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2013年11月30日 (土)

クリスタルコーナー

6日前のJC当日はコートが邪魔な陽気だったのに、スタンドがガラスに囲まれた中山に開催が変わった途端に、11月であってもきっちり寒くなるのだから良くできている。ガラス越しの競馬は嫌いだという人もいるだろうし、私もそう思う一人ではあるのだが、当然そうでもない人もいるのだろうからガラスを悪く言うのは避けたい。ガラスに責任はない。

いまではどこの競馬場でも珍しくないガラスに囲まれたスタンドは、この中山競馬場のクリスタルコーナーが先鞭をつけた。お披露目は1985年12月のこと。シンボリルドルフがジャパンカップを勝った翌週である。まだ中山のメインスタンドは建て替え前で、名物の大屋根が威容を誇っていた。

クリスタルコーナー自体は1万4500人収容のはずだが、行ってみると実際にはほとんどが指定席で、一般席はガラスの外にちょこっと用意されているだけ。それでも同時に新設された「ターフビジョン」と一緒に話題を集め、この一帯はファンで埋め尽くされていた。当時は2週目に行われていたステイヤーズSは、クリスタルコーナー・検量室脇の階段の途中に立って、背伸びをしながら見たと記憶する。見事な手綱捌きでホッカイぺガサスを勝利に導き、検量に戻って来た柴田政人騎手の姿は、今も瞼に焼き付いて薄れることがない。

その7年後。縁あってクリスタルコーナーの来賓室に招かれて、初めてクリスタルコーナーのガラス越しに眺めたレースもステイヤーズSだった。勝ち馬はステイヤーの素質を開花させたアイルトンシンボリ。52キロの減量が実を結び、満足げに引き揚げてくる岡部幸雄騎手の姿を、今度は検量室の真上の5階から眺めた。

Stayer1  

だからというわけではないが、ステイヤーズSと言えば柴田政騎手と岡部騎手の印象が強い。岡部騎手はこのレース7勝、柴田政騎手も5勝だから、私ひとりの印象ではなかろう。この数字は「長距離こそ騎手の腕がモノを言う」の格言を裏付けている。今日のレースをデスペラードで勝った横山典弘騎手は、これがステイヤーズS4勝目。「名手」の域に近づきつるある。

そんなクリスタルコーナーも、来春に取り壊されることが発表された。できたばかりだと思っていたら、あれからもう28年が経っているといたんですね。しかも改築ではなく、スタンドは取り壊しして、更地(「広場」と呼ぶらしいが)にしてしまうのだという。28年間の永きにわたりガラスによって守られてきた一角は、一転して寒風の通り道となるかもしれない。

Cc  

当時に比べれば入場者数も半分以下の昨今である。必要のない建物と言われれば否定もしづらい。だが、オグリキャップのラストランをクリスタルコーナーで見たという人がいる。ディープインパクトの引退式をクリスタルコーナーの一角から見守ったというファンだっているはずだ。毎週末をクリスタルコーナーで過ごすと決めているファンは、新たな居場所を探さなければなるまい。そういう意味では、28年の歳月というのは決して軽くはないのである。

 

 

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