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2013年11月 8日 (金)

馬装不備

【日本中央競馬会競馬施行規定第126条】

(略)次の各号のいずれかに該当する馬主、調教師、騎手、調教助手、騎手候補者又は厩務員に対して、期間を定めて、調教若しくは騎乗を停止し、戒告し、又は50万円以下の過怠金を課する。

(19)その他競馬の公正確保について業務上の注意義務に違反した者。

グリーングラスが勝った1978年春の天皇賞。2番人気に支持された前年の菊花賞馬プレストウコウが1周目の坂の下りで鞍ずれを起こして競走を中止した事件は、長い天皇賞の歴史の中でも大きな汚点として記録されている。郷原騎手が普段使用している腹帯を忘れたことが、そもそもの始まりだった。

腹帯は鞍を取り付けるための付属具で、馬の胸に回して締める帯のこと。これが緩むと鞍ずれの原因になるが、強く締め過ぎると馬の能力減退を招くことにもなりかねない。なので、絶妙の締め加減が求められるわけだが、このとき替わりにと渡された腹帯は、郷原騎手も加藤調教師さえも使ったことのない最新のゴム製だった。

加藤調教師は何度も腹帯を締め直して愛馬を送り出したが、結果的には「注意義務を怠った」として過怠金5万円の処分が科された。とはいえ、多くのファンはそれで納得することは無かったことであろう。

ここで私が気になるのは、こういう時の馬主の心境である。調教師はJRAに罰金を支払うが、顧客たる馬主に対しては   もちろん謝罪はするだろうけど   金銭的な補償をすることはない。進上金という成功報酬制度がある一方で、明らかな人為的ミスに対する補償という概念がない仕組みに、そこはかとなく違和感を覚えるのである。

Kurazure  

先日のアルテミスSを勝ったマーブルカテドラルは、プレストウコウと同じように鞍ずれを起こしたが、はからずもレースに勝ったことで、問題は起きなかった(上原調教師は戒告処分)。それでも、負担重量不足や出張馬房からの逃避などで失格や出走停止になるケースは後を絶たない。

管理契約を結んでいる相手の管理ミスにより、期待された目標を達成できなかったわけだから、過怠金とは本来馬主が受け取るべき性格のもの。とはいえ、「それでは調教師と馬主とがグルになって公正競馬を脅かしかねない」と主催者は危惧する。結果、馬主はミスを許容する大きな心が求められることとなる。

Hami  

それでも、馬装不備を敗戦の言い訳にされると、さすがにカチンとくる。しかも、それを主催者には内緒にしてくれと念を押されることも。話が大きくなると過怠金の対象になってしまうからだ。それぐらい堂々と払えよ!と言いたくもなるが、ふと我が身を省みれば、そんな調教師にしか預かってもらえないような弱い馬しか持っていないのがいけないのか、と自虐的にもなる。

ともあれ、鞍ずれにせよ負担重量不足にせよ、馬の側に落ち度はない。いかなるレースでも、馬の全能力を発揮させてやらねば、競馬に携わる人間として情けないと思うのである。

 

 

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