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2013年8月12日 (月)

種牡馬ユートピア

ウインチェスターファーム社主・吉田直哉氏のツイッターが、夏のサラトガ開催におけるユートピア産駒のデビュー勝ちを伝えている。

不良馬場の1100m戦を勝ったのはフリームガトゥ(Free Mugato)という名の2歳牡馬。先行争いを繰り広げる2頭から一時は10馬身以上も離されるシーンもあったのに、直線では内から鋭く伸び、1分5秒79で快勝してみせた。水の浮く、文字通り泥田のような極悪馬場。それをまったく感じさせない瞬発力と勝負根性は、2歳馬離れしたものを感じずにはいられない。

Utopia2  

栗東・橋口厩舎所属でダートグレードのGⅠを4勝していたユートピアは、2006年にドバイへ遠征し、GⅡのゴドルフィンマイルを武豊で楽勝。直後に、米国からフォーティナイナーの後継種牡馬として導入したいとのオファーがあった。だが、それを覆したのはドバイ・モハメド殿下の熱意。なんと400万ドルもの巨額オファーである。

ダートGⅠを4勝しているとはいえ、日本の種牡馬事情ではダートの実績は認められにくい。橋口調教師にも金子オーナーにも異論はなかった。このようにして、日本で生まれ、日本で調教されたユートピアが、現役のまま世界のトップ馬主に請われて海を渡るという史上初の快挙がなされた。

翌年5月には、移籍初戦となる米国のウエストチェスター・ハンディキャップ(米GⅢ・ダート1600m)で見事優勝。GⅢとはいえ、ジョッキークラブゴールドC(米GⅠ)の勝ち馬イヴニングアタイアや、ホイットニー・ハンディキャップ(米GⅠ)でインヴァソールの2着に入ったサンキングなど強敵が揃っていたことを思えば、レベルはGⅠにも匹敵する。移籍初戦、しかも13ヶ月のブランクを乗り越えての勝利。ユートピアの能力を米国の関係者に知らしめるには、この一戦で十分だったに違いない。

Utopia1  

その年に現役を引退したユートピアは、米ニューヨーク州のマクマホン・サラトガ・サラブレッズで種牡馬を続けている。日本で彼の勝つシーンを何度も見てきた身として、吉田氏のツイッターでユートピア産駒の活躍ぶりを見つけるのは嬉しい。と同時に、決して日本国内で抜きんでたチャンピオンホースではなくとも、ユートピアのような可能性を秘めている馬はたくさんいるのだろうなと、あらためて思う。日本の競馬全体のレベル底上げを、もっともっと実感させてくれるような、第二のユートピアの出現を待ちたい。

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