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2013年11月22日 (金)

再び褒賞金

褒賞金の話の続き。

おとといのJRA発表は、褒賞金や重賞レースの新設だけでなく、さりげなく21もの重賞レースの賞金が引き上げられるなど、内向きには大盤振る舞いの内容。だが、その一方でひっそりと姿を消す褒賞金も明らかになった。

* * JRA HP より * *

「外国の競馬の競走に出走する馬及び関係者に対する補助金・褒賞金交付基準」の廃止について

我が国の競走馬の資質向上および競馬に対する諸外国の認識をより一層深めるために設定した「外国の競馬の競走に出走する馬及び関係者に対する補助金・褒賞金交付基準」について、昨今の諸外国における日本調教馬の活躍を踏まえると、設定当初の目的は概ね達成されたと考えられることから、本基準を廃止することといたします。

* * * * * * * * * *

Hongkong_2  

フジヤマケンザンの香港国際カップ制覇に始まる90年代後半の海外遠征ブームは、上記の褒賞金に支えられていた部分が大きい。タイキシャトルが勝ったジャック・ル・マロワ賞の1着賞金は100万フラン(当時のレートで約2400万円)だが、その7倍にも相当する1億6800万円もの褒賞金がJRAから支給されたのである。

褒賞金の支給額はレースの格によってJRAが定める。同じ時期にモーリス・ド・ゲスト賞(1着賞金約1200万円)を勝ったシーキングザパールには9200万円が支給されたが、ほとんどの日本人が知らなかったこのレースを一躍有名にしたのは、このレースの褒賞金ランクがこの年から上がったことを知っていた森調教師の知見によるところが大きい。

ところが、99年からは褒賞金が徐々に引き下げられていく。海外で日本調教馬の活躍するようになり、その役目を終えたというのが表向きの理由だが、それとは別に、多くの一流馬の目が外に向くあまり、日本国内のGⅠレースに空洞化現象が見られるようになったことも原因のひとつだ。

2001年には、秋の天皇賞馬アグネスデジタルと、ドバイシーマクラシックの覇者ステイゴールドの有力馬2頭が、揃って有馬記念を袖にして香港へと渡った。

当時の有馬記念の1着賞金は1億8000万円。香港カップ1億6300万円、香港ヴァーズ1億2800万円に比べれば高いが、これに褒奨金を加えれば有馬記念出走よりもメリットが大きい。むろん相手との力関係もある。実際両馬とも勝ってしまったのだから、その見立ては間違っていなかった。その一方で、有馬記念の売上は前年比12.3%という大幅な落ち込みを記録する。JRAのジレンマはこの時ピークを迎えていた。

今回発表された一連の制度変更は、ここ数十年続いた海外志向から国内重視へと舵を切ったことの現れだろうか。海外遠征を奨励しておきながら、それと同時に国内GⅠのメンバー充実のためにも金を出すという矛盾が解消されたことは評価できる。だが、これによって遠征熱が冷めてしまっては残念だ。去年や今年の凱旋門賞で、多くのファンは世界最高峰のレースで繰り広げられる興奮の味を覚えてしまった。競馬ファンから競馬への情熱そのものを奪う結果になってしまっては、元も子もない。

 

 

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