« オリエンタルアート×ステイゴールド | トップページ | ハービンジャー祭り »

2013年6月17日 (月)

氷点下30度の夜を耐え抜いて

社台サラブレッドクラブの募集カタログに掲載される1歳馬の見栄えが、昨年あたりから突然悪くなったと言われる。おかげで、ここ数年満口御礼だった社台の募集馬に残口が出る始末。だが、これには理由があった。吉田照哉氏もクラブ会報でお知らせしていたように、社台ファームでは昨年から冬期においても昼夜放牧を取り入れたのである。

Night  

冬期夜間放牧第2期生となる現1歳世代も、連日の暑さにも関わらず、未だ冬毛抜けきらぬクマのような風体。だが、これこそ記録的な厳寒と大雪に見舞われたこの冬を乗り切った証にほかならない。氷点下30度にもなる暗闇の雪原に、良血馬たちを放置する勇気が私にはあるだろうか。馬へのリスクを覚悟の上で、それでも馬を鍛えなければならないという覚悟には感服する。それが我が国のトップを走る牧場の選択だと思えば、その覚悟の重みもいや増す。

一般に夜間放牧にはこのようなメリットがあるとされる。

・放牧時間の増加による移動が増え、運動量が増加する。
・環境変化刺激による精神的成長が期待できる。
・ストレスが低減し、精神的に安定する。
・大嫌いなアブが夜は活動を停止する。
・いっぱい歩くからいっぱい食べる。
・社会性が育まれる。
・集放牧の手間が省け、コスト削減が見込まれる。

すなわち、健康で、馬体も大きく、ちょっとやそっとのことでは動じない強いハートを持った馬に育つというのである。

反面、このようなデメリットも指摘されている。

・天候の急変など不測の事態に即応できない。
・他動物との偶発的事故
・猛暑、低温にさらされることよる疾病
・放牧地の荒廃

「天候の急変」で怖いのは落雷。シーキングザパールが落雷で命を落としたのは米国内での出来事だが、ゲリラ豪雨や竜巻といった異常気象が、もはや“異常”ではなくなりつつある北海道においても、決して他人事ではない。

「他動物」ということではエゾ鹿があげられる。こちらも近年猛烈に増殖中。馬の放牧地なのに、馬よりも鹿の頭数の方が多いなんて光景はもはやザラ。夜間放牧中に鹿とぶつかり、その鋭利な角にやられて馬の方が死んでしまうこともある。

そんなリスクを抱えてまで、社台にも先んじて通年の夜間放牧に踏み切った牧場がある。新冠のノースヒルズファーム。海から離れた内陸の小高い丘に位置するこの牧場も、冬は相当に冷える。にも関わらず、3年前から冬場の夜間放牧に踏み切った。ということは、その中には今年のダービー馬キズナが含まれていたということになる。

Kizuna  

社台ファームの現2歳馬たちの中に、冬期夜間放牧の効果を見いだせる一頭が果たしているのか。この夏の2歳戦のテーマとして追いかけてみたい。

 

 

|

« オリエンタルアート×ステイゴールド | トップページ | ハービンジャー祭り »

競馬」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« オリエンタルアート×ステイゴールド | トップページ | ハービンジャー祭り »