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2013年1月22日 (火)

ブルドック@大井

Burudog  

大井競馬場への無料バスが出る大井町駅東口界隈には、「東小路」「平和小路」といった戦後の闇市から発展した背の低い飲食店が所狭しと並んでいる。その中で「お食事は大井一うまい・やすい」とひときわ目立つ看板を出しているのが東小路の『ブルドック』。今年で創業64年を数える老舗の食堂だ。なにより「日本一うまい」ではなく、「大井一うまい」という謙虚さがウケる。

むろんその「うまい」という言葉に偽りはない。人気ナンバーワンのメンチカツは、わずかに焦げた衣の風味が肉の旨味と絶妙に調和しており、ふっくらご飯のドライカレーも絶品。ハム、玉ネギ、ピーマン、マッシュルームという誰もが抱いているであろう「ナポリタン」のイメージにぴったりのナポリタンは、まさしく子供の頃に食べたあの味そのままである。

この味といい、またコックとしての正装で厨房に立つシェフの働きぶりといい、とても「昔ながらの食堂」という気軽な表現に押し留めるわけにはいかぬ高貴な一軒にも思えるが、一方で程よく色褪せたショーケースのメニューサンプルや店内に灯された裸電球の明かりをぼんやり眺めていれば、どうしても「昔ながらの」という表現に落ち着いてしまう。そのギャップが楽しいのである。

最近では、敢えて郷愁を誘うような外装を施した上に、傘つき電球や柱時計など昭和を想わせるインテリアを配し、ハムカツ、クジラ肉、ポテトコロッケといったメニューを並べるレトロ感覚のレストランが流行っているとも聞くが、それはあくまで作られた空間で作られた味に過ぎない。本物には本物にしか出せない何かがある。

ことこの大井町東口界隈には『ブルドック』のほかにも、ラーメンの『永楽』(1952年創業)や、「焼き寿司」でお馴染みの『金井寿司』(1950年創業)といった老舗が軒を連ねている。

そう思えば、看板の文句は単なる謙虚心の表れとは言えないかもしれない。文化財級の老舗が軒を並べる大井町界隈は美味さと安さの激戦区。「大井一うまい、やすい」はそれだけ価値のある称号というわけだ。大井競馬場への行き帰りに、ぜひとも立ち寄りたい一軒。

Menchi  

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