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2013年3月30日 (土)

外連味

東銀座・新歌舞伎座のリニューアル工事がついに完了。来週火曜からいよいよこけら落とし公演がスタートする。

Kabukiza 

歌舞伎ファンにしてみれば待ちに待った春であろう。だがしかし、その心中はいかばかりか。中村勘三郎。そして、市川団十郎。歌舞伎界はふたりの名優を失ったばかり。歌舞伎座改築期間中には、人間国宝の中村芝翫も亡くなっている。3年前の歌舞伎座閉場式で「数年後を期待しながら、喜びと悲しみが、ごっちゃになっている感じです」とあいさつした歌舞伎界屈指の女形も、新歌舞伎座の落成を見届けることは叶わなかった。

実はこの3名優、大の競馬ファンでも知られた。特に中村芝翫の競馬好きは筋金入りで、幼少期から根岸競馬場に出入りし、トキノミノルのダービーも競馬場で観戦していたというから凄い。当時の競馬事情を取材された調教師が記者の質問に答えられず、「中村芝翫さんに聞いてくれ」と言い放ったというエピソードも。亡くなる直前まで病院のベッドから馬券を買い、見舞いに来た勘三郎に万馬券を的中したと自慢していたそうだ。歌舞伎界のみならず、競馬界にとっても惜しい人を亡くした。

他にも市川海老蔵が競馬ファンであることは知られているし、先代の市川中車のように馬主として馬を持った歌舞伎役者も少なくはない。そこは血を重んじる歌舞伎の世界。競馬にも相通ずるものを見い出したのだろうか。

ところで、競馬では逃げ馬のレースぶりを評して「けれんみのない逃げを打つ」などと言ったりする。この「外連(けれん)」とは、もともと歌舞伎から来た言葉で、宙乗りや水芸など、本道から外れているのだが一般ウケする芸のことを差す。転じて「小手先の」とか「小細工」などという意味で用いられた。

「外連味のない逃げ」とは、すなわち「小細工なしの逃げ」の意。歌舞伎界と競馬界との縁の深さを示す言葉遣いであろう。

Tt

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