2018年5月27日 (日)

平成最後のダービー

どのレースでも馬券を当てたいと思う気持ちに変わりはないはずなのだが、ダービーだけは特別。どうしても馬券を当てたいと願うファンは少なくあるまい。

むろん私もそのひとり。おそらくそれが1年間の集大成だからであろう。昨年6月3日、ケイアイノーテックが勝った阪神芝1600mの新馬戦を皮切りに、JRAで行われた現3歳世代のレースは先週まで1340鞍。それを1年間に渡る講義だとすれば、ダービーは最終試験であろう。正解を導き出すことができなければ、この一年が無駄だったことにもなりかねない。だからみんな必死なのである。

今日の日を迎える前から、既に私は本命を決めていた。皐月賞馬エポカドーロ。7番人気で制した皐月賞をフロック視する声は理解できなくもないが、その皐月賞で本命にした立場からすれば皐月賞を勝ったのにダービーで人気にならない状況は美味しい。ただ、皐月賞の馬券は馬単ヒモ抜けの悲劇。悲しいことに単勝は買っていなかった。これについては皐月賞当日の本稿「ウインズを眺めながら」に書いた通り。だから、今日は競馬場に着くなり単勝を購入した。あとはパドックで良いと思った相手に流せばよい。

Baken1 

しかしパドックでその目論見が崩れる。エポカドーロが姿を現さない。どうやら地下馬道で立ち止まって動かなくなったらしい。さすがはオルフェーヴルの産駒。オルフェーヴルは「気の済むレベル」が他の馬とちょっと違っていた。しかし今はお父さんに似ていることを喜んでいる場合ではない。誘導馬が帯同してどうにか周回に合流できたが、これでは本命も考え直す必要がある。

そのとき、一頭の青鹿毛馬が目に留まった。

ゼッケン14番……? むむ? エタリオウ?

いやぁ、無いよなぁ。無い無い。

―――いや待てよ。騎手はボウマンではないか。昨年のジャパンカップを制したあの手綱捌きはまだ記憶に新しい。舞台は同じ東京芝2400m。これは有りじゃないか?

んで、こんな馬券も購入。13番人気ですからねワイドで十分。

Baken2 

結果は書くまでもない。ゴール寸前まで逃げ粘ったエポカドーロはワグネリアンに差されて2着。一方のエタリオウは、33秒5の脚で猛然と追い込みながらハナ差及ばずの4着であった。

Derby1 

こんな悔しい外れ方は久しぶり。しかも舞台はダービーである。ワグネリアンさえいなければ、どちらの馬券も的中だった。エポカドーロの単勝オッズは10倍、ワイド12-14は80倍くらいあったはず。こうなればワグネリアンの福永に飛び蹴りのひとつでも喰らわせなければ、腹の虫が収まらぬ。それで人混みをものともせず、走って検量に降りると、ちょうど人馬が戻ってくるところだった。さあ来やがれ。

Derby2 

なんて、この涙を見たら、とてもそんなことできやしませんよ。いや、いくらダービーだけは馬券を当てたいと願っても、そんなことをしてはいけない。

ともあれ、私は福永祐一騎手を特別応援しているわけではないし、かといって別に嫌っているわけでもないけれど、洋一さんのことを思ったら、不覚にも貰い泣きしてしまいそうになった。福永洋一さんが最後に乗ったダービーからちょうど40年。平成のダービーが幕を閉じた。

 

***** 2018/05/27 *****

 

 

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2018年5月26日 (土)

ダービー馬はダービー馬から

ダービー馬はダービー馬から―――。

Deep 

 

Kizuna 

昨日と同じ「格言ネタ」で始める。とはいえ、私が若い頃はほとんど死語だった。なにせ2006年までの73回で4回しか実現してない。ゆえに私は「実現が難しいことの喩え」だと勘違いしていたフシもある。

1947 マツミドリ(父・カブトヤマ)
1954 ゴールデンウエーブ(父・ミナミホマレ)
1958 ダイゴホマレ(父・ミナミホマレ)
1991 トウカイテイオー(父・シンボリルドルフ)
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2007 ウオッカ(父・タニノギムレット)
2009 ロジユニヴァース(父・ネオユニヴァース)
2012 ディープブリランテ(父・ディープインパクト)
2013 キズナ(父・ディープインパクト)
2015 ドゥラメンテ(父・キングカメハメハ)
2016 マカヒキ(父・ディープインパクト)
2017 レイデオロ(父・キングカメハメハ)

だが、2007年以降は一転、11回で7頭のハイアベレージだから凄い。しかもここ3年は3連勝中。「ダービー馬はダービー馬から」が当然の時代となった。今年のダービーにもダービー馬の産駒が5頭登場。前日発売の人気は1、3、4、5、16番人気だから、「4連勝」があってもおかしくない。

Cosmic 

しかも、5頭のうちキタノコマンドール、コズミックフォース、ワグネリアンは、母の父までもダービー馬である。実は過去に父子制覇を果たした11頭の中に、母の父までダービー馬だった例はない。そういう意味では史上初の出来事が起こる可能性もある。

Wagu 

ダービーは種牡馬へのパスポートでもある。だが、父と母の父がいずれもダービー馬という“ダービー馬配合”は、実はそれほど多くはない。なぜか。サンデーサイレンス系全盛の昨今では配合上の不都合が生じるから。それが急に存在感を増したのは、非サンデー系種牡馬の雄・キングカメハメハの功績によるところが大きい。キタノコマンドール、コズミックフォース、ワグネリアンの3頭に共通するのもキングカメハメハ。先週のオークスではキングカメハメハ系種牡馬の産駒がワンツーフィニッシュを決めたばかり。府中の2400mで無視はできない。

 

***** 2018/05/26 *****

 

 

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2018年5月25日 (金)

一国の首相となるよりも

一国の首相となるよりダービー馬のオーナーになる方が難しい―――。

これは英国首相のウインストン・チャーチルの言葉と伝えられているが、実は後世の創り話という説もある。しかし、いかにもダービー発祥の国の宰相の発言らしいではないか。

日本の首相にそんな逸話は聞かない。たまにダービーを観戦に来る程度。タニノギムレットの年に小泉首相が訪れて、その娘・ウオッカのダービーは安倍首相が観戦した。日本ダービーには内閣総理大臣賞を出しているのだから、もっと来てもいいはず。と言っても、来たら来たでいろいろ面倒臭いのでこれくらいの頻度でも良かろう。地下馬道を急に通行止めにしたりされても困る。

Abe 

もちろん日本においてもダービー馬のオーナーになることの難しさに変わりは無い。厳密には「オーナー」ではないが、クラブの一口出資者でも同じこと。とはいえ今年の3歳世代はクラブオーナーの馬が強い。オークスも1~4着までクラブの馬が占めた。皐月賞馬エポカドーロを筆頭に、今年のダービーにはクラブ所属馬が7頭も出走する。枠順も決まり、眠れぬ夜を過ごしている会員さんもいるのではないか。

実は私の周囲にもふたりのクラブ会員が、晴れてダービー出走を果たすことになっている。コズミックフォースとブラストワンピース。2年前に選んだ一頭が、馴致を重ねて、入厩を果たし、ゲート試験を受け、無事にデビュー戦を迎えた。それだけでもたいへんなことなのに、そこから勝利を重ねてダービー出走の18頭に名を連ねることは奇跡にも近い。ましてや勝つとなればさらなる奇跡。それを見事に表現した一文として、冒頭の言葉は世界に広まったのであろう。そう考えれば、チャーチルにまつわる真偽などさして重要ではない。

大映社長でトキノミノルのオーナーとしても知られた永田雅一氏は、ベネチア映画祭でグランプリを獲得した「羅生門」を引っ提げて勇躍渡米。しかし、米国での評判はいまひとつ芳しくない。だが、永田氏がダービー馬のオーナーだと知られると、周囲の永田さんを見る目が明らかに変わったという。海外でダービーオーナーといえば大きなステータス。その力を実感したことだろう。

「宰相よりも難しい」は決して誇張ではない。個人であれクラブ会員であれ、今年の日本ダービーでは新たなダービーオーナーの誕生の可能性が高い。

 

***** 2018/05/25 *****

 

 

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