2017年4月29日 (土)

1番人気受難の春

プロ野球は開幕して1か月が過ぎたが、セ・パ両リーグのチャンピオンチームが明暗を分けている。セ・リーグは広島カープが10連勝の快進撃を続ける一方で、パ・リーグでは日本ハムが泥沼の10連敗を経験してしまった。主力選手に故障者が相次いでいるとはいえ、この時期に首位と12ゲーム差は厳しい。

連敗といってもいろいろあるが、野球になくて競馬にあるのは1番人気馬の連敗だ。かつて、「秋の天皇賞で1番人気は勝てない」と言われた時代が長く続いたことを思い出す。

1966年秋、野平祐二が手綱を取るセフトウエーが6着に敗れてからというもの、リユウフアーロス、フイニイ、マーチス、アカネテンリュウ(2年連続)、キームスビィミー、ハクホオショウ、ホウシュウエイト、キクノオー、イシノアラシ、トウショウボーイ、リュウキコウ、メジロイーグル、カツラノハイセイコ、カツアール、サンエイソロン、そして1983年タカラテンリュウまで1番人気馬が18連敗である。府中の本命党たちには、厳しく辛い秋が長く続いた。

距離が2000mに短縮された1984年にミスターシービーが1番人気で勝つと、本命党たちは「2000mなら堅く収まるゾ!」と喝采を叫ぶ。だが、1988年のオグリキャップから1999年のセイウンスカウイまでまたも1番人気が12連敗。すると本命党は掌を返したように「外枠が極端に不利な東京2000mでGⅠをやるべきではない」と主張するようになるのだが、その12連敗の中には最内1番枠からスタートした馬が3頭も含まれていた。

もちろん本命馬だって負けることはある。それが競馬だ。しかし、天皇賞・秋の1番人気馬は、能力とは無関係の理由で敗れ続けているように思えてならない。「ジンクス」と呼ばれる所以はそこにある。こうして、天皇賞に関しては「堅い春、荒れる秋」というイメージが植え付けられた。

そう、「堅い春」なのである。シンボリルドルフ、ミホシンザン、タマモクロス、スーパークリーク、メジロマックイーン、ビワハヤヒデ、スペシャルウィーク、テイエムオペラオー、そしてディープインパクト―――。春の天皇賞といえば、チャンピオンが人気に応えて結果を残す舞台だった。

なのに、あらためて振り返ってみれば、2006年から1番人気馬が10連中だったりする。その間、チャンピオンの参戦が無かったわけではない。オルフェーヴルもゴールドシップも着外に沈んだ。

Gold 

同じ10年間の天皇賞(秋)における1番人気馬の成績は(5,2,2,1)。春と秋の立場はすっかり逆転してしまっている。今朝の時点ではキタサンブラックが1番人気だったのが、先ほど確認したらサトノダイヤモンドにとって代わっているではないか。サトノダイヤモンドは17頭の相手だけでなく、1番人気受難のジンクスとも闘わなければならない。

 

***** 2017/04/29 *****

 

 

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2017年4月28日 (金)

銀行レースと物価統制令

一部ウインズで実施された天皇賞金曜日発売が、先ほど19時に終了した。単勝の1番人気はキタサンブラック。2番人気はサトノダイヤモンド。両者の馬連は180円と発表されている。

たしかに一騎打ちムードは漂う。どちらも菊花賞馬。これといって強力な馬も見当たらない。有馬記念のこの2頭の馬連配当は260円だった。ならば今回それより低くなったところで驚くこともなかろう。GⅠレースでの馬連最低配当記録は1999年宝塚記念の200円。今回はその記録を更新するかもしれない。もちろん、この2頭で決まれば―――の話だが……。

先日行われた桜花賞で、ソウルスターリングの単勝に3000万円(一説では4000万円とも)を注ぎ込んだ人がいたという。漂うオッズは140円。むろん銀行に預けるよりも割が良い。なにせ空前の低金利時代である。しかし、それでもせめて複勝にできなかったか。それでもたった94秒で300万の利ざやがあったのに……。我々庶民は、そう考えてしまう。いや、そもそも3000万円の馬券を購入することなど、庶民は考えたりしない。

Brian 

天皇賞はその格式の高さに加え、現在では特殊領域とも言うべき距離設定によって、実力以上に人気が偏ることがある。それが「一騎打ち」とか「銀行レース」などという事前の風評を呼び、増します本命サイドが売れるという傾向が長く続いてきた。

1992年
メジロマックイーン&トウカイテイオー
馬連オッズ1.6倍 1着→5着

1996年
ナリタブライアン&マヤノトップガン
馬連オッズ2.0倍 2着→5着

1998年
メジロブライト&シルクジャスティス
馬連オッズ2.0倍 1着→4着

とはいえ、銀行だって低金利や合併で苦しむ現代である。「銀行レース」という言葉を耳にしなくなって久しい。なのに、1998年の天皇賞でも前々日発売で2強の馬連を5000万円買った人が出て、1.1倍の馬連オッズが翌日の紙面を飾る騒ぎになった。バブル以降、長引く不況のさなかとはいえ、お金はあるところにはある。福岡の強盗事件を持ち出すまでもない。

3連単がなかった当時、JRAは「2強対決」を歓迎しなかった。数千万を動かすビッグプレイヤーならともかく、我々庶民は2倍のオッズには手を出しにくい。メジロマックイーンとトウカイテイオーの一騎打ちに沸いた92年春の天皇賞では、馬券売上が前年に比べて20%以上もダウンしたという記録が残る。

しかし「世紀の対決」と騒がれている以上、馬券は買わずともレースはナマで見ておきたいと思うのがファン心理。92年の天皇賞当日の京都競馬場は11万の大観衆で膨れ上がった。しかも、入場てきたのは前売り入場券を持っていた人のみ。そこに目を付け、前売り入場券を定価の10倍で売るダフ屋も現れた。銀行レースに大金を投じるより、その方が確実に儲かる。むろんあえなく御用となった。

驚いたのは、その罪状が「物価統制令違反」と聞いたから。物価統制令は戦後間もない1946年3月に施行された勅令。てっきり死語かと思っていた言葉が、突然息を吹き返すこともある。あさっての天皇賞で「銀行レース」という言葉は復活するのだろうか。

 

***** 2017/04/28 *****

 

 

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2017年4月27日 (木)

新緑賞の緑帽

先週土曜の東京9レース・新緑賞の話を再び書く。

春の東京開幕週の3歳500万条件。芝2300mという舞台設定から、古くはサニースワローやリアルバースデーが、近年でもハギノハイブリッドがここを勝ってダービーの舞台へと向かっていった。

Capoti 

しかし私が注目するのはそこではない。2010年ブレイクアセオリー、12年カポーティスター、14年ハギノハイブリッド。いずれも6枠緑帽で勝っているのである。ほかにも13年と16年で6枠が2着。7年で5連対は凄い。そこは「新緑賞」たる所以か。そこで6枠総流しの馬券を買ってみた。

最近はすっかりマイナーな存在になった枠連だが、競馬初心者が買いやすい馬券として、今も独特の存在感を漂わせている。レース観戦において、初心者が真っ先に戸惑うのが、自分の買った馬を見失ってしまうこと。勝負服で判断ができるようになるまでは時間がかかるだろうし、密集した馬群の中で、ゼッケン番号を視認するのは実況アナウンサーでも難しい。

だから枠連。自分が買った馬は、騎手の帽子の色で判別がつくから、レースが追いやすい。しかも代用的中というオマケも期待できる。

「枠番」というシステムのない欧米では、勝負服と同じように、馬主に帽子の色を決める権利がある。我が国でも、かつては枠とは無関係に馬主独自の色を用いていた。

帽色が採用されたのは、戦後の4枠制から5枠制を経て6枠制に移行した1957年のこと。この時の色は、1枠から白、赤、青、緑、黄、水だった。配色の根拠となったのは、「一白・二黒・三碧・四緑・五黄・六白・七赤・八白・九紫」の「九星」とされる。さらに1963年の8枠制移行に伴い、7枠の茶、8枠の黒が追加されたが、「茶色は見にくい」という大井のファンの声がきっかけとなり、色相学の専門家などの意見を基に現行の配色に落ち着いたという。オレンジとピンクという蛍光色は確かに見やすく、結果それを中央競馬がマネる形となった。

さて、緑帽が圧倒的に強いはずの新緑賞を勝ったのは1枠のビービーガウディで、2着は4枠ミッキーロイヤルであった。残念。でも、かつてなら4枠は緑帽だったから当たっていたのに……、なんてアホなコトで真剣に嘆いているようだから、馬券が当たらないんだよなぁ。

 

***** 2017/04/27 *****

 

 

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