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2013年11月25日 (月)

牝馬の時代

「それにしても牝馬が強くなったもんだなぁ」

Gentil  

史上初めて牝馬のワンツーに終わったJCの帰途、そんな声が周囲から聞こえてきた。2011年から牝馬が3連勝。2010年のブエナビスタ1位入線(2着降着)を「勝ち」に含めれば、2009年のウオッカから5年連続して牝馬が勝ち続けていることになる。2008年以前にJCを勝った日本の牝馬は皆無。そう思えば「突然牝馬が強くなった」と感じるのも無理はない。

しかし「牝馬の時代」は今や世界の潮流だ。アメリカではレイチェルアレグザンドラ、ゼニヤッタ、ハヴルデグレイスと3年続けて牝馬が年度代表馬に輝いているし、ヨーロッパでもザルカヴァ、デインドリーム、そして今年のトレヴと牝馬の凱旋門賞馬が続々誕生。そのトレヴと並び、現時点でワールドベストホースランキング1位の評価を得ているのは、この春に引退したオーストラリアの女傑・ブラックキャヴィアである。

我が国においても、過去5年の年度代表馬のうち牝馬が4頭を占めている。ちなみに今年のNAR年度代表馬も、先日引退したばかりのラブミーチャンが選ばれる可能性が高い。

Vodka  

なぜ、牝馬たちは突然強くなったのか?

いや、実際のところ、急に牝馬ばかりが強くなったりするはずがない。もともと牝馬は牡馬に比べて強い面を持っていた。人間でもそうだが、本質的には男よりも女の方が体質が強いのである。「いざと言う時、男はオロオロするばかり」と揶揄されるように、環境の変化にも動じることも少ない。それで、かつてはシーキングザパール、トゥザヴィクトリー、シーザリオ、ダンスインザムードといった面々が、そして近年にはウオッカ、レッドディザイア、ブエナビスタ、そしてジェンティルドンナという牝馬たちが、海外で牡馬以上の活躍を残してきた。

「牝馬は扱いにくい」といった固定観念が消えたことも、牝馬の活躍が増えたことの一因であろう。たしかに一度調子を崩すと立て直すのが難しいし、春先にはフケにも注意しなければならない。

それでも、クラブ所属馬全盛という時代が、牡馬よりも安価に出資できる牝馬の人気を押し上げ、「最強牝馬」では飽きたらず「最強馬」を目指す流れを後押しした。むろんエリザベス女王杯の古馬開放やヴィクトリアマイルの新設で、牝馬限定GⅠの価値が薄れたことも無関係ではなかろう。ともかく、牝馬が突然強くなったのではない。強い牝馬が牡馬に勝負を挑むようになっただけだ。

Buena  

そもそも、JCは牝馬の活躍が目立つレースとして知られていた。出走頭数比では15.3%でしかないのに、牝馬の勝率は21.2%。実は5回に1回以上のペースで優勝しているのである。むろんこの数字に2010年のブエナビスタ(1位入線)は含まれていない。なにせ、記念すべき第1回JCの優勝馬からしてアメリカの牝馬・メアジードーツだった。

JC連覇を果たした直後に、ジェンティルドンナの陣営から「引退」の二文字は聞こえてこなかった。来年も現役を続けるのであれば、JC3連覇の偉業にも期待がかかる。もちろんデニムアンドルビーだって雪辱に燃えるだろうし、メイショウマンボだって来年はJCを目指して欲しい。さらにトレヴの参戦があったりしたら、もう凄いことになる。JCは女傑たちのレースだ。

 

 

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