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2013年11月16日 (土)

この馬と再びこの地で

秋陽ジャンプSで落馬したアポロマーベリックがレース終了後もぐるぐるとコースを走り続けてしまったおかげで、予定時刻よりも遅れて迎えた奥多摩S。メインでもない条件戦の割にファンの歓声が思いのほか大きいのは、いったいなぜだろうか。

GⅠ2着の実績を誇るメジャーアスリートが出ているから?

Mejar_2 

……ではなさそう。だいたいその「GⅠ」を知っている人からして多くはない。

ふんじゃあ、GⅡ2着の実績を誇るセイクレットレーブが出ているからだろうか?

Seiku 

そんなはずもないですよね。正解は、この人馬を応援したいがためであろう。スタンドから「頑張れ!」の声も聞こえてくる。

Sudachi 

昨年のNHKマイルCでシゲルスダチに騎乗した後藤浩輝騎手は、直線で急に内斜行したマウントシャスタに進路を塞がれて落馬。頸椎を損傷して、1年5か月にも及ぶ戦線離脱のきっかけとなった。

リハビリ中も、そして復帰してからも、後藤騎手はシゲルスダチへの騎乗を熱望していたとされる。CBC賞に出走するシゲルスダチの応援のためにわざわざ中京まで足を運んだり、復帰直後には栗東を訪れて追い切りに跨っていたが、ようやく1年半ぶりのコンビ再結成は、なんと因縁の東京競馬場で実現した。

「必ずまた同じ場所に戻る」

長く辛いリハビリを支えたのは、そんな一念だったに違いない。その思いを遂げるには、再びシゲルスダチに跨り、今度は一緒に決勝線を駆け抜ける必要があったのだろう。

レースはエールブリーズの9着。しかし、彼らにとって無事にゴールを果たした意義は大きい。前述のメジャーアスリートとセイクレットレーブは、実はあのNHKマイルCに出走していた2頭。止まったままになっていた後藤騎手とシゲルスダチの時計は再び動き出した。後藤騎手は間違いなく“ここ”に帰ってきたのである。

Ale 

NHKマイルCで転倒したシゲルスダチは、幸いにも故障個所はなく、すぐに立ち上がった。だが、アポロマーベリックの例を持ち出すまでもなく、騎手を落とした馬はたいてい一目散に逃げ出すもの。この時も放馬止め係には緊張感が走ったに違いない。なにせ、GⅠレースの舞台である。

しかし、シゲルスダチは馬場に投げ出されてピクリとも動かない後藤騎手に歩み寄り、その傍を離れようとしなかったのである。

キーストンの悲劇を彷彿とさせるシーンに、観客はもとより、のちに話を聞いた後藤騎手も深い感動を覚えたという。馬と人との絆の強さは、西園厩舎のスタッフの愛情の証でもある。明日のマイルCSで連覇を目指すサダムパテックも西園厩舎の所属。これは注目せねばなるまい。

 

 

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