« ヴィルシーナの雪辱 | トップページ | 特別登録 »

2013年5月12日 (日)

スランプ脱出

一流選手といえども、ひとたび調子を落とせば、普段のパフォーマンスを発揮することすら困難になる。いやむしろ、一流選手ゆえであろうか。「二流選手にスランプはない」と言ったのは南海ホークス当時の野村克也氏。一流であればあるほど、泥沼からの脱出は難しさを増す。

今年すでに重賞5勝の内田博幸騎手。なのに、GWに入ってからというもの、ことごとく重賞で人気を裏切り続けてきた。

単勝1.8倍の圧倒的1番人気レッドレイヴンで11着に沈んだ青葉賞が泥沼の始まり。ゴールドシップで天皇賞史に残る敗戦を喫すると、NHKマイルカップでも1番人気エーシントップで7着。そして昨日の京王杯でも、2番人気のトウケイヘイローで8着と敗れた。迎えたヴィクトリアマイルのパドックでは、“内田スランプ説”が堂々と語られる有様である。

Vil01_2 

苦しんできたのは騎手だけではない。ヴィルシーナは牝馬3冠レースとローズSでジェンティルドンナに4連敗。ジェンティルドンナ不在のエリザベス女王杯は雨に脚元をすくわれて、また2着。直前の産経大阪杯では、初めて掲示板を逃す敗戦を喫し、このヴィクトリアマイルでも1番人気ながら、その評価は◎から無印まで様々だった。

レースは好スタートから2番手を追走し、直線半ばで先頭に立ったが、外からホエールキャプチャが詰め寄ってくる。相手は天皇賞と京王杯を勝った蛯名正義騎手。このとき内田騎手は「またやられちゃうのかな」と思ったという。実際、いったんはホエールキャプチャが前に出た。だが、ゴールのその瞬間だけヴィルシーナの鼻が突き出たのは、不思議というほかはない。ゴールを過ぎたら、やはりホエールキャプチャが前に出ているのである。「もう2着はごめんだ」というヴィルシーナの魂の発露だろうか。

Vil02 

昨日はあんなことを書いた私も、正直ヴィルシーナが勝つことは難しいと思っていた。彼女はバテない心臓を持つ代わりに、東京のマイルGⅠを勝つのに必要な強烈な爆発力は備えていない。前半スローで流れ、33秒前半の上がり勝負に持ち込まれては厳しい。よくてまた2着か。そんな諦観を持って見ていた私は、自身の不明を恥じるほかはない。

それは鞍上の技術によってもたされた勝利でもあった。前半は戸崎騎手の2番手を追走。スローで流れれば苦手な瞬発力勝負になってしまうし、かといってペースを速めれば、自らもバテて末を無くす恐れがある。前後半を46秒3−46秒1という平坦なラップを先頭2番手から巧みに誘導し、ここしかないという絶妙の瞬間で一気にスパートした。騎手の判断が凝縮された結果が、あのハナ差であろう。

1000mの通過58秒2、勝ち時計1分32秒4。昨年のこのレースとまったく同じタイムに、不振を極めていたホエールキャプチャも調子を取り戻した。これで彼女もスランプ脱出。素晴らしいレースになった。

 

 

|

« ヴィルシーナの雪辱 | トップページ | 特別登録 »

競馬」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« ヴィルシーナの雪辱 | トップページ | 特別登録 »