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2013年5月 8日 (水)

勝ち馬を見極めろ

ゴール前でレンズを構えるカメラマンたちは、ターフビジョンで直線の攻防を確認しながら勝ち馬を見極めて、間違いなくゴールを1着で駆け抜けるであろう1頭を撮ることが求められる。

Moon  

もちろんゴール直前で矢の如く追い込んでくるような馬もいるので、ターフビジョンがあるからといって油断は禁物。シャッターを切り続けながら場内実況にも耳を澄ませなければならないし、長年の経験が「外に振れ!」と教えてくれることもある。

1着がアタマやハナの接戦であっても、その2頭が馬体を接しているような場合なら、両方をフレームに収めて撮れば良い。昨年のジャパンカップや2000年の日本ダービーがそれに該当する。こういうケースでは、さほどの苦労はない。しかし、それでもどちらが勝っているかを意識して撮っているのと、それが分からずに撮っているのとでは、自ずと写真の仕上がりに差が現れる。だから下の写真は失敗例かもしれない。私は武豊が勝ったと思って撮っていた。

Derby2000  

やっかいなのが、内外大きく離れて、しかもハナの勝ち負けになるような展開。

内外離れていても、2頭が完全に抜け出していて、こちらが「これは内外離れてもつれそうだぞ」と、心の準備ができるような展開ならまだどうにかなる。外の1頭を撮り、しかるのちに内の1頭を撮ればいい。古くなってしまうが1995年の春の天皇賞。ライスシャワーとステージチャンプがハナ差の接戦を演じたあのレースなどがまさにそう。撮影コマ数は半減するが、撮り逃しだけは避けなければならないので、これはやむを得ない。

いちばん困るのが、人気馬がいったん抜け出して、いったんは「大勢決した」と思わせておきながら、想像のラチ外から異次元の脚で大外強襲されるようなケース。

2007年のオークス。坂を上ってベッラレイアが抜け出したところで、大半のファンは勝負あったと思ったに違いない。クラシックの大舞台。しかも1番人気である。カメラマンの多くもそちらに目を奪われた。だが、ひと呼吸おいて大外からローブデコルテが猛然と追い込んできた。並んだところがゴール。写真判定の末に後者に軍配が上がるわけだが、その差はわずか9センチであった。

Oaks2007  

このオークスでは、多くのカメラマンが2着のベッラレイアを撮ってしまった。クラシックレースともなると、スポーツ新聞や大手プロダクションは、3~4名のチームでゴール前撮影を行い、ゴール前でもつれそうになったら、「内を撮る係」「外を撮る係」とカメラマン同士で役割分担することにより撮り逃しを防いでいる。だがしかし、それでもこのレースでは撮り逃しが多発したという。大外強襲に屈する人気馬は、つくづくカメラマン泣かせだ。

撮るべき馬を間違えて、負けた馬を撮ってしまうことを、カメラマンたちは「ハズした」と言う。レースが終わった直後に、カメラマンが「あ~、ハズしちゃったよぉ」などとこぼしていたら、それは馬券が外れたのではなく、勝ち馬を取り損ねたのだと思っていい。もちろん、ホントに馬券をハズして落ち込んでいる場合もあるだろうけど。

 

 

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