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2013年1月 8日 (火)

濫用避けたい“冠馬”の称号

Gold1  

 

有馬記念の表彰式でのこと。進行を務めるアナウンサー氏が「(ゴールドシップ号が)見事3冠を達成です」と紹介したので、思わずひっくり返った。私の周囲にいた人も「何ぃっ?」とか「ええ゛っ!?」とかいう声を挙げ、一様に驚いていた様子であったから、私のリアクションもさほど的外れではなかったと思う。

つまり、アナウンサー氏の言わんとするところは「皐月と菊のクラシック2冠プラス有馬記念で“3冠”」ということだったのであろう。だが、私の周囲ではたちまち議論の輪が広がったのである。「ディープブリランテに失礼だ」というものや、「“3冠馬”ではなく“3冠”と言っただけだからOK」など意見は様々。最終レースを間近に控えた時間帯でもあり、議論の深まりを見ることがなかったのが、なんとも残念でならない。

本来「3冠馬」とは、皐月賞・日本ダービー・菊花賞をのすべてを勝った馬を指す。五つある3歳クラシックレースのうち牡牝両方が出走可能なレースを対象としたもので、これは国際的に通用する称号でもある。

ところが、日本ではシンザン以後、天皇賞、有馬記念を含めて「4冠馬」「5冠馬」と冠対象レースが拡大され、ついにシンボリルドルフやディープインパクトなどは「7冠馬」と呼ばれるようになってしまった。

しかし、冷静に考えてみれば、一生に一度しか出られない3歳クラシックレースと、現役を続ける限り何度でも出走できる古馬GⅠレースとでは、たとえ格付けは同じGⅠあったとしても、その価値というものは明らかに異なるはず。しかも最近では男女平等の視点からか、牝馬限定のGⅠレースも均等視する風潮があり、ジェンティルドンナを「4冠馬」と呼ぶ向きもある。なのに、一方で桜花賞・オークス・ダービーを勝ったクリフジが「3冠馬」の称号を得ぬのは明らかに矛盾であろう。だいいち秋華賞はクラシックレースではない。

良識ある新聞では、4冠以上の表記では便宜的表現として“”で括ることにしている。だが、実際にナリタブライアンを紹介する記事にあったように、「GⅠ5勝の“4冠馬”」などと書くくらいなら、「GⅠ5勝の3冠馬」と書いた方が分かりやすい。ナリタブライアンは朝日杯を冠としてカウントするかしないかで、「4冠馬」とも「5冠馬」とも呼ばれる。混乱の要因となり得るような称号の濫用は避けるべきだ。

障害やダートグレードを含めれば年間33回もGⅠ級レースが行われ、しかも競走馬の現役期間は伸びる一方の昨今である。オルフェーヴルが宝塚記念で連覇を果たしたら、果たして「6冠馬」と呼ばれるのだろうか? 無用な混乱を避けるためにも、3冠馬の称号はあくまでも皐月・ダービー・菊花賞の3レースのみと既定し、GⅠのタイトル数については別の名称を考える時期にきているような気がする。

Brian  

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