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2013年10月29日 (火)

重賞をひとつ勝ったくらいでは

来年はJRAの2歳戦の番組が大きく変わる。天皇賞の東京競馬場では、この件について意見を聞かれたり、また聞いたりすることが多かった。

皆さんご存知だと思うが、ざっとおさらいしておく。朝日杯フューチュリティSが阪神競馬場へ移動。そのあとを埋める形で、有馬記念当日の名物オープン特別のホープフルSが重賞に昇格する。ただし、これはあくまでも阪神の2歳重賞ラジオNIKKEI賞が移動してくるという扱いらしいので、つまりは中山と阪神とで重賞レースを交換した上で従来のホープフルSが消滅したに過ぎない。さらに、いちょうSと京都2歳Sのオープン特別が重賞に昇格するという。

議論の的となったのは新・ホープフルSの扱いだ。現時点ではGⅡ格付けを申請中だが、将来的には2歳中距離路線のチャンピオン決定戦としてGⅠ昇格を視野に入れているという。そのためにGⅠ並みに増額されるとか。仮にそうなると、暮れの2歳牡馬戦線にふたつのGⅠレースが行われることになる。これを聞いて、「なんだ1990年に逆戻りか?」と言ったのは、どうやら私ひとりではなさそうだった。

朝日杯3歳S(中山・GⅠ)、阪神3歳S(阪神・GⅠ)。東西でそれぞれ3歳(当時表記)チャンピオンを決定していたかつてのレース体系が改められたのは1991年のこと。「牡馬、牝馬ごとに3歳の統一チャンピオンを決めるのが望ましい」。「牝馬は桜花賞の舞台を、牡馬は皐月賞の舞台を経験しておくべき」。そんなコンセプトで、阪神3歳Sは牝馬限定戦として生まれ変わった。

Dober  

改革初年度の優勝馬は、阪神3歳牝馬Sがニシノフラワーで朝日杯がミホノブルボン。翌年には、それぞれ桜花賞と皐月賞を勝ち、「改革の成果がいきなり表れた」と喝采を浴びたものである。それを限定的とはいえ元の姿に戻そうというのだから、議論の的になるのはまあ仕方あるまい。

実際には、重賞の日程やレースの格の変更というものは、馬主協会の力関係も絡んだりして、必ずしもファンや馬を本位に決められない部分もある。「阪神のラジオNIKKEI賞をGⅠに」という声があったことは確かだが、朝日杯もGⅠのまま残して、しかも開催場を入れ替えてしまうという。火種は残った。

この改革がこの先どう転ぶか。それはしばらく経過を見守らねばなるまいが、「朝日杯のコース形態は不公平だから……」などという理由は取って付けた感がありあり。ダービー卿CTや京王杯AHは不公平なままでいいのか? もっと不公平な秋の天皇賞はどうする?

Asahi  

そんなことより今回の重賞改革で私が思ったのは、ダービー出走のボーダーラインがさらに厳しくなるなぁ、といったもの。ホープフルSの賞金がラジオNIKKEI賞より増額されて、重賞が2鞍増えるのだから、2歳のオープン馬は今より増える可能性が高い。

初代の統一3歳チャンピオンとなったミホノブルボンは、翌年のダービーも制して無敗の2冠馬に輝くが、そのダービーにはカミノエルフ、オースミコマンド、ウィッシュドリーム、ゴッドマウンテン、ブレイジングレッドと、収得賞金800万円の条件馬が5頭も出走していた。たとえトライアルで優先出走権を逃しても、抽選さえ通ればこれだけの頭数がダービーに出走可能だったのである。

それが、近年ではオープン特別を勝ったくらいではダービーを除外されることも珍しくない。フサイチコンコルドの時代は遠くなった。賞金を稼ごうと思えば、少しでも早い時期にデビューして、なるべく多くの賞金を稼ぐ必要がある。近年は2歳馬の使い出しが早まる傾向にあるが、それに拍車がかかることは避けられまい。「重賞をひとつ勝ったくらいではダービーには出られない」なんていう時代が、いずれやってくるのだろうか。

 

 

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