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2013年3月23日 (土)

福山競馬廃止の不思議

私の隣にいた某省の役人が「採算が合わない公共施設なんてやめちまえ」と発言した。先日行われた立食形式のとある会食の席。会場内は100人くらいの参加者で賑わっていただろうか。

前後の会話を紹介しない引用がアンフェアであることは重々承知しているが、それをするには紙数が足りぬ。ともあれ、同じテーブルの別の参加者が、その発言を聞いて色をなした。まあ、その気持ちはわかる。

口論にまで至らなかったのは不幸中の幸いだった。機嫌を悪くしたその人は公立病院の関係者である。医療事業の現場では多くの不採算部門を抱えている。ひとりの患者のために、大勢の医療スタッフを数十時間も投入しなければならないこともある。採算ばかりを考えていては、救命医療が成り立つはずがない。役人はどうしてああも無神経なのか……云々。   と、なかなか怒りは収まってくれない。まあまあ、と酒を進める。

医療経済的な事情には疎い私だが、先ほどの役人氏の発言には別の意味で違和感を感じていたのも事実。そもそも役人たちは、「採算」というものを理解して仕事をしているのだろうか。だとしたら、なぜ国の借金がこれほどまでに膨れ上がるのだろうか。

先月発表された国の借金は過去最高レベルの997兆円。3月末には1016兆円に膨らむとの見通しも示されている。採算云々を軽々しく口にできるなら、この始末をどうつけるつもりなのだろうか。

だが、役人たちは「これでも国家財政は採算が合っている」と言い切る。そんなバカな。それで私が「理解できない」と言うと、彼らは「それじゃあ仕方ない」と話を打ち切る。きっと私のような馬鹿者に説明する気など、ハナっからないのであろう。彼らの経済学は、かくの如く高尚なのだが、それを駆使する彼らが赤字を垂れ流し続けている現状は、やはり理解に苦しむと言わざるを得ない。

福山競馬の廃止が報じられている。その64年の歴史を紐解けば、競馬による市財政への貢献度は計り知れない。一般会計へ繰り出し金の総額は411億円にも上り、1978年のように単年で約33億5千万円にも及んだ年もある。それが20億の赤字を出した途端に「採算が合わなくなったからやめる」と言い出した。最初は冗談だろうと思ったのだけど、どうやら本当らしい。新聞にも出ているから間違いなさそうだ。そんなアホな。役人の「採算」という言葉の使い方には、とにかく首を傾げさせられる。

いまの日本でもっとも採算が合わない事業は、国家そのものではないか。1000兆円の累積赤字は福山競馬の比ではない。その中核にいる人間が平然と「採算」を口にしている。つくづく不思議な国だと思う。「赤字を出すなら廃止」という原理原則に固執するのなら、まずはこの国家を廃するのが筋であろう。明日24日、福山競馬は最後の開催を迎える。

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