« 奇跡の1頭 | トップページ | ルーキーの季節 »

2013年3月11日 (月)

エイシンヒエンの血

Rmu  

2年前の今日はもちろん東日本大震災の当日だったわけだけど、その未曾有の大災害が起きる瞬間までは、私にとっては単なる大井開催の最終日に過ぎなかった。

この日の大井最終レース・春風特別で人気を集めていたのは、前走で1番人気を裏切っていたレイズミーアップ。そのレースは彼が3走前に勝ち上がった条件と同じである上、最終追い切りでも速いタイムをマークするなど好調が伝えられていた。もとより2歳時には、フリオーソと差のない競馬をしていた素質馬でもある。

「少なくとも勝ち負けにはなりそうだゾ」と、期待を胸に大井競馬場に向かおうと自宅を出たところで、私はあの地震に出くわした。街全体が波打つように揺れる光景と、地球上のものとは思えぬ不気味な轟音は、生涯忘れまい。

当然ながらレースは中止。レイズミーアップは1か月後のレースに改めて出走してきたものの、既に調子のピークは過ぎていた。結局、大井では新たに勝ち星を積み重ねることもなく、門別を経て佐賀へと移籍していくこととなる。

父・トウホウエンペラーという血統からしてマイナーに違いないが、母の父・エイシンヒエンのマイナーさには及ぶまい。昨日書いたヒシアケボノよりもマイナーであろう。エイシンヒエン自体をご存じの方が、はたしてどれだけいるだろうか。

重賞成績は1989年のデイリー杯3歳Sの3着がある程度。東京ダービー馬ミルコウジの全弟という血統背景から種牡馬となったものの、目立った産駒にも恵まれず、その血を受け繋ぐ繁殖牝馬としてエイシンバウンドただ一頭が残されたが、その牝系も既に途絶えている。血統表にエイシンヒエンの名が残る競走馬は、もはやレイズミーアップとその弟のスタルヒン(大井)の2頭をおいて他にいない。

大井を離れたレイズミーアップは、福山で行われた西日本グランプリで重賞初勝利を飾ると、暮れの中島記念も勝ち、エイシンヒエンの名を歴史に刻みつけた。目下4連勝中。いまや佐賀競馬を代表する古馬の一頭に違いあるまい。かつて凌ぎを削り合ったフリオーソが引退しても、レイズミーアップはまだこうして現役を続けている。あの日、あのままレースが行われていたら、レイズミーアップも、むろんそのほかの馬たちも、今とはちょっと変わった人生(馬生)を歩んでいたかもしれない。震災2年目の節目に、そんなことを考えたりもする。

レイズミーアップは、順調なら24日佐賀の重賞・はがくれ大賞典に出走予定とのことだ。今はI−PATで馬券も買えるし、NARのサイトでLIVE中継も見ることができる。興味のある方は、ぜひご覧いただきたい。

Rmu2

|

« 奇跡の1頭 | トップページ | ルーキーの季節 »

競馬」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 奇跡の1頭 | トップページ | ルーキーの季節 »