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2013年2月 8日 (金)

先駆者たち

Derby  

大井・戸崎圭太騎手のJRA移籍のニュースを大々的に伝える紙面の片隅に、JRA・石橋守騎手の現役引退を報じる記事がひっそりと載せられた。メイショウサムソンで日本ダービーを制し、昨年秋には調教師試験に合格を果たしたいぶし銀の名手は、今月末を以て静かに鞭を置く。

良き兄貴分として、騎手仲間から慕われる存在であることは周知の通り。ダービーのゴールの瞬間、チラッと左を見たのは2着に敗れて悔しいはずの柴田善臣騎手から「おめでとう」と声をかけられたからだ。善臣騎手とは競馬学校の同期の間柄でもある。その後も周囲の騎手たちが次々と石橋騎手に祝福の言葉をかけ続けた。ファンに祝福される騎手は普通だが、ほかの騎手たちにここまで祝福されたダービージョッキーというのも珍しい。この年ほど“一体感”というものが競馬場を包んだダービーはなかろう。

ともあれ、奇しくも二人のダービージョッキーが同時期に引退することになる。もうひとりとは、言うまでもなく安藤勝己元騎手のこと。この二人はダービージョッキーであること以外にも、実はもうひとつ共通点がある。

地方所属馬に桜花賞や日本ダービーへの門戸が開かれ、「交流元年」とも呼ばれた1995年のクラシックに、いきなり地方から新しい風が吹き込まれた。笠松から参戦したライデンリーダーと安藤勝己のコンビが報知杯4歳牝馬特別を勝ち、さらに桜花賞、オークス、エリザベス女王杯に出走を果たすという快挙を成し遂げたのである。安藤勝己さんは引退に際し、「ライデンリーダーとの挑戦がJRA移籍の夢を抱くきっかけになった」とコメント。その言葉の通り、ライデンリーダー以降も地方所属馬との挑戦を続け、2003年ついにJRA移籍を果たした。

とはいえ、一方向の流れだけではそれを「交流」と呼ぶことはできない。安藤勝己騎手とライデンリーダーが「地方→中央」の代表なら、「中央→地方」を担ったのは、JRA所属でありながら帝王賞、ブリーダーズゴールドカップ、南部杯マイルチャンピオンシップを制した石橋守騎手とライブリマウントであろう。これもライデンリーダーと同じく1995年の出来事。今のようなダートグレードの体系が確立されていなかった当時、地方の交流重賞を渡り歩いた彼らが、地方中央交流推進の一翼を担ったことは間違いない。

彼らが明けた小さな風穴はやがて道となり、戸崎騎手はそこを通ってJRAへの移籍を果たすこととなった。パイオニアの役目を果たした2人がそろって現役を退き、入れ替わるように戸崎騎手が移籍するというのは、偶然にしても出来過ぎの感がある。時代の節目を感じると同時に、石橋守調教師の今後に注目したい。

Rm

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