2021年5月13日 (木)

競馬場でワクチンを

昨日の朝のこと、仕事場に着くなり部下から「セールスフォースが死んだ」と聞かされた。

セールスフォースと言えば大井所属の競走馬。たしかカネヒキリの産駒で、条件ばかりとはいえ10勝くらいしていたはず。そうか、死んでしまったのか。それで「事故? それとも病気?」と聞いたら、「病気?」と聞き返されてしまった。そりゃあ、病死ってことだってあるでしょうよ。んで、あらためてよくよく聞いたら、この話だった。

Salesforce

思わず「なんだ、紛らわしい」と言ったら、そんなことを思うのは私だけらしい。いまどきクラウドサービスの Salesforce を知らない人なんていませんよ。口には出さないが、そういう顔をされた。実際それは正しいのであろう。その証拠に全国紙でも一面トップで扱っている。その記事によれば、世界中の企業や行政機関などで利用されていて、日本でも厚生労働省の新型コロナワクチンの管理システムや自治体の予約システムなどで不具合が出るなどの影響が出たという。ふーん。そうなんですか。それで話題は新型コロナの話へと流れる。

今月30日から大井競馬場がワクチンの集団接種会場として利用開始されることになった。具体的には4号スタンド5階。つまりダイヤモンドターンの上階にあるゴンドラ席フロアが会場として使われる。非出走の馬主席としても使われていたから私にとっても馴染み深いエリア。建物自体が独立棟で、フロアにはふんだんに椅子も設置されており、むろんトイレも完備。細長いフロア構造なども接種業務に向いているかもしれない。ほかにも南関東では浦和競馬場も接種会場に使われるそうだ。一方でJRAの競馬場からはそういった話は聞こえてこない。

競馬場でのワクチン集団接種の先鞭をつけたのは英国である。今年の1月にはエプソム競馬場がワクチン接種会場となった。オフシーズンだったこともあろうが、さすが競馬だけでなくワクチン接種でも世界をリードせんとするお国柄。おかげで今では国民の約半数が1回目の接種を終えて、市民はマスクなしで外出を楽しんでいる。

大井競馬場も今は無観客開催が続いているのでスタンドや駐車場の利用に支障はなかろう。このあと有観客再開が実現した場合でも、4号スタンド5階は接種会場としてそのまま継続使用するという。

そこでふと思った。残念ながら無観客開催が継続された場合、一般の競馬ファンが観ることができないナマのレースを、接種対象者は観ることになる。接種を受ける人が競馬ファンならちょっとラッキー。接種を待つ間、あるいは接種後の経過観察の合い間にも、スマホで馬券を買ってゴンドラ席からのレース観戦を楽しむ―――そんなことが可能かもしれない。

 

 

***** 2021/5/13 *****

 

 

| | コメント (0)

2021年5月12日 (水)

スイッチコース

JRAの競馬場は右回りが7場に対して左回りは3場しかない。それが同時に開催されるのは珍しいと、おとといもそう書いた。

だが、GⅠレースに限れば右回り14レースに対して左回りは10レース。一気にその差は縮まる。その一因にもなっているのが、先週から始まった東京競馬場での5週連続GⅠ開催であろう。毎年のことだが財布が持ちそうもない。

スプリントやマイルのGⅠが年に2回、右回りと左回りのそれぞれのコースで行われるのは、興行的な側面もさることながら、右回りも左回りも関係のない普遍的な強さを求める理念の表れでもある。実際には、マツリダゴッホのように右回りが得意だという馬がいれば、スワーヴリチャードのような典型的なサウスポーも存在する。なのにJRAのハンデキャッパーは、そういった左右の得意不得意をハンデに加味することはしないそうだ。

Swarve

それにしても、と思う。米国の競馬場はすべて左回り。我が国が範としたはずの英国にしても3分の2が左回りである。なのに、JRAでは2000年に新潟競馬場がようやく3番目の左回りコースとして生まれ変わったばかり。地方競馬に目を向けても、右回りが10場であるのに対し、左回りは4場しかない。思えば、旭川、上山、高崎、宇都宮、足利、福山、荒尾など、近年廃止となった競馬場にしてもことごとく右回りであった。我が国の競馬場にはなぜこんなに右回りコースが多いのであろうか。

日本における馬券発売を伴う近代競馬の嚆矢は、1861年に横浜の洲干弁天裏で行われたレース。ちなみにこの時のコースは直線のみだった。そしてその翌年、いまの横浜山下町に作られた日本最初の競馬場は、本場の英国に倣って左回りだったとされる。

その後、1866年に関係者の念願かなって本格的スタンドを備えた競馬場が根岸の丘の上に完成した。ここで話は昨日の根岸競馬場に戻ってくる。現在は公園となっているあの競馬場跡を訪れたことがある方なら想像できるだろう。あまりの起伏の激しさにどうしても左回りのコースがとれず、やむなく右回りにしたという逸話が残る。その後、各地の競馬関係者が根岸競馬場に倣って競馬場を造成したため、日本の競馬場には右回りが多くなった―――。どうやら、これがコトの真相らしい。

根岸競馬に倣った競馬場のひとつに目黒競馬場がある。目黒は右回りであった。だが、その目黒競馬場が移転して生まれた東京競馬場は原則左回りである。これについては、当時の東京競馬クラブの理事には外国人が多く、海外に倣って左回りに戻したとする説が有力。だが、それも先ほど書いたようにあくまでも「原則」に過ぎない。かつて東京競馬場の芝の1000m、1100m、1200m、およびダートの1000m、1100mは、右回りコースで行われていた。馬たちは向こう正面から2コーナーに向かってスタートを切り、1コーナーを右に回ってゴールを目指していたのである。

1962年のダービー馬・フェアーウインは東京コースで7戦して(4,1,2,0)と着外がない。これは典型的なサウスポーではないか―――と思ってよくよく見れば、そのうち3戦(1,1,1,0)は右回りコースでの成績だったりする。中山でも4勝を挙げていることを考えれば、むしろ得意なのは右回りだったのかもしれない。

昨年3月、大井競馬場が現行の右回りコースに加え、左回り1650mのコースを新設すると発表して関係者に衝撃を与えた。当初は今年1月にも稼働の予定だったが、新型コロナの影響でこの秋にずれ込むという。実現すれば国内では東京競馬場が左回り統一されて以来38年ぶりの出来事。世界でも類を見ない「スイッチコース」が誕生する。

 

 

***** 2021/5/12 *****

 

 

| | コメント (0)

2021年5月11日 (火)

蕎麦と馬の共通点

蕎麦という食い物は、ワインや鮨などに肩を並べるウンチクの塊だけに、あまり迂闊なことは書けないのだが、フライパンを購入したことで、自宅で蕎麦を茹でて食べる機会が増えた。うどんばかり食べているようで、根は蕎麦っ食いだったりする。

そんなワケで今日の晩ごはんは鴨せいろ。近所のスーパーで買ってきた鴨肉をフライパンで炒めてツユをつくり、同じフライパンで蕎麦を茹でた。フライパンの万能性に感謝しつつ、鴨の脂がほどよく染み出たツユに半分ほど蕎麦をくぐらせ、しかるのちに一息で蕎麦をすする。名店の味には遠く及ばぬが喉越しは痛快至極。そういやちゃんとザルも買いましたよ。ネギがあれば完璧だったが、いかんせん我が家には包丁というものがない。そんな理由で買うのをためらってしまった。大いなる反省点だ。

Kamo_20210511204401

鴨といえば、門別「いずみ食堂」の鴨そばも捨てがたい。

長さも太さもマチマチ。いわゆる田舎そばそのものの麺には、鴨肉のコクたっぷりのツユがほどよく絡まる。寒い季節でも、これを一杯食べれば、まさしく生き返る思いがする。

Izu1

この店の蕎麦は黒っぽい。その色合いを見て、つなぎを使っていないいわゆる十割蕎麦だと思われるお客さんも多いようだが、店によれば「色黒なのは蕎麦粉が粗挽きだから。つなぎは使ってますよ」とのこと。しかし、その割合は企業秘密だという。

競馬で「つなぎ」と言えば、球節と蹄部の間の部位。馬が走る時に四肢の負担を和らげるクッションの役目を果たす。これが短すぎると衝撃が緩和されずに脚を痛める可能性が高まり、逆に長過ぎてはクッションが利きすぎてスピードが殺される恐れもある。

「つなぎ」はバランスが命。それは蕎麦でも馬でも同じことだ。

 

 

***** 2021/5/11 *****

 

 

| | コメント (0)

«歓喜と落胆と