炭酸ガスを用いないことで、何杯飲んでも胃にたまらないビールが注がれていく。グイっと喉に流し込めば、芳醇な麦芽の香りとビール本来の甘みが沸き立つ。「ビールとは、こんなに美味いものだったのか」。初めての客はたいてい驚くという。

Menchi1  

そんなビールに合わせる人気のつまみは写真の「メンチカツ」。

レモンのようにコロッとした独特の形だが、素材はシンプルそのもの。牛ひき肉と粗みじんのタマネギだけ。旨味を引き出すため、練ったタネを2日間寝かせているという。さらに、自家製のデミグラスソース。小麦粉をバターで炒め、香味野菜を加えてじっくり煮込んだもので、ほのかに感じる苦味が逆に清々しい。じゅわーっと広がるメンチカツの甘みを引き立て、思わずビールが進んでしまう。

Menchi2  

これだけの逸品が白いご飯に合わぬはずがない。なので、水、木、金のランチ営業は貴重だ。ランチタイムは、メンチカツやチキンカツといったメインプレートをオーダーした上で、ご飯、味噌汁に様々な惣菜をブッフェスタイルで取るシステム。この日は、ゴボウの天ぷら、ウインナー、シュウマイ、などなど。

Lunch2  

これだけで白飯一杯は楽勝。おかわりをよそって戻ってくると、ちょうどメンチカツがテーブルに届いた。シューシューという小気味の良い音が立つ衣に、たっぷりのデミグラスソースがかけられたメンチカツはまさに揚げたて。ナイフで切れ目を入れれば溢れ出る出る熱々の肉汁。これでまた白飯一杯完食。カリッと揚がった厚めの衣にとデミグラスソースで、さらにもう一杯。これは太る。ヤバい。

それでもヨーグルトを取ってしまうあたりが、貧乏性の悲しい性(さが)であろう。ちなみにヨーグルトはなくなるのが早いから、欲しい人は早い時間に行った方がよい。

 

 

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2014年1月 3日 (金)

大井にコロッケ専門店を

揚げ物の話が続くのだけど、今日はコロッケの話。コロッケは好きですか?

揚げたてのコロッケが美味いことを、くどくど書き立てる必要はあるまい。アツアツをそのまま噛っても良いが、揚げたてをパンに挟んでかぶりつくあの旨さも、捨てがたいものがある。

Aoki1  

都電三ノ輪橋から5分ほど歩いたところにある『青木屋』は、行列のできるコロッケパンの店だ。かつて惣菜店だった頃、コロッケを買い求めたお客さんが「これに挟んで」とパンをよく持ってきたことから、この定番メニューが誕生したと聞く。

コロッケに使うジャガイモは、パンと一緒に食べてもパサつかない北見産の男爵。そのジャガイモがたっぷり詰まったコロッケを包むコッペパンは、甘くて軟らかい食感のものをメーカーに特注しているらしい。ひとくち頬張れば、揚げたての衣のサクッとした歯触りの後、しっとりとしたジャガイモの甘みが口いっぱいに広がる。う~ん、こうして書いているだけで買いに走りたくなりますね。

Aoki2  

昔はよく、東京競馬場に行く前に府中本町駅前のイトーヨーカ堂に立ち寄り、惣菜コーナーでコロッケをいくつか買い、さらにコッペパンを1袋買ってから競馬場入りしていたものである。正真正銘の「揚げたて」ではないが、競馬場の広い芝生の上で頬張るコロッケパンの旨さは、他に比べるものがない。間違いなく場内のあらゆるメニューを凌駕していた。

だから大井競馬場に「コロちゃんコロッケ」が開店した時は、たいそう喜んだものである。最初は4コーナー側のいちばん奥の方でひっそりと営業していたわけだが、ゴール前付近から片道3分の道のりを苦とも思わず、せっせと往復していた覚えがある。正門近くに引っ越してきてからも、店の前を通るたびに買っていた。何せ1個50円の安さである。こうして、私とコロッケの平和で親密な日々は、永久に続くものと思われた。

だが、不幸というものは、まるで道道早来鵡川線に潜む覆面パトカーのように突然背後に忍び寄ってくる。コロちゃんコロッケ突然の閉店は、多い時で月に10日ほどを大井競馬場で過ごしていた私にとって誇張抜きで死活問題となった。

これは決して冗談で書いているのではない。大井での飲食事情は、一時期に比べ悪くなっている。かくなる上は、餃子店出店を目指す、競馬カメラマンI氏の英断を待つしかない。こうなったら餃子専門店じゃなくって、コロッケ専門店さんでも大歓迎です。

 

 

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2014年1月 2日 (木)

牛肉を揚げよう

「カツ」の話を続ける。

トンカツも好きだが、それにも増してビーフカツが好物である。「ギュウカツ」と書くといわゆる「串カツ」のイメージがあるので、ここでは明確に両者を分けておく。私が好きなのは、ステーキ用の牛肉にパン粉を着けて、レア程度にサッと揚げたビーフカツの方。東京では、なかなかこれを出してくれる店がなくて困るのだが、関西では珍しいメニューではなく、美味しいビーフカツを出してくれる店がたくさんある。さすがは、関西は馬のレベルだけでなく「食」のレベルも高い。

東京にもたまに足を運ぶ店がある。それが人形町にある『そよいち』。老舗が立ち並ぶ人形町にあってはまだまだ新しい店だが、店名に「ビーフカツ」を謳う意気込みは見るべきものがある。先日は盛岡から知り合いの記者が上京してきたので、昼飯でも食いながら岩手競馬の話を聞かせてくれと、この店に誘った。

Beef  

この店のビーフカツはカツが2枚で1人前である。多過ぎるという方にはハーフサイズメニューもあるから、そちらを頼むと良い。私の個人的な好みを言わせてもらえれば、1枚で良いからもう少し肉を厚くして欲しいと思う。肉が薄いと、レアの状態にならずせっかくの牛肉の味わいに欠けてしまう。だが、そのためには肉のランクを上げなくてはならず、価格設定の都合上難しいのも事実。サラリーマン相手のランチメニューで、3千円取るわけにもいくまい。

誤解しないで欲しいのだけど、美味しくないと言ってるのではない。わざわざ電車に乗って食べに行ってるのだから、私は美味しいと思ってる。ただ、大阪・神戸のそれとはやはり違うのである。

つまるところは、文化の違いなのだと思う。東京でビーフカツの話をすると、大半の相手は「牛肉を揚げちゃうなんてもったいない」と言う。「カツはステーキに劣る」という固定観念に基づく発想。件の記者も、開口一番そう言った。

東京で「ビーフカツ」を出す店が増えないのは、旨い不味いではなく、固定観念との戦いを強いられるからであろう。それでも敢えて厳しい戦いに挑むこのようなお店には、敬意を表す意味でもマメに足を運びたいのである。

 

 

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2014年1月 1日 (水)

哲学としてのトンカツ

正月早々トンカツの話です。

競馬場の食堂のメニューにトンカツは欠かすことはできない。言うまでもなくゲン担ぎで食べる客がいるから。「勝つライス」「勝つ丼」「勝つカレー」と、語呂合わせのままメニュー書きしている店も珍しくはない。

かつて競馬場でよく顔を合わせたベテランの馬券仲間も、昼食には必ずトンカツを食べていた。午前最後のレースを見届けるや素早く食堂の列に並び、トンカツ定食の食券を購入するのである。そこには些かの躊躇も迷いもない。レジでは「トンカツ」とだけ言い、食べ終えると「あぁ、美味かった。“勝つ”食って“馬勝った”だ。ハッハッハ」と、笑いながら午後のパドックに消えていった。

彼は40年以上の馬券歴を誇り、府中・中山の開催時は競馬場での観戦を欠かさなかったから、ざっと計算しただけでも1500食は競馬場のトンカツを食べている計算になる。それだけ続けているのだから、それなりに御利益はあるのだろう。最近姿を見かけないのが、ちょっとばかり心配ではあるが。

なんでこんなトンカツの話を書き連ねているのかと言うと、先日食べたトンカツが衝撃的に旨かったのである。

都営地下鉄・大門駅近くに店を構える『むさしや』がその一軒。

Musashi 

写真の極上ロースカツは、ひとくち噛めばサックリとした衣がなんとも心地よく、しかる後に豚の旨味がジュワーッと口の中いっぱいに広がる、まさに至福の一品である。

使用しているのは、弾力のある歯ごたえと、良好な脂質が生み出すくせのない甘みが特徴の「平牧三元豚」。山形県酒田市の平田牧場が開発したブランド豚として知られるが、競馬ファンにはヒラボクロイヤルやヒラボクディープの馬主としての方が馴染みが深いだろうか。

Hiraboku  

極上ロース用の肉はロースのブロックから5枚しか採れないという。つまり、1頭の豚からたった10枚しか採れない。霜降りの肉の塊に包丁を入れると、店主は「では、こちらを揚げていきます」とわざわざ見せてくれた。つまり、それほどの肉なのであろう。

ソースには、辛口ソース、甘口ソース、塩、そしておろしポン酢が用意されているが、店主のおすすめは塩だというので、まずは塩で食べてみる。なるほど美味い。美味いが、ご飯のおかずとなるとソースに優位性がある。おろしポン酢も捨てがたい。

うーむ、これは難しい。私はトンカツを前にしてしばし考え込んだ。

ソースによって失うものもあれば、得られるものもある 

これは哲学にも近い。1500食も食べ続ける人がいるのも、それが哲学だと思えば、なんとなくわかるような気がした。

それでは、2014年もよろしくお願いいたします。

m(_ _)m

 

 

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