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2013年2月 1日 (金)

吉田屋@府中

Yoshida1  

京王線府中駅から東京競馬場に向かう「けやき通り」に面して、「ザ・昭和の食堂」と呼びたくなるような風情の食堂が暖簾を掲げているのをご存じだろうか。その一角だけまるで昭和のまま取り残されたような佇まいの一軒は、大衆食堂『吉田屋』。むろん、あの吉田一族とは縁故関係はない。

「中華料理」と「生蕎麦」が併記された看板の通り、うどん・そばから丼物・定食を経てラーメン・餃子に至るまで、およそ食堂に求められるメニューが勢ぞろいした巨大なサンプルケースは、見るだに壮観のひとことに尽きる。事前に食券を購入してから席に着くシステムなので、サンプルをよくよく吟味してからの入店をおすすめしたい。まあ、味の方は、大方の大衆食堂がそうであるように評価のラチ外に置いた方が良いと思われるが、それも含めて大衆食堂の大衆食堂たる所以であろう。

府中駅南口至近の一等地とも言えるこの一角は、こうした食堂やコンビニ、小さな商店などが雑然と並び、再開発された周辺のビル群と対照的な景色を作り出していたのだが、ついにこの一角にも再開発の手が迫ってきた。府中市が府中駅南口地区を「第一種市街地再開発事業」として都市計画決定したのは1982年のこと。開発は三つのブロックに分かれて行われ、第2地区は伊勢丹やフォーリスを、第3地区は大型ショッピングセンター「くるる」をキーテナントとして既に完成している。そして、食堂『吉田屋』を含む第1地区についても、昨年、都から正式に事業認可され、現在は権利変換の手続きが着々と進められている状況だ。昭和の面影を平成の世に残す食堂も、取り壊しの運命にある。

私は懐古主義者ではないし、再開発事業の是非についても何ら意見は持たない。ただ、この計画が決まった年のダービー馬がバンブーアトラスと聞けば歳月の重みはいや増す。『吉田屋』の客には競馬ファンも多く、そのほとんどは年配者。バンブーアトラスの当時から通い詰めている常連客もゼロではあるまい。

国から事業主体の再開発組合へ交付される補助金に東日本大震災の復興予算が充てられる可能性が物議を醸したりしているが、予定通り準備が進めば9月から工事は着手される。ジャパンカップの頃には、あの色褪せたサンプルケースもなくなっているかもしれない。

Yoshida2  

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