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2013年9月15日 (日)

前哨戦

ニエル賞のキズナ。フォワ賞のオルフェーヴル。凱旋門賞を目指す2頭が、揃って前哨戦を快勝した。日本調教馬がロンシャンの重賞を立て続けに勝つことなど前代未聞。知り合いのフランス人カメラマンからは、ひと言「ジャパンショック」とメールが届いた。日本のメディア各社の公式サイトでも「凱旋門賞も貰った」とか「凱旋門の日本馬ワンツーへ視界良好」などと、競馬ファンのようなはしゃぎっぷり。衝撃を受けたのは、どうやらフランス人だけではないようだ。

日本でも前哨戦ではよく「ここは叩き台だから八分の仕上げ」とか「本馬を見据えた競馬する」など言うが、日本以上に本番と前哨戦をきっちりと分けて考えるのが欧州流だ。特に凱旋門賞のようなGⅠ中のGⅠを狙うなら、なおさらのこと。勝つことよりは仕上げることを、そして相手の能力を測ることが第一の目標となる。前哨戦のひとつやふたつで、本番の着順までは占えない。逆に言えば、そんなことは百も承知のはずのメディアが浮かれてしまうほどのショックだったのかもしれない。

キャメロットが直前で回避してしまったことで、今年のフォア賞は9頭立て。欧州のGⅠ優勝馬不在のメンバーとなった。その程度のメンバーなら、オルフェーヴルが楽勝するのは当たり前。勝ったことよりも、超スローペースの3番手でピタリと折り合ったそのレースぶりこそが収穫であろう。折り合いが微妙に乱れても、仕掛けのタイミングがわずかにズレても、凱旋門賞を勝つことはできない。昨年の凱旋門賞のゴール前の苦い思い出は、陣営にそんな思いを植え付けたはずだ。その心配が払拭されたことの意味は大きい。

Kizuna  

出走馬のレベルという点では、キズナが制したニエル賞の方が高かった。日本のダービー馬が、3歳の秋に欧州に遠征して、英国ダービー馬やパリ大賞馬に勝つ時代が来たのだなぁ、としみじみ思う。

もちろん、1着賞金が1000万円にも届かないニエル賞ごときで、天下の英国ダービー馬が本気を出すはずがない。個人的には、今年の凱旋門賞も3歳馬が優勢と見ており、それがキズナであって欲しいと願うひとりだが、こればかりはやってみなければ分からない。

そう、やってみなければ分からないのである。今日の前哨戦で、ライバルたちはキズナの末脚に目を見張り、オルフェーヴルの強さを再認識したことであろう。この2頭を倒さなければ凱旋門賞は勝てない。そんな印象が強まれば、勢いマークはきつくなる。掴みとりたいのは凱旋門賞の1着であり、1番人気ではない。そう思えば、浮かれたり、日の丸を掲げたり、相手を刺激するような言動は慎んだ方が良かろう。あくまで前哨戦ではないか。騒ぐなら本番の後でも良い。勝負の怖さというものを、嫌というほど思い知らされたあの凱旋門賞から、まだ1年も経っていないのである。

 

 

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