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2013年12月16日 (月)

若きスプリンターの憂鬱

中山競馬場には、今では使われていないスタート地点がある。

2コーナー奥に引き込まれた芝1400mのスタートポケット。1200mと1600mの2距離に限られていた中山競馬場の短距離戦の隙を埋める形で、1986年暮れの開催に導入された。だが、スタートしてすぐに2コーナーを迎えることや、コースの真ん中から外側に向かって低く傾斜している形状などが指摘され、92年12月5日を最後に使われてはいない。

今年の朝日杯ほど中山の1600mというコースに対して「トリッキー」とか「不公平」という言葉が溢れたことはなかったような気がする。もちろん、来年からの阪神移設が前提にあってのことだが、有利とされる1番枠を引いた逃げ馬ベルカントが10着に敗れたことを引き合いに出すまでもなく、絶対的な格差がある訳でもない。1番人気で5着に敗れた川田騎手に至っては、内枠を敗因に挙げた。中山芝1400mを知る人間とすれば、中山マイルが悪く言われ過ぎの印象も否めない。1400mに比べれば遥かにマシじゃないか、と思ってしまう。

とはいえ、競馬は1キロ以上も走っておきながら最後は数センチの差が明暗を分けるゲーム。わずかな条件の違いが、その馬や関係者の一生を左右しかねないのだから、神経質になるのも頷ける。それがGⅠの舞台ならなおさらだ。実際、ゴスホークケン、コスモサンビーム、アドマイヤドン、マイネルマックスそしてフジキセキといった馬が1枠1番から朝日杯を勝っている。8枠桃帽の朝日杯馬は86年のメリーナイスにまで遡らなければならない。とはいえ、この年は9頭立てだったので、8枠といっても8番枠だが。

中山のマイルがチャンピオン決定戦の舞台に相応しくないという主張は理解できる。それでも、そのまま阪神のマイルに移すことがどうも腑に落ちない。例えば1400mにするという考えはなかったのだろうか。新設重賞ホープフルSとの差別化も図れるし、ベルカントのようにマイルでも長いという牝馬が挑戦することもできる。とにかく、スプリンターの素質がある2歳馬が目指すレースがない現状はおかしい。

ロードカナロア1頭を除けば、日本のスプリンターのレベル低下が叫ばれて久しい昨今である。一方で、クリスタルCは05年を最後に廃止。ファルコンSも昨年から距離が延長されてしまった。せっかくスプリンターの素質を備えていても2歳、3歳時に目指すレースがない現状を見れば、レベル低下も何もあるまい。ベルカントを敢えて牡馬にぶつけたのも、中山マイルというコースを求めた結果。来年以降はこういう選択肢もなくなる。

アジアエクスプレスにしても、ムーア騎手によれば「マイルがギリギリ」というスプリンター。今回の勝利の陰には、皆が“トリッキー”と揶揄する中山マイルのアシストがあったのかもしれない。ともあれ、来夏のデビューを待つスプリンターたちにとっては、辛いレース改編になりそうだ。

 

 

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