« 競馬場で歩こう | トップページ | 中山の牛丼 »

2013年1月18日 (金)

リトル小岩井@大手町

B1

「B−1グランプリ」が定着して以来、「B級グルメ」という言葉は「町おこしに一役買うご当地グルメ」という意味合いが強くなってしまったような気がする。

「B−1グランプリ」を主催する「愛Bリーグ」によれば、「B級グルメ」とは「うまくて、地元に愛され、複数の店で提供される料理」とのことで、他にも「ボランティアの人数」とか「町ぐるみでの活動」など細かい規定がある。また、昨今では、イベント来場者の投票順位へのこだわりが過熱しすぎた感も否めない。

もともと町おこしのお祭り程度の感覚で始まったはずなのに、今では優勝すればその経済効果は30億円とも言われるビッグイベントになってしまった。そのためか、地域で長年愛されたメニューではなく、衆目を集めそうな奇抜なメニューを無理やり考案して、それを新たに「おらが町のB級グルメ」とプッシュするようなケースも散見する。だが、そうなってはもはや「グルメ」とは呼べまい。人それぞれ好き嫌いはあろうが、私などは唐突に生まれた“ラーメンバーガー”よりは昔ながらの普通のラーメンを食べたいと思うクチである。

ところで、「B−1グランプリ」がメジャーになる以前は、「B級グルメ」と聞けばもう少し違った意味合いを持っていませんでしたか?

すなわち「値段や店構えはB級だけど味は間違いなくA級」という穴場的な店やレシピである。それは下町の洋食店であったり、タコ焼きのような安くて美味しい食べ物を指す言葉だった。美味くて値段が高ければ「A級」。たとえ安くても、食べてみて美味くなければ「B級」とすら呼んではもらえず、そもそも評価の対象とはならんのである。

では、その価格的評価基準はいったいどこに置けば良いのか?

それこそ個人ごとに判断はマチマチであろうが、私の基本的な線引きはこうだ。A級は一食あたり8千円以上。B級のそれは千円以下ということになる。

A級のラインについてはキリよく1万円以上としたいところだが、実際に様々な店の関係者に聞けばこのラインを推す声が圧倒的だから、悪くないセンなのではないか。むしろポイントは、両者を隔てる千円から8千円に及ぶ空白地帯の存在である。つまり、6千円のメニューは「A級の手抜き」であり、1500円のメニューは「B級の背伸び」に他ならない。どっちつかずのものを食べるくらいなら、潔くAかBを選択したいという意識の線引きでもある。だが、もちろん、6千円で素晴らしい懐石料理を楽しませてくれる店もあれば、1杯に1500円を払っても食いたいカレー屋だってある。あくまでも線引きは目安に過ぎない。

私の中での「B級グルメ」の総本山は、大手町の雑居ビルの地下に店を構える『リトル小岩井』。

岩手県雫石町の町おこしメニューなどではなく、ただのスパゲティのお店。ウェイターが移動することすら困難な狭い店内は、小さなテーブル席が14席分あるだけで、昼どきともなればそのすべてが相席で埋まって、店外には長蛇の列が伸びる。

茹で置きの麺をフライパンで炒めるジャッジャッという音が耐えない店内で出されるのは、昭和テイスト満載のスパゲティだ。「パスタ」などと呼ぶには抵抗のあるその麺は、直径4ミリはあろうかという超極太麺。茹で置きにもかかわらず、むっちりした歯応えで実に食べ応えがある。そして、最も高いメニューでも560円という安さこそ「B級」の鑑だ。

トマトケチャップで真っ赤に染まったナポリタンは、誰もが懐かしいと感じるあの味そのもの。参加ボランティアの人数とか、投票順位とか経済効果みたいな野暮なことを一切言わずに済む「B級グルメ」が、ここには間違いなくある。

Napo  

|

« 競馬場で歩こう | トップページ | 中山の牛丼 »

グルメ・クッキング」カテゴリの記事

競馬」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 競馬場で歩こう | トップページ | 中山の牛丼 »