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2013年11月 3日 (日)

偽装

阪急阪神ホテルズに端を発したメニュー偽装問題は全国各地のホテルチェーンに波紋を広げて、終息の見通しすら立っていない。今朝になって京都のホテルがロコ貝を「アワビ」と表記していた案件が新たな問題として浮上した。ここまでやると、回転寿司にまで手を付けなければ、事態は収まらないのではあるまいか。

実はこの件、発端の一部は競馬にも絡む。阪神競馬場6Fのレストラン『フローラ』は、阪急阪神ホテルズの経営に掛かる店舗。「既製品のハンバーグを“手捏ね”と称して提供していたという当初の一件は、このレストランが舞台となっているのである。

具体的には『手捏ね煮込みハンバーグ(1700円)』というメニューに使われているハンバーグが、実は手捏ねではありませんでした、というもの。メニューから受ける印象としては、注文を受けてからシェフがその手でタネを入念に捏ねて整形し、特製のデミグラスソースでじっくり煮込んだ一品   といったところか。だけど、競馬場のレストランでそんな悠長なことをやっていたら、「おい!いつまで待たせんのや! 次のレースが始まってまうやろ!」なんて、客から怒鳴られそうだ。なので、客のためを思って既製品を使うことにしたのかもしれない(笑)

実際に「手捏ね」をハンバーグのウリにする店は多い。そうはいっても、手でタネを捏ねることで何が生まれるのか。あるいは、何を失わないで済むのか? 

手で空気を入れるように捏ねるとふっくら仕上がるとか、機械で捏ねると肉の繊維が壊れてしまって食感が悪くなるとかいう一方で、手で捏ねると手の体温で肉質が変化してしまうので、敢えて機械で捏ねるという専門店もある。そもそも、機械で捏ねたタネを手で整形しても「手捏ね」だというし、工場で手で捏ねたハンバーグを冷凍し、各地の店舗に配送したものを解凍して客に提供しても「手捏ね」だというのだから、「手捏ね」の看板に振り回されるのは考え物だ。そのうち「手握り」をウリにする寿司屋が出てきそうそうで怖い。

結局は、提供する側がどれだけ信念と責任を込めて作っているか、それを客が推し量るための尺度にしたいのであろう。手間暇をかけていればいるほど、味もそれに比例する可能性が高い。だが、それも“誤表記”の壁の前には無力だ。

2010年5月。ホテルグランヴィア京都の直営レストラン『ル・タン』の弁当で、メニューに「京地鶏」と表記しながら実はブロイラーが使用されていたという一件があった。発覚のきっかけは、それを食べた客からの「京地鶏にしては歯応えが軟らか過ぎる」という指摘だっという。お客さん、なかなかやりますね。

今回問題となったのは煮込みハンバーグである。煮込まれた状態のハンバーグが、手捏ねであるかそうでないか。たとえ口には言い出せなくても、その違いに気づいた客は果たしていたのだろうか。私などは、次のレースのことで頭の中がいっぱいで、メニューに「手捏ね」とあったこともすぐに忘れてしまいそうだ。競馬場のレストランに期待するレベルは限られている。早く提供できること。そして、安心できる味であること。背伸びをする必要などなかった。

Hamberg  

高田馬場に『ザ・ハンバーグ』という店がある。メニューに並ぶのは150グラムから1500グラムまで、50グラム刻みの分量のハンバーグ。メガ盛りですっかり有名になってしまったが、カウンター席からは手捏ねでハンバーグを作る様子をじっくりと眺めることができる。濃い味のソースはなし。大根おろしが添えられたハンバーグは、牛肉の味がシンプルに伝わってくる。これぞまさしく「ザ・ハンバーグ」。手作りをアピールするなら、これくらい思い切るべきなのであろう。

 

 

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