2017年10月17日 (火)

レープロ

先週月曜、「体育の日」の東京競馬場でのこと。あまりの暑さに音を上げて、エアコンの効いた岩手競馬コーナーに逃げ込んだところ、こんなものを手渡された。

Nanbu 

中身は南部杯のレーシングプログラム。コパノリッキーのクリアケースに入れて配るとは、岩手競馬さんも太っ腹ですね。しかもコパノリッキーの連覇達成で、このクリアケースの有り難みも増した感がある。

JRAがカラー装丁のレーシングプログラムを大レース当日のみに限定して久しい。売り上げ減少が続き、経費削減の一環としてレープロをモノクロ化したのが2011年のこと。ただ、売り上げが回復した現在も、モノクロ印刷は変わっていない。おそらくファンサービスとしての費用対効果を考えてのことであろう。

知られているように海外の競馬場では、プログラムは買うのが当たり前。邦貨にして数百円を支払って手に入れることができる。

それが日本ではタダ。しかもGⅠレースに限ればその装幀は立派で、美しいグラビアまで掲載されているとあり、ジャパンカップで日本を訪れた競馬関係者が驚きの声を挙げることも少なくない。さらに、それがレース終了後に大量のゴミとして競馬場にうち捨てられている光景を見て、彼らは再び驚くこととなる。

レープロの作成費用もさることながら、一方でゴミとなったレープロの回収・リサイクル費用もバカにはできない。新聞、マークカード、馬券と異なり、背中をホチキスで留めているレープロのリサイクル作業は結構ホネが折れるのである。

Program 

それまでペラ1枚で配布していた出馬表を、豪華な冊子にしたのは1986年だから、レープロの歴史自体はそれほど深いものではない。むろんファンサービスの一環から始まったもの。だが、折からの競馬ブームの影響で売り上げは増大の一途を辿り、経費の使い道を無理矢理にでも探し出すような時代でもあった。

しかし、売り上げ低迷期を経験した現在、レープロそのものの役割を考え直す時期に来ている。一般スポーツ紙に全レースの馬柱が掲載されるのも珍しくはない現代において、レープロを頼りに馬券を買うファンも多くはないだろうし、JRAの公示を掲載するオフィシャル媒体としての役割も既にWEBサイトに移行している。

無料のサービスというのは決して悪いものではないが、なんでも無料にすれば良いというものでもない。お金を払って手に入れたものなら、レース後においそれと捨てるわけにもいかぬはず。私自身、媒体が減ることを良しとする立場ではないのだが、単なるコレクターズアイテムに成り下がったレープロにもはや経費をかける必要もあるまい。JRAには「無料」に頼らず、本当に価値のあるサービスを考えてもらいたいところではある。

 

***** 2017/10/17 *****

 

 

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2017年10月16日 (月)

スプリントに挑んだ怪物

JBC3競走の選出馬が発表になった。驚いたのはコパノリッキーのJBCスプリント参戦。申し込み手続きのミスを本気で疑ってしまったが、どうやらそうではないらしい。

Copa 

2014年、15年とJBCクラシック2連覇。3勝目を挙げればアドマイヤドンやヴァーミリアンの最多記録に並ぶ。ことさら距離に対する不安が大きいとも思えない。強さは認めるが、1200mではむしろペースの違いが落とし穴になりやしないか。

ここまで書いて、ナリタブライアンの高松宮杯を思い出した。

前年までGⅡだった高松宮杯が1200mのGⅠに昇格した1996年。天皇賞(春)で2着に敗れたナリタブライアンの出走が発表されて大騒ぎになった。三冠馬のスプリント戦出走は前代未聞。前走から2000mもの距離短縮である。とはいえヒシアケボノやフラワーパーク相手なら役者が違う。中京競馬場には競馬場レコードとなる入場者が押し寄せ、レースそのものは大いに盛り上がった。だが、結果はフラワーパークの4着。このレースで屈腱炎を発症したナリタブライアンは、この高松宮杯を最後にターフを去ることとなる。

「賞金狙いの無謀な出走―――」

ブライアンを管理した大久保正陽調教師へのバッシングは苛烈を極めた。もし高松宮杯を勝っていれば、当時の通算獲得賞金記録を更新する状況もマスコミの反感を買ったに違いない。だが大久保師は「本当に強い馬は長距離も短距離も勝てる」という信念に基づいて高松宮杯を使ったと、のちに回想している。

かつて「怪物」と呼ばれたタケシバオーは、3200mの天皇賞(春)を制した半年後にスプリンターズSを勝ってみせた。62キロを背負わされながらレコード勝ち。本当に強い馬は、芝やダートにも、斤量にも、そして距離さえも問わず常に強い。それこそが「怪物」たる所以であろう。

四半世紀を経て「シャドーロールの怪物」を管理した調教師も同じ思いを抱いていたのかもしれない。仮に賞金狙いの気持ちがあったにしても、それも含めてプロの判断である。

翻ってコパノリッキーのJBCスプリント参戦はどうか。なにせ1200m戦に勝ち鞍があるどころか、出走した経験すら持たぬ一頭。とはいえGⅠを10勝もした猛者である。他の出走予定馬とは明らかに格が違う。もしGⅠ11勝なら日本記録。考えるほどにナリタブライアンの高松宮杯が重なって見える。

今年のダート短距離路線が、確たる主役不在のままJBCを迎えてしまったことも忘れてはならない。トウケイタイガー(かきつばた記念)、ブルドッグボス(クラスターC)、キタサンミカヅキ(東京盃)と地方所属馬の活躍が目立つのも、JRA勢が小粒であることの裏返しであろう。そのせいか、今年のJBCスプリントにはネロやレッツゴードンキなどダート未勝利馬の名前も目につく。

「そんな状況なら、距離適性には多少目をつぶっても、ダート適性で勝てる―――」

そういう考えがあったとしても私は驚かない。JBC史上初となるクラシック・スプリント両カテゴリの制覇とGⅠ最多勝記録。それが同時に達成されれば、のちに伝説と呼ばれる一戦となる可能性もある。例年クラシックの前座感も漂うスプリントだが、今年はクラシックを凌ぐ注目を集めることになるかもしれない。

 

***** 2017/10/16 *****

 

 

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2017年10月15日 (日)

気分は新潟競馬場

神保町からウインズ後楽園へと向かう道すがら、白山通りから一本入った路地裏を歩いていると、「タレかつ丼」と書かれた看板が目に飛び込んできた。

Mise 

レンガの壁にステンドグラスのペンダントライト。外見も内装も、昭和の雰囲気を残す喫茶店にしか思えない。しかしメニューを見れば、そこは間違いなくトンカツ専門店。しかも新潟名物のタレカツ丼に特化したお店だという。その店名はズバリ『タレカツ』。日曜の14時近くだというのに、カウンターのみの12席は既に満席で、空席待ちで3人が列をなしていた。

今週から秋の新潟開催がスタートしているが、今年は新潟に行くことができていない。来週、再来週も無理であろう。ここでタレかつ丼を食べ、ウインズで馬券を買えば、少しくらいは新潟遠征の気分を味わうことができるだろうか。

Tarekatsu1 

我々が知るカツ丼は玉子でとじたカツ煮をご飯の上に載せたものだが、タレかつ丼は揚げたてサクサクのトンカツを甘辛い和風のタレにくぐらせてご飯の上に載せただけ。他には何もない。その潔さが良い。そういう意味では鰻丼に似ている。なるほど卓上には山椒の用意も。タレも鰻丼のそれに近いが、ほんのりと香る生姜の風味が豚肉の味を引き立てる。

ご飯を食べ進めるうち何かに箸が当った。周囲を掘り進めると、ご飯の中から更に2枚のカツが姿を現したではないか!

Tarekatsu2 

―――なんて、この二段構造が新潟タレカツの醍醐味。ご飯に埋もれていたというのに、なぜか衣のサクサク感は失われていない。その食感がさらに食欲をかきたてる。

すっかり新潟名物として定着したタレかつ丼の歴史は意外と古く、実は昭和初期にまで遡るらしい。新潟市内に店を構える『とんかつ太郎』の店主が、当時はモダンな料理だったカツレツを大胆にもしょうゆダレに浸したのが始まり。しかしそれが新しいモノ好きの新潟の旦那衆にウケた。古町界隈では花街へ繰り出す前に、一杯の酒と共にタレかつ丼で小腹を満たして出かけるのが粋だったという。

そういう意味では、場外馬券売り場に出かける前に食べるのも悪くはなかろう。もとより「カツ」は勝負前のゲン担ぎにもってこい。すっかり新潟競馬場に来ている気分になって購入した秋華賞の馬券はコチラ。

Baken 

これ以上悲しい馬券はありませんな(笑)

いやあ、モズカッチャンが抜け出してからというもの、短い直線で何度も夢を見てしまいましたよ。あとは何でもアタリだから、どうせなら人気薄来い!なんてね。それでバチが当たったのだろうか。よりによって最後の1完歩で3着に敗れるとは……。

まあ、私の馬券下手はタレカツ丼一杯程度では治らないということ。この問題ばかりは根が深い。それにしてもタレかつ丼は美味しかったです。

 

***** 2017/10/15 *****

 

 

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