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2013年11月24日 (日)

パドックの逡巡

「決心は変わらないかい?」

パドックから本馬場に向かうJC出走の17頭のあとを歩きながら、釧路馬主が聞いてきた。前を見据えて「はい、エイシンフラッシュです」と答える。

聞いてきた釧路馬主の本命はゴールドシップだという。パドックに降りるまで、その信念には1ミリの揺るぎも見られなかった。だが、パドックに現れたゴールドシップからは、まるで覇気というものが感じ取れない。終始うつむき加減で、歩幅は短く、引手にもたれるように周回しているその姿を見て、釧路馬主はひと言「やる気あんのかなぁ?」と呟いた。

Ship 

だが、私にしても他人の本命を心配している場合ではない。エイシンフラッシュは馬体をスッキリ見せてまずまずのデキ。が、いつもよく見せることで知られる馬でもある。毎日王冠で受けたような思わず声が出るほどの衝撃は正直ない。とはいえ、本命を変えるほどでもあるまい。それなら初志貫徹だ。

Flash 

注目のジェンティルドンナは、頸を高く上げているのが印象的。いつもこんな高かったか? 

Gent 

「それにしてもトーセンジョーダンがすごいね」

背後から釧路馬主の声が聞こえた。隣にいた某金融関係者も「ホント、気合乗りとか半端ないですよ」と続ける。

Tosen 

私は頷いた。秋の陽に輝く毛艶。伸びやかな四肢。そして魂の発露を感じさせるその瞳。前走との違いは歴然。これがいわゆる「つい口に出すほどのデキ」である。だから、スタンドに上がると、エイシンフラッシュの単複にエイシン頭の3連単だけでなく、エイシン&トーセンの馬連を厚めに、トーセンジョーダンからの馬連もベタベタと買った。

準備は万端。ついにゲートが開くと、あろうことかエイシンフラッシュが先頭に立たされようとしている。しかも2番手はトーセンジョーダンではあるまいか。その2頭が、ゴール前を通過する。おもわず「できたあっ!」と叫びそうになったが、いくらなんでも早過ぎる。

Jc1 

3コーナーで最後方から仕掛けたゴールドシップは、思いのほか動けない。それを見た釧路馬主は早くも意識を失った。次いで直線入口でエイシンフラッシュに鞭が入ると、私も気を失いかけたが、まだトーセンジョーダンからの馬連がある。ジェンティルドンナが先頭に立ってもトーセンジョーダンの脚色は衰えない。「おっ! こりゃ残るぞ! ジェンティルとの馬連でも万馬券だったよな。やった、これで今夜はちり鍋だ!!」

   と思ったの束の間。大外から金子さんの勝負服が矢のように飛んできた。うわ! よせ! 差すな! トーセンジョーダンを差すな!! うがーっ!!!

Goal 

ここで失神するのは毎年のこと。1着が写真判定になっていたことすら知らなかった。史上初のJC連覇を目撃した感慨もほとんどない。ともあれ、これで2013年の東京競馬も見納め。食堂では「良いお年を!」の挨拶も聞こえ、帰途の駅連絡通路には来年のカレンダーを売る声が響いた。毎年のことだけど、JCが終わってからの年の瀬感って半端ない。それにしても、やはりパドックって大事ですね。

 

 

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