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2013年2月 7日 (木)

国税は馬券の達人ばかり

Jra  

馬券配当で得た所得を申告せず、3年間に約5億7000万円を脱税したとして元会社員の男性が所得税法違反に問われた裁判で、検察側は懲役1年を求刑。対する弁護側は「外れ馬券の購入費用も必要経費とみなすべきで、大阪国税局の課税処分は違法」と改めて無罪を主張し、今日結審した。

競馬ファンのみならず、世間一般からも注目度の高い裁判であるが、一部で誤解があるようなので、敢えてここで確認しておく。本裁判の主たる争点は「馬券で得た収入は一時所得か雑所得か」である。すなわち、必要経費として控除できるのは当たり馬券の購入額のみと主張する国税当局に対し、男性側は外れ馬券分も認めるべきだと主張しているわけだ。払戻金に対する課税の是非そのものが争われているわけではない。

この元会社員は3年間トータルで28億7千万円を馬券購入に充て、30億1千万円の払戻金を受けた。すなわち実質利益は1億4千万円。競馬をやる人間でなくとも、こう考えるのは当然だろう。それは「たいていの馬券は外れるもの」という常識が働くからである。

ところが、国税当局は「当たり馬券の購入分1億3千万円を差し引いた28億8千万円が所得」だという。彼らには常識がないか、あるいは一点勝負で的中を続ける馬券の達人だらけなのか、そのどちらかに違いない。天下の国税職員に常識がないとは考えにくいから、きっと後者であろう。馬券指南書でも書いてみたらどうだろうか。

税務関係者に聞くと、「一般論として、外れ馬券まで認めると廃棄された他人分まで経費申請されかねない」と懸念を口にするのだが、それは論点のすり替えでしかない。今回の事案が発覚した背景には、馬券購入がネット経由であったことが大きく寄与している。外れ馬券に投じられた金額の認定は難しくないはずだ。

そもそも、窓口で購入する馬券は記名式ではなく、領収書も出ない。馬券課税論理を貫くなら、JRAも公営主催者も相応の労を惜しまなければならないはずだなのに、そんなことはできっこないと分かっているから、じっと黙って推移を見守ることしかできない。だいたいが、「馬券配当で得た所得は一時所得」という見解が出された当時は、3連単やWIN5のような高額配当馬券もなければ、足がつくネットでの馬券販売もなかった。脱税事案が現実のものとなる認識そのものが薄かったと言われても、これは仕方あるまい。

かつての競馬場やウインズでは、「帰りの電車賃は残しておけよ」というのが戒めの合言葉だったが、これからは「支払う税金分は残しておけよ」とでもなるのだろうか。少なくとも私はそんなつまらないことを考えながら遊びたくはない。注目の判決は5月23日。今年の日本ダービーの枠順発表当日に言い渡される。

Baken

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