2018年4月20日 (金)

昼休みの悲哀

競馬場が今よりずっと混雑していた1980年代末の競馬場では、午前中最後のレースで馬たちがゴール板を駆け抜けるのを見届けるや、猛然とダッシュする客が大勢いた。馬券が的中して払い戻しに走ったわけではない。トイレを我慢していたわけでもない。さて、彼らはいったいどこへ向かったのか?

答えは食堂。当時は今より10分長い1時間もの昼休みが設定されていたのに、それでも食べ終える頃には午後最初のレースが発走してしまうほど昼休みの食堂は混雑を極めていた。

今はそこまで極端ではないにせよ、それでもGⅠ開催日ともなれば昼休みのレストランには空席待ちの長い列ができる。馬主エリアのレストランであっても30分待ちは当たり前。しかも、その行列の先にそれほど美味いモノが待っているわけでもない。貴顕社会にお住まいの面々が、おとなしく行列に並んでいる姿には興を覚えなくもないが、何かが決定的に間違っているように思える。

そもそも、競馬場のタイムスケジュールにおいて、明確に区切られた「昼休み」は必要なのだろうか?

決まって昼休みに昼飯を食さんとする行動は、日本人の―――特にサラリーマンの―――哀しい性(さが)であろう。腹が空いていようがいまいが、あるいは店が混んでいようがいまいが関係ない。昼休みと定められた時間内に昼飯を食べることすら、まるで仕事の一環のごとく黙々とこなしている。

すべてを知っているわけではないが、私が行った限りの外国の競馬場において、昼休みというものを体験した覚えはない。

障害レース直後ゆえ、放馬などのアクシデントに備えるための時間が必要だとする“昼休み必要説”を聞くこともある。だが、放馬は必ずしも障害レースだけで起きるものではない。また、各種イベントを行う時間として必要とも聞くが、すべての開催日にイベントを行っているわけでもないし、昼休みの時間を埋めるために敢えて冗長なイベントを組み入れているという裏話もチラホラ漏れ聞こえてくる。こうなれば本末転倒も甚だしい。

競馬場での行動は原則として各個人の自由である。決められた昼休みなどなくとも、腹が減ったタイミングで何かを食べれば良いのだし、店が混んでいれば時間を改めれば良い。一定の時刻を合図に、数千、数万の人間がうつむき加減でゾロゾロと食事に向かう光景は、日本のサラリーマン社会の縮図。日常を捨てるべき競馬場に杓子定規な昼休みなどを規定する必要性は、さほどないように思える。

 

***** 2018/04/20 *****

 

 

| | コメント (0)

2018年4月19日 (木)

春は肉玉

火曜のこと。大井競馬場『つるまるうどん』の春の限定メニューが気になったので、見に行ってみると……

Kanban 

肉玉うどんでした。まだレースを残しているのでニンニクが多少気になるが、肉玉と聞けば黙ってはいられない。様子を見にきただけなのに、ついフラフラと注文してしまった。

Udon1 

うどんの上からガーリックチップをフィニッシュパラパラとふりかけ、ぶっかけのツユをかける。そこに甘辛く煮た牛肉をサッと載せて、玉子を落とせば完成。豪快に混ぜ合わせて一気にすすってみた。牛肉の濃い味付けを玉子がふんわり受け止めてくれる。すき焼きで確立された歴史と伝統の味。その組み合わせに間違いはない。

昨日は忙しい合間を縫うように、丸亀製麺で昼メシを済ますことに。そこで季節限定メニューを聞けば、こちらも肉玉だという。正式には「牛とろ玉うどん」。とろろが入っていることがミソだが、個人的には注文が入ってから肉を焼き始める調理方に衝撃を受けた。客はまず「とろ玉うどん」を受け取ると、レーンの隅で牛肉が焼き上がるのをじっと待つ。焼き上がった肉をうどんの上に載せてもらってようやく完成。おかげで肉は熱々だが、うどんとダシは若干覚める。

Udon2 

そして今日は所用で芝へ。このあたりはお肉屋さんが多いことで知られるが、そんな中に一軒のうどん屋が暖簾を掲げていた。その名も『肉芝』。

Nikushiba 

そんなわけで、3日連続の肉玉うどん。こちらの「肉」はいわゆるスジ煮込み。ひとつひとつが大ぶりで食べ応えがあり、しかも美味い。さすが店名に「肉」を謳うだけのことはある。おかげで自家製だという麺の印象が薄らいでしまった。

Udon3 

つるまるも丸亀も季節メニューに「肉玉」を持ってきたのは偶然だろうか。そういえば、東京競馬場『馬そば深大寺』も、春開催になると「肉玉ぶっかけ」がメニューに加わる。春はきっと肉玉が美味しい季節なのだろう。

 

***** 2018/04/19 *****

 

 

| | コメント (0)

2018年4月18日 (水)

ブリリアントな勝利

東京スプリントには行くことができなかったので、代わりに昨日の大井の話。

ブリリアントカップは昨年まで準重賞だったのが、今年からS3に格上げされた新設重賞。毎年「重賞級の好メンバー」が揃うことでコアなファンの間にはその名を知られていたが、いざ重賞になると今度は「物足りない」なんて声が聞こえてくる。外野は勝手だ。

外野の勝手な会話は続く。「なぜ準重賞のままではいけないのか?」

大井記念が南関東最高格付けのS1となり、その前哨戦が準重賞では格好が付かないのでは……。その意見に一同は頷いた。だが、浦和のプラチナカップや大井の雲取賞といった名物準重賞も、今年度は次々と重賞に格上げされるらしい。よもや、来年から「リステッド」の格付けを始めるというJRAへの忖度では……?。外野の憶測は止まらない。

ともあれ準重賞には準重賞の良さがある。そんなファンの声も忖度してほしい。具体的にどんな良さだよ!といわれると、ちょっと言葉では表現しづらいのだけど、簡単に言えば「マニアックな親密さ」ということになろうか。

とにかくブリリアントカップ。

人気は当然のリッカルド。重賞2連勝中。しかも、いずれも7馬身差の圧勝劇。しかもしかも、その2勝とも先行しながら上がり最速をマークしているのだから、他馬は為す術がない。不安があるとすれば2000mという実績のない距離かもしれないが、1800mを7馬身差で勝っているのだから重箱の隅をつつくようなものであろう。

Rikka 

結果はもちろん1着。1馬身1/4差という着差に物足りなさを感じた人もいるようだが、3~4コーナーでは並んで先行する3頭の更に外から余裕たっぷりに抜き去って見せたのだから、着差以上の実力差を認める必要がある。ナイター照明に照らされて眩しく輝くその馬体も、誰もが一目置くその強さも、そのどちらもブリリアント。歴史の起点となる初代チャンピオンに相応しい。

Rikka2 

「今後のためにステッキを入れた」と矢野貴之騎手が見据える先にあるのはS1となった大井記念。むろん、その先には帝王賞も見えているに違いない。間もなく戦列に復帰するヒガシウィルウィンと共に、南関東の2枚看板を背負うことができるのか。コンサートボーイ&アブクマポーロによる帝王賞ワンツーフィニッシュの快挙からはや21年。そろそろあの再現を夢見たい。

 

***** 2018/04/18 *****

 

 

| | コメント (0)

«疑いのコスト