とりかつ三連単
昨秋の「東京競馬場グルメグランプリ」で得票率部門第3位だったのが、『馬そば深大寺』の「とりかつ三連単」。
もともと「とりそば」が名物の店である。ゆえに、グルメグランプリ開催中でも、私はマイペースに「とりそば」ばかり食べていた。「とりそば」でじゅうぶん美味いのだし、そのテのイベント用に考案されたメニューには、ガッカリさせられることも多い。
だが、年が明けたフェブラリーSの日だったか。知り合いのエージェントが、「とりかつ三連単は食べたましたか?」「えっ? まだ?」「いやあ、あれはヒットですよ」と地下馬道でまくし立ててくるのである。
このエージェント氏は卓越した味覚の持ち主でもあり、カレーうどんに対する造詣も深い。それならばと食べて見ると、なるほど美味いではないか。しまった。これを食わずに東京競馬場での数週間を過ごしたと思うと、ちょっともったいない気さえする。吉野家の牛丼で済ませた、あの日の俺の昼飯を返してくれ! そう叫びたくなってきた。
美味い上に、安い。カレーうどんにチキンカツが3枚乗って500円である。チキンカツが競馬場では縁起食であることに今更多言は要すまい。『鳥千』のフライドチキンも、浦和のジャンボチキンカツもしかり。すなわち「とり(取り)カツ(勝つ)」である。競馬場で食べるならトンカツカレーうどんよりも、チキンカツカレーうどんであろう。
むろん、トンカツカレーうどんの美味さも私は知っている。銀座5丁目『海ごはん』のカツカレーうどんは、厚さ3センチはあろうかという巨大なロースかつが、これまた巨大な丼に盛られたカレーうどんに、どどーんと鎮座している壮大な一杯。目の前に出されると、何やら神々しささえ覚える。
「カレーうどん」という珠玉のコラボがあり、さらに「カツカレー」という奇跡の組み合わせがあるのならば、それらを統合した「カツカレーうどん」が美味くないはずながい。カリッと心地よい食感の衣と、いくぶんふやけながらも、カレーの旨味を吸った衣の微妙なバランスを楽しみつつ、ずずーっとうどんを啜る。これに勝る幸福感は、果たしてほかにあるだろうか。ちょっと考え込んでしまう。
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