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2013年4月25日 (木)

【訃報】エアグルーヴ

稀代の名牝エアグルーヴの死が伝えられてからまる1日が経った。大井競馬場でのちょっとした世間話でも、彼女の話題になると尽きることがない。

Air00  

かつて関西に住んでいたとある競馬記者は、「凄く強かったはずなのに、なぜか負けた印象ばかり残ってるんだよな」と呟いた。

Air01  

なるほど。私はその言葉に頷く。彼女はGⅠレースを10戦しているが、勝ったのはオークスと天皇賞のふたつしかない。彼女にとって地元であるはずの関西地区では4戦全敗。しかも、「まず負けない」と言われた秋華賞の大敗は、単なる1敗分を上回るインパクトを持つ。

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私とて彼と同じ思いがするのである。オークスでの勝ちっぷりから「歴史に名を残す最強牝馬」であることを確信し、私自身、京都、阪神への遠征を繰り返した。秋華賞の敗戦で受けたダメージは、いまも心の奥底に傷跡を残している。期待が大きかったせいもあるが、何より私自身まだ若かった。「強い馬が負けるはずがない」などというおとぎ話を信じることができる最後の年だったのかも知れない。

Air03  

だが、1997年の秋の天皇賞は、そんなダメージを忘れさせてくれるレースだった。検量室前に戻ってきた武豊騎手の紅潮した表情は今も忘れぬ。

「すごい高い能力!」

「すごい闘志!!」

「いや、ほんっとに凄い!!!」 

数々の名馬に騎乗した名手をこれだけ興奮させたエアグルーヴは、もはや「歴史に名を残す最強牝馬」ではなく「歴史に名を残す最強馬」であろう。エアグルーヴのすべてが凝縮されたレースと言っても過言ではあるまい。秋華賞とは逆の意味で、単なるGⅠ1勝の価値にとどまらぬものがる。

Air02_2  

当時、天皇賞(秋)→ジャパンC→有馬記念というローテーションをこなすことは、古馬一線級でも「過酷」とされていた。前年には、サクラローレル、マヤノトップガン、マーベラスサンデーのいわゆる「古馬3強」が、揃いも揃ってジャパンCを逃げるという醜態をさらしたばかりである。だがエアグルーヴは、敢然と王道路線に挑み、1着→日本馬最先着の2着→コンマ1秒差の3着と主役を張り続けた。彼女がひたすらファンに愛されたのは、この活躍があったからであろう。そういう意味で、彼女は「最強牝馬」ではなく「最強馬」と呼ばれるに相応しい。

Air04  

エアグルーヴが天皇賞を勝った1997年の桜花賞馬キョウエイマーチも、やはり出産直後のアクシデントで2007年にこの世を去っている。その時誕生したネオユニヴァースの牡馬が日曜のオアシスSに出走予定のインペリアルマーチだ。エアグルーヴの最後の産駒が、果たしてどんな優駿に育っていくのか。かつて母の“追っかけ”をしていた身として、見守り続けて行きたい。

 

 

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