2019年5月 5日 (日)

ファンファーレ

TVから流れてきたGⅠのファンファーレに、思わず耳を疑った。

NHKマイルカップの発走ファンファーレは、NHK交響楽団(正式には「NHK交響楽団とその仲間たち」)の生演奏が恒例となっている。それは知っていても「音楽」として聞くことなどない。演奏者はたった8人。なのに、普段の生演奏を遥かに凌ぐこの迫力はどうしたことか。一音一音の輪郭はくっきりしており、しかも滑らかで、高音の伸びはどこまでも心地よく、低音は腹の底に直接響いてくる。録音かと疑ったほど。さすがプロ中のプロは違う。レース前にすっかり満足してしまった。

全てのレースで発走前にファンファーレが流れるのは日本だけだ。気分を高揚させる単純明快な響きは我々ファンの耳にすっかりなじんでいる。だが、初めて使われたのは1986年暮れの中山だから意外と歴史は浅い。そのきっかけは出走のタイミングを合わせたいという、ラジオ中継スタッフの要望だったとも。その後、1988年までにJRA全10場に広まった。

Brass

現在のバリエーションは開催場やレースの格に応じた全20種類。そのうち宝塚記念年に一度しか聞けないという点で希少感がある。

そしてもうひとつ。これは厳密にはJRAのファンファーレ楽曲ではないが、年に一度だけのファンファーレが流れるのが中京で行われる名鉄杯。名鉄電車の「ミュージックホーン」をアレンジした楽曲ですっかり有名になった。しかも名鉄ブラスバンド部の皆さんによる生演奏。重賞レース以外で生演奏は珍しい。名鉄杯当日にTV中継で時間の都合などでファンファーレの映像が流れなかったりすると、視聴者から苦情が来るんだそうだ。導入から30余年を経て、発走前のファンファーレはすっかり日本の競馬に欠かせぬものになった。

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2019年5月 4日 (土)

5月の嵐

風薫る5月―――。5月に吹く風と言えば「薫風」だろう。ダービー当日のレース名にも使われている。だが、その風も強く吹けば「青嵐」に豹変。青葉を吹き散らす強い風のこと。英語にも「メイストーム」という言葉があるくらいだから、その鮮烈さは万国共通か。ご丁寧なことにダービー当日には「青嵐賞」というレースも組まれている。

今日の東京競馬を青嵐が襲った。俄に風が強くなったのは10レースの発走直前。そこへ時ならぬ雹(ひょう)がターフを襲った。結果10レース以降は中止に。長く競馬に携わってきたが、雹による中止は聞いたことがない。実際、初めての事態だという。

しかし実は青嵐に雹はつきものでもある。2012年、千葉マリンスタジアムで行われる予定だった、ロッテVS日本ハムの首位攻防戦が暴風と降雹のため中止になったことがあったが、それも5月10日の出来事。青嵐をなめてはいけない。日本で初めて「暴風警報」が発せられたのが、明治16年5月26日だったことも頭の片隅に置いておきたい。

Storm

近年は積雪のない降雪や台風の接近予報だけですぐに中止の判断が下されるが、昭和時代はある程度の雪や台風で競馬が中止になることはなかった。天気予報の精度が低かったせいもあろう。逆に厩務員ストライキによる開催中止が、この季節の風物詩だったように思う。クラシックを人質に取るのが彼らの戦術なのだから、どうしようもない。関係者が八百長で逮捕されたり、ファンが暴動を起こして開催が取りやめになることもしばしば。「開催しても赤字になりそうだから」という理由で札幌競馬が取りやめになったこともある。

一方、現代ではシステム障害が原因で開催中止を余儀なくされることも。さらには薬物検査の精度が上がったことで、薬物絡みの中止もしばしば。これも時代の流れか。時代と言えば、昭和天皇が崩御された際も競馬は中止になった。「平成初勝利!」のような浮かれたニュースの記憶がないのは、きっとそのせいであろう。

それにしてもダービートライアルが飛んだインパクトは大きい。頭を抱えた陣営もあるはず。プリンシパルSだけは来週日曜に振り返られたが、仮に首尾よく優先出走権を手に入れても、中1週では出走もおぼつかない。

今のプリンシパルSでは1着馬のみにダービーの優先出走権が与えられるが、ダービー指定オープン競走だったひと昔前には3着までに優先権が与えられる時期があった。ダービーのフルゲートが今よりも多かった時代とはいえ、たかがオープン特別である。そこまで大盤振る舞いする理由がどこにあるのか―――? 疑問に思う人が多かったのも無理はない。

実はこれ、40年ほど前に東日本で馬インフルエンザが蔓延し、関東の競馬が長く中止に追い込まれた際、関東馬の獲得賞金が関西馬に比べて少なくなったことに対する救済措置の名残だった。かように開催中止は特にクラシックの行方を左右する。たかがプリンシパルSと侮ってはいけない。昨年はここを勝ったコズミックフォースが、ダービー史上最高配当というメイストームを吹き荒れさせたばかりだ。

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2019年5月 1日 (水)

時代の始まりに

時代が変わって「令和初」のフレーズがかまびすしい。

あまりに久しぶりの休みとあって、休み方をすっかり忘れてしまった。浦和のしらさぎ賞に行くことも頭をかすめたが、雨予報では腰も上がらない。ならばプロ野球中継でも観ながら家庭内の断捨離を実行しよう。新しい時代の始まりに相応しいではないか。

「令和初ホームラン」はまだいい。

そうなれば「令和初ヒット」「令和初打点」「令和初三振」「令和初盗塁」というキーワードが登場することも理解できる。しかし、そこからさらにエスカレートして「令和初エラー」「令和初四球」「令和初デッドボール」なんてものに意味があるのか。挙句の果てに「令和初盗塁死」が出てきたら、さすがにTV画面に突っ込まずにはいられなかった。だって、巨人VS中日3連戦は昨日から続いているのだし、今シーズンは元号などと関係なく3月から始まっている。

浦和から「石崎駿騎手が令和初勝利を挙げた」というニュースが届いた。

「やれやれ、浦和だって昨日からやってんだろ」などとぶつぶつ言いながらネットで結果を確認すると、成績表になぜか「浦和初日」とある。そんなはずがない。さては誤表記か!と色めいたら、なんとホントに初日だった。今浦和開催は火曜から始まる4日間開催だが、平成最終日の火曜日だけを「平成31年度1回開催」として行い。今日からの3日間を「令和元年度2回開催」として行っているのだという。

さすが役所のやっていることと感心するが、こうなると「令和初勝利」という言い方にも、多少の説得力を帯びてきますな。まあ、あくまで「多少」ですが。

そんかことを考えながら断捨離は着々と進行。こんなもん今さらどうしようというものが、じゃんじゃん出てきた。

平成23年、オルフェーヴル3冠制覇のお祝いでいただいた紅茶のセット。いくら未開封とはいえ、8年前の紅茶はさすがにヤバかろう。とはいえ、このまま捨てるのもなんかもったいない。中身だけ捨てて、缶と箱は取っておこうか。

01 

平成20年のセレクトセールで追分ファームさんからいただいたミンティア。恐る恐る口に運んでみると、さほどヴィンテージ感はない。普通に食えそう。食わないけど。

02

こちらは平成12年、野平祐二調教師の引退パーティーのお土産でいただいたタオル。

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やはりミスター競馬には緑がお似合いですな。これは捨てるわけにいかないなぁ―――なんて調子だから全然モノが減らない。新しい時代は始まったが、私の部屋はしばらく平成のままだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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