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2013年1月14日 (月)

巻き戻された降着基準①

Ranpasu  

年が明けて、JRAの失格・降着の基準が変更されたことを意識しながら競馬を見ている方も多いことと思う。

昨年まで「カテゴリー2」(被害馬の能力発揮への影響度で判定)に属した基準を採用していたのが、今年から「カテゴリー1」(加害行為がなければ被害馬は加害馬よりも上位になれたかどうかで判定)となった。英国や豪州など海外競馬主要国で採用されているカテゴリー1は、到着順位での確定が増えるなど、判断基準が分かりやすくなるだけでなく、そもそも合理的なルールとの評価もある。 12日にはその適用第一号として伊藤工真騎手が、昨日も福永祐一騎手が処分の対象となった。いずれも、騎手には騎乗停止が課されたものの、加害行為がなければ被害馬は加害馬よりも上位になれたとは判定されず、着順はそのまま確定している。

ルール変更のきっかけは、昨年6月10日東京8レースのランパスインベガスに対する走行妨害を不問に付したジャッジと、その後の不服申し立てにあった。騎手、調教師の訴えが相次いで退けられたことを受け、ついには同馬のオーナー・西見徹也氏が所属する中山馬主協会が、JRAに対して異例の申し入れを行ったのである。しかしそれでも「(影響がなければ)着順が変わっていたかどうかは、(降着を判断する)決定的要素でない」(JRA審判部長)という大原則の前に、裁定そのものが覆ることはなかった。あくまで、被害馬が受けた影響の大きさこそが判断基準だったのである。だがそんな杓子定規な回答に続いて、裁決基準の見直しを含めて検討することにJRA側が言及したことは、中山馬主協会にとっても大きな驚きであったに違いない。この一歩が今回の基準改定へとつながる。

これとは逆のケースとして、被害馬が加害馬よりも上位に来る可能性は明らかに低かったのに、被害馬への(見た目の)影響度が大きいと判断されてアウトとなるケースの問題点も指摘されていた。昨年10月28日東京4レースの新馬戦。1位入線を果たしながら10着に降着となったソロルのケースなどは、まさしくその典型であろう。

少なくともこのレース、「加害馬」とされたソロルは斜行をしたわけではない。前を行く2頭のスペースに割って入ったところで、左側の馬が過敏に反応。騎手がコントロールを失って内ラチに激突し、そのまま大きく後退してしまったのである。

だが、セパレートコースの陸上競技ならいざ知らず、馬が集団で走れば多少の接触があるのは当たり前のこと。相手がヨレたからといって、それが必ずしも危険騎乗であるはずもない。逆に、あたかも凶悪なラフプレーの被害を受けたかのような御し方しかできぬ方にも問題はある。そもそも「被害馬」とソロルとの脚色の差は歴然であった。むろん新基準なら降着とはならぬケースであろう。

このわずか2日後に、降着に関する新基準への変更方針が発表されたのは、皮肉と言うほかはあるまい。まるでソロルの裁定が間違っていましたと謝罪するかのようなタイミングであった。

新たな基準に変わったことで、「やったもの勝ちになってしまう」とか「ラフプレーが増えるのでは」という不安の声も聞こえてくるが、意図的なラフプレーはこれまで通り取り締まる姿勢を見せることで、ファンに対する新基準の浸透を図りたい。そのためにも、審議の公開なども検討してみてはどうか。先述したカテゴリー1の英国や豪州などでは裁決室からの生中継が日常的に実施されており、馬主やファンから好評を得ている。

(明日付に続く)

Solo

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