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2013年4月 8日 (月)

代打一発

桜花賞のトライアル重賞はチューリップ賞とフィリーズレビューの2つ。それを武豊騎手と武幸四郎騎手がそれぞれ勝って桜花賞に臨むのだから、メディアが「GⅠ初の兄弟ワンツーなるか?!」と煽り立てたのも当然だった。

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だが、結果は4着と10着。競馬はそんなに単純なものではない   などと醒めた感傷を覚えたその瞬間、勝ったアユサンの手綱を握っているのは、いつもの丸山元気騎手ではなく、クリスチャン・デムーロ騎手であることを思い出した。2着に迫ったのは兄ミルコ・デムーロのレッドオーヴァル。つまり我が国のGⅠレースでは初めてとなる兄弟ジョッキーによるワンツーフィニッシュが、外国人によって達成されたのである。

 【兄弟騎手による重賞ワンツーフィニッシュ】

  1976年 セイユウ記念 嶋田功&嶋田潤
  1996年 札幌3歳S 横山賀一&横山典弘
  2000年 日経新春杯 武豊&武幸四郎
  2004年 小倉記念 武豊&武幸四郎
  2009年 福島記念 吉田隼人&吉田豊

ただ、兄弟によるワンツーというのが記録としてどれほど価値のあるものなのか、いささか首を捻りたくなる部分もある。野球やサッカーなどのプロスポーツに比較しても、兄弟や親子でプロになることの多い稼業であるし、兄弟だから何が凄いのかもよくわからない。「やっぱ武邦彦さんは凄いなぁ」と思うのが、ファンがとるべき姿勢なのだろうか?

むしろ私は、直前の落馬負傷により、予定していた騎手が乗り替わった馬がクラシックを勝ったことに衝撃を受ける。コンビ予定だった丸山元気騎手は、昨日の福島5Rで落馬。福島市内の病院で精密検査を行った結果、腰椎横突起骨折と診断され、アユサンへの騎乗をフイにしていたのである。

丸山騎手への騎乗依頼はオーナー直々のものだったという。その期待に応えるべく、2週続けて丸山騎手自ら栗東に足を運び、追い切りの手綱を取って状態を確認してきた。体調が整わずクイーンCを直前で回避。急遽立て直して挑んだチューリップ賞が体調今ひとつの状態で3着ならば、「本番では…」と心中期するところがあったであろう。

出馬投票後の乗り替わりで重賞を勝ったケースといえば、2007年北九州記念のキョウワロアリング(飯田→角田)や、2009年新潟記念のホッコーパドゥシャ(石橋脩→江田照)などいくつかある。だがGⅠレースとなると過去に例がない。

人気馬たちをなぎ倒すように、馬場の真ん中を堂々とアユサンが駆け抜けた桜花賞の直線。この時、丸山騎手は何を思ったのだろう。いや、丸山騎手に限らず、騎手という人たちは、こういうシチュエーションでどのような心理状態に置かれるのだろうか。手塩にかけた愛馬の晴れ姿に喝采を送るのだろうか。あるいは、悔しさに打ち震えるのだろうか。あるいは、その両方だろうか。普段のレースならまだしも、そこは騎手なら誰もが夢見るクラシックの舞台。その心境の複雑さは計り知れない。

「丸山君がこの馬のために尽くしてくれた。彼なくしてこの勝利はなかった」。手塚調教師はそう言って丸山騎手を讃えたが、次走オークスの鞍上は「未定」とされた。果たしてアユサンの手綱を握るのは、誰になるのだろうか。

Maru

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