ハービンジャー祭り
「一昨年は“チチカス祭り”で昨年は”ロブロイ祭り”。さしずめ今年は“ハービンジャー祭り”だな」
そんな声があちこちから聞こえてきた今年の社台グループ各クラブの募集ラインナップ。これはすなわち、グループの総力を挙げて種牡馬ハービンジャーを成功させようという決意の表れでもあろう。
それが成功する保証がないことは、チチカステナンゴの成績を見れば分かる。とはいえ、これだけの牧場グループが総力を挙げるというのは、なまなかなことではない。社台ファームのエース・ダンスインザムードもハービンジャー。ノーザンでも、今年のクラシック戦線で孤軍奮闘したコディーノの弟がハービンジャー。あっちもこっちもハービンジャー。まさに今回はハービンジャーの子を見て回るツアーでもあった。
来月のセレクトセールでも、ハービンジャー産駒は1歳当歳合わせて38頭が勢揃い。同じく30頭のディープインパクトが主役を張ることは間違いないが、下手をするとその主役を食ってしまう可能性もある。それくらいハービンジャー産駒の出来栄えは素晴らしい。
当歳の秋から1歳にかけてどんどん成長し、「これは、ちょっと早過ぎるんじゃないか?」とスタッフが心配するほどだったのが、ここへきて帳尻を合わせるかのように、どの馬も発育曲線が緩やかになってきているという。産駒の生育が早く、かつ大きくなり過ぎないのであれば言うことはない。
こちらは、サンデーサイレンス系の繁殖牝馬との相性という点において、既に実績を挙げているキングカメハメハ。ところが、大事な商売道具にちょっとしたトラブルを抱えて、この春は種付け業務を途中で停止せざるを得なかった。そんな事情もあって、ハービンジャーにかかる期待はさらに深まっている。
社台グループが掲げる「芝2400mで世界一速い馬を作る」という目標を見据えれば、キングカメハメハ(日本ダービーをレコード勝利)やハービンジャー(キングジョージをレコード勝利)に行きつくのはごく自然な流れ。その流れに乗って、ワークフォース(英ダービーをレコード勝利)も社台スタリオンにやってきた。こちらは今年当歳が生まれたばかり。来年の社台ツアーが“ワークフォース祭り”になるのは間違いあるまい。
それにしても「祭り」というのは、実に都合の良い言葉ではないか。そこには、なんでも笑って済ませられる無礼講的要素が漂う。これがもし「チチカステナンゴ・キャンペーン」とか「ゼンノロブロイ強化月間」とかだったら、「結果を検証して評価報告書を出せ」などと言い出す奴が出かねない。あー、怖い怖い。
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